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金盃

  • 2012年02月14日(火) 18時00分
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 サンタアニタトロフィーを連覇しているカキツバタロイヤル(船橋・函館厩舎)。430キロ前後の小柄な体でもセンスの高さで素晴らしい走りを見せているんですが、「勝っていいレースはもっとあったよ」と大ベテランの武川厩務員は言っていて、それは能力をいちばん近くで感じているからこその悔しさでもあるでしょう。

カキツバタロイヤル

カキツバタロイヤル


 今回は調教パートナーの高橋利幸騎手がレースでもコンビを組みます。「毎日真面目に調教をつけてくれるから」と武川厩務員は言っていましたが、その他にも高橋騎手自身の騎乗に定評があります。「トシ(高橋騎手)はセンスがあってうまい騎手。あとはチャンスさえあれば……」と船橋の厩舎地区でもよく聞かれることです。

 現に、1年半ほど高知競馬場へ武者修行に行った際にはレースに700回ほど騎乗し、57勝も挙げる活躍を見せました。そんな高橋騎手に大きなチャンスが回ってきたんです。

 騎手のタイプも2つに分かれると思います。こういうチャンスを『よし、やってやるぞ!』と向かっていくタイプと『荷が重い……』と控え目なタイプと。人間ですからいろんな考え方があるのは当然なことです。高橋騎手との取材のやり取りを紹介しますね。

高橋騎手「カキツバタ、1番人気なんですかねぇ?」

私「実績とメンバーからすれば、1番人気か2番人気はほぼ確定じゃないのかな」

高橋騎手「普段のレースでも1番人気にあまり乗ったことがないのに(笑)」

私「利幸君はぶっちゃけどんな気持ちなの?」

 高橋騎手「レース当日になったらわかりませんが、今は乗せてもらえることが楽しみでたまらないです。最初に聞いたときも『うれしくて!』プレッシャーって感じないほうだと思うんですよねぇ。とにかく楽しみのほうが大きいです」

 高橋騎手はいい意味で騎手向きの図太い精神面の持ち主なんです(笑)

 カキツバタロイヤルはこの中間も順調に調整をしてきたそうです。この寒さで馬場が硬くなって脚元に負担がかからないようにと、丈夫な馬にもかかわらず、あえて手間暇がかかる昼からの時間帯に切り替えて行ってきました。「暖かい時間に乗っているので馬に硬さも取れてシャキッとしてきました。馬を信じて気持ち良く走らせてあげたいです」と高橋騎手。さぁ、カキツバタロイヤルと高橋騎手がどんなパフォーマンスを見せてくれるでしょうか。「常に自分の走りをしてえらい馬だよ。ここは何とかトシに勝たせてあげたい」(函館調教師)

スマートインパルス

スマートインパルス


 勝島王冠をアラン・ムンロ騎手とのコンビで重賞初制覇を飾ったスマートインパルス(小林・三坂厩舎)が森泰斗騎手との新コンビで挑みます。

 馬房の中ではとてもかわいらしいんですが、調教ではあまりお利口さんではなかったために、厩舎サイドも苦労をしてきた馬でした。しかし、ここ最近は以前に比べると調教も真面目になってきて、レースでももたついたりエンジンの掛かりに時間がかかったりすることも解消し、集中して走れるようになりました。

 前走のガーネット賞(1200m)は一番重い57キロでさらに初スプリント戦でしたが、優勝したコウギョウダグラスから0.1秒差の2着に入る内容。「このローテーションは金盃に向かう上で予定通りだよ。内容も良かったし楽しみだな」と三坂調教師も手応えをつかんだ様子でした。

「自分の競馬さえしてくれれば結果はついてくると思う」と厩舎サイドも楽しみにしていますよ!ただ気難しさはある馬なので、あとは絶好調の森騎手に託されました。

マズルブラスト

マズルブラスト


 今年10歳になったマズルブラスト(船橋・川島正厩舎)は放牧休養明け叩き2戦目です。「一度使った変わり身は出てきていますね。ハリもあるし気持ちもやる気になっています。(マズルブラスト自身)10歳っていう自覚がありません(笑)」と飯田厩務員が言うと、川島調教師も「丈夫だし食欲も旺盛で年齢は感じないよ。これほど高齢になっても走る馬は初めてだ」とその若さに絶賛。

 過去に金盃を制したこともあり、戦ってきた相手関係を考えても「ここはチャンスが十分」と関係者も自信を持って送り出してきます。

 10羽田盃馬シーズザゴールド(小林・荒山厩舎)も復活が待たれる1頭です。今回は約半年のリフレッシュ放牧明け。「前は調教でパシュファイアーを着けていましたが、今は着けなくても物見もないし集中して走っています。休み前はテンションが上がり気味でしたが、今は追い切りでもクラシックの頃のようにいい意味で遊びがあってムキになっていかなくなりました」と仁岸厩務員。荒山調教師は「この1週間くらいで馬がどんどんよくなっているけど、オープンは甘くないからね。レースはいかにハミを取らないでフワッと走らせるか難しい面があるから、あとは今野に出たなりで乗ってもらって、今後に向けていい走りを期待したい」

 フリオーソの半弟トーセンルーチェ(船橋・川島一厩舎)。フリオーソを大きくしてのんびりさせた感じでそっくりと、厩舎地区でも評判になっています。

「エンジンの掛かりが遅い馬だから向正面で早めに仕掛ける形がベストだろうけど、ハマったときの爆発力はある。あとはハリちゃん(張田騎手)にお願いするよ」(川島調教師)

 報知オールスターカップ2着だったロードキャニオン(小林・堀厩舎)。「枠もいいし斤量(52キロ)も魅力的。道中はためて終いを生かせれば」と堀調教師。

 ネームヴァリューの愛息・ピサノエミレーツ(大井・松浦裕厩舎)。「我が強い馬だけど、今回は工夫をしながらスムーズに走らせてあげるように取り組んできた。レースでも気分良く走れれば……。今まででいちばんいい仕上がりだと思うし自分なりに楽しみにしています」と松浦調教師。

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南関東競馬を拠点に活動中。仙台生まれの山形育ち。NHK山形放送局キャスター後、競走馬のことを伝える仕事に就きたく上京。東京シティ競馬中継(MXTV)を経て、南関魂、TCKホームページ、競馬総合チャンネル地方競馬コース、楽天競馬、ウェブハロンなどで活動中。今の一番の喜びは、拠点にしている南関東所属馬が大舞台で頂点に立ったとき。

※当コラムは南関東重賞の前日更新となります。

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