毎年、この時期の3歳馬は、古馬のトップグループとは違って、評価が一転二転、大きく変化する。とくにこのメンバーは、ここでキチッと結果を出すなら、Aランクは無理としてもクラシック路線の「Bクラスなら…」という組み合わせだ。
良血馬としての潜在人気や、風評に左右されることなく各馬の可能性を見極めたい。とくに注目の良血馬ブラックカフェあたりは、2度も連続して非常に情けないレースをしているだけに、ここは正念場だろう。3度も凡走すればさすがに脱落する。
地味なタイプであくまで伏兵だが、マジックボーイの可能性に注目したい。前走は11番人気。もう見放されていたが、先行策をやめて一転差す形をとると、2000mを2分1秒4の好時計で圧勝してみせた。この時計は、同じ芝Bコースで行われた2週後の「京成杯」の2分1秒7を上回っている。
レースの流れはマジックボーイの勝った寒竹賞も、ブルーイレヴンが引っぱる形になった京成杯も、前半1000mは59秒3と59秒4でまったく同じ。底力が問われる厳しい流れになって、京成杯のスズカドリームや、テイエムリキサンを上回る2分1秒4は時計通りに非常に価値がある。差す形が合っていたのだ。
地味な血統のようにみえるが、3代母は桜花賞など8勝もしたナスノカオリ(父パーソロン)。その全妹には同じくオークスなど8勝のナスノチグサもいる。祖母はラディガ、母はアンバーシャダイ。底力を伝える。
父カーネギーは不振だが、シャトル先のオーストラリアでは2頭もG1馬を送り、決して失敗の種牡馬ではない。海外での評価の方がずっと高く、もう日本には(たぶん)帰ってこないだろうが、残した産駒から注目馬が出るのは世界で良くあるパターンだ。
スタミナはある。成長力もある。デキは文句なしだけに、再度の大駆けがありそうだ。