金盃(2月15日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SII 2000m)
「金盃」は今年第56回目。東京大賞典、東京ダービーなどと並ぶ大井競馬最古の重賞で、その優勝馬は(少なくとも“昭和の時代”は)、大半がGI級と決まっていた。まあしかし、これも毎週のように書いてしまう昔話…になるのだろう。よくも悪くも近年は競馬(番組とそれに伴う勢力図)が変わった。フリオーソ級は出走せず、あくまで南関東レベル同士のせめぎ合い。そう考えると、1着賞金=2500万円は他重賞と比較してかなり高い。長い伝統があること、主催者のプライド、想い入れが強いこと。ともあれ大井二千は本来GIにつながる“選手権距離”だから、力勝負、紛れがない舞台であるとはやはり思う。好レースを期待。そしてできれば交流Gに夢を描けるフレッシュな馬に勝ってほしい。
(1)…近年堅め。1番人気[4-2-0-4]。平成18年からハンデ→別定と変更され、以後堅い傾向で推移している。2番人気[2-2-1-5]、3番人気[2-2-0-6]とも悪くない。
(2)…大井VS船橋。大井=6勝、2着6、船橋=4勝、2着4。3着も、大井=5、船橋=4で、浦和が1頭あっただけ(22年クレイアートビュン)。他重賞と比較しても偏っている。
(3)…古豪・熟年。7歳=3勝、2着1は特筆できる。以下、5歳、6歳、8歳がそれぞれ2勝。総じて地力と経験のある熟年層が活躍している。古くは4歳台頭も目立ったが、近年勢いがない。
(4)…直線勝負。逃げ=2、先行=1、差し=14、追込=3。流れは落ち着いても末脚勝負。ルースリンド、ボンネビルレコードなど本格派の差し馬が貫禄をみせてきた。東京大賞典出走馬=5勝、2着2。
※データ推奨馬
◎カキツバタロイヤル…熟年の6歳馬、船橋所属。大井重賞2勝(サンタアニタトロフィー連覇)、昨暮れ東京大賞典を経験。遡れば、昨年5月・ダイオライト記念GII2着もある。本質中〜長距離型で、好位から息の長い脚を使う。
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◎トーセンルーチェ 54張田
○スマートインパルス 56森
▲ピサノエミレーツ 56的場文
△ロードキャニオン 52坂井
△マグニフィカ 58石崎駿
△カキツバタロイヤル 56高橋利
△マズルブラスト 57戸崎
ゴーディー 52赤嶺
シーズザゴールド 58今野
タートルベイ 56米倉
ネイキッド 56澤田
トーセンルーチェを狙う。JRA3勝、フリオーソの半弟。ゲート難があること、不器用なこと、兄の域には正直遠いが、それでも転入後およそ1年[3-2-2-2]、前2走重賞5、3着だからまだまだ先に夢が浮かぶ。特長は大型馬(前走555kg)らしい爆発力。致命的な出遅れをひと捲りで挽回したシーンが再三あり、とりわけゆったり流れる中〜長距離で持ち味が100%生きてくる。結果5着の前々走「勝島王冠」も上がりは37秒1、大外を伸びただけに価値が高い。手の合いそうな張田騎手(1戦2着)、恵量といえる54kg。勝負どころでロングスパートの形をとれれば十分脈ありと判断した。
スマートインパルスは昨季大ブレイクした上昇馬。7〜11月、ほぼノンストップ(8戦6勝)で走り抜け、久々の重賞挑戦「勝島王冠」も直線インからものの見事な差し切りだった。小柄でも馬混みにひるまない芯の強さ。前走千二を使った(2着)影響がやや気になるが、距離自体は今回二千ベストで異論ない。昨年南関東リーディング3位(先日JRAでも初勝利)、森泰斗騎手との新コンビにも興味がわく。▲ピサノエミレーツは潜在能力、的場文騎手への手替わりに注目した。JRA中〜長距離5勝、昨夏函館「マリーンS」でランフォルセに小差5着。転入後2戦はどこか集中力を欠いた走りとみえ、そう考えると“馬に気を抜かせない”鞍上は大きな魅力だ。
実績、総合力はNo.1としていいカキツバタロイヤルに、今回初騎乗・大レース経験が浅い高橋利騎手。もっとも調教パートナーとしては気心が知れており、こうした経緯の鞍上起用は、周囲の総意と納得があってこそだ。平常心、好スタートから流れに乗ってしまえば当然ながら好勝負。さまざま比較で結局△の評価としたが、記者・地方競馬一ファンの視点からは、応援したい気持ちが強い。以下、中間もう1度充電を図ったGI馬マグニフィカ、明け4歳不振の中、ただ1頭挑戦を続けるゴーディーにも思いがある。マズルブラストも健在だがさすがに10歳、同馬に成長株が譲っていては展望が暗い。馬券的盲点としては、前々走「オールスターC」2着、ハマって切れるロードキャニオンを推奨する。