東京スプリング盃(3月7日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1400m)
3年前、東京スプリント=JIIIが創設され、同時に東京シティ盃から名称変更。そのトライアル(1〜2着馬に優先出走権)として東京スプリング盃は再スタートした。ただごく客観的にみてこの2つのレース、トライアル→本番、そう密接には結びつかない印象がある。
大井コース、“千二”“千四”は、前者・向正面入口、後者・1コーナーポケットから発走し、レースの流れ自体が大きく違う。千二はあくまで純粋なスピード勝負、対して千四はひと呼吸タメのきく馬が好走する。加えて昨今のTCKは、おおむね出走馬全頭が勝ちにいくレース(競輪でいう自力勝負)をしており、道中ポジション争いが何とも厳しい。キャリア、経験を誇る高齢馬の活躍も、ある意味納得といえるだろう。
古豪、新鋭、転入馬。にぎやかな顔ぶれは確かだが、“実績”“適性”“勝負度合”。ひとまずこの3点で有力馬を絞りたい。
(1)…小波乱。1番人気[5-2-0-3]は合格点だが、2番人気[0-2-4-4]、3番人気[1-2-1-6]。なかなか平穏には収まらない。昨年フジノウェーブも高齢で人気を下げていた。
(2)…熟年馬。7歳=5勝、2着3回と大きくリード。ただ4〜5歳馬も、計3勝、2着5回だから数字上は悪くない。8歳馬=1勝、2着2回。スプリンターとは、キャリアで磨かれる部分もある。
(3)…地元優勢。大井=7勝、2着6回、船橋=2勝、2着4回、川崎1勝。他重賞と較べホーム大井の良積が目立っている。昨年は9歳→4歳→6歳、地元ワンツースリーが見事に決まった。
(4)…TR勝ち馬。前哨戦「Wスプリント」優勝馬=2勝、2着1回、3着1回。勢いも含め軽視できない。逃げ=5、先行=4、差し=8、追込み=3。脚質云々よりメリハリのあるタイプ。
※データ推奨馬
◎セイントメモリー…大井生え抜き、エリートをそろえる月岡健二厩舎所属の明け5歳馬。TR「ウインタースプリント」を圧勝し、この路線でいま最も勢いがある。万能型アフリート産駒。馬格にも恵まれ(490キロ台)、サバイバルに強そうだ。
☆ ☆
◎フジノウェーブ 59坂井
○セイントメモリー 56森
▲セントラルコースト 58戸崎
△スマートインパルス 59石崎隆
△ディアーウィッシュ 59張田
△ダイワディライト 58今野
△イーグルショウ 59石崎駿
バトルファイター 54山田信
ファイナルスコアー 58真島
シーズザゴールド 59本橋
フジノウェーブの3連覇に期待した。明けて10歳。しかしこのレース、前2年の勝ちっぷりは完璧としか言葉がなく、一昨年・4馬身差、昨年・2馬身差、直線一瞬のうちに後続を突き放し、終いセーブする余裕があった。同馬のビッグタイトルといえば、むろん5歳のJBCスプリント(GI)=千二だが、以後年齢を重ねるごとに気性面で渋くなり、現在は“千四”が最もリズムよく走れること。評価を迷わされる“10歳”の年齢も、昨年暮れ準重賞ロイヤルC、マニエリスムの小差3着をみる限り、瞬発力、闘志とも、まだまだ健在と判断できる。実力馬、実績馬有利の別定重量。背負い慣れた59キロも、他馬との比較からは恵量に近い。
セイントメモリーは前述通り短距離ロード成長株。TRを強気の逃げで圧勝し、その勢いと充実度は群を抜く。軽快なスピードに加え最後もうひと押しがきくパワーを備え、今回千四も十分こなせる。能力と性格を熟知した森泰斗J。逃げか捲りか、おそらく両面作戦だろう。セントラルコーストは、前2走出遅れが大きく響いた。どうやら癖がついてしまったようだが、それでもJRA5勝(すべて千四)、根岸S(GIII)3着の絶対能力。転入後、ロイヤルカップではフジノウェーブに鼻差ながら先着(2着)している。今回エース・戸崎J、文字通り背水の陣で臨む。
以下も流れと位置取りひとつでチャンスが浮かぶ。昨夏からピークが続くスマートインパルスは距離万能。混戦の差し較べになって強さがあり、ベテラン・石崎隆之Jがどう乗るか興味深い。ディアーウィッシュ(重賞3勝)、ダイワディライト(JRA7勝)も実績はヒケをとらず、道中2〜3番手で折り合いがつけば脈が出る。さらに大穴ならイーグルショウか。一昨年このレース3着。一見下り坂の8歳馬だが、大井千四は最もフィーリングが合っている。