京浜盃(3月28日 大井 サラ3歳 定量 南関東SII 1700m)
「京浜盃」は昭和53年新設。南関東クラシック、最も重いトライアルレースで、ここを制し、その年“3冠”に輝いた馬が5頭に及ぶ。ハツシバオー、サンオーイ、ハナキオー、ロジータ、そしてトーシンブリザード。大井外コース1700m=スピード、パワー、瞬発力、勝負強さ…求められるものが多岐にわたり、優勝馬レベルは総じて高い。牝馬優勢、牡馬成長株がなかなか出てこない(とりわけ生え抜き)今年だが、今回この顔ぶれはごく客観的にみて夢が描ける。伏兵コテキタイが逃げ切り、注目エンジェルツイート、ゴールドキャヴィアが不発に終わった先週浦和「桜花賞」。全体勢力図は、まだまだ混沌というしかあるまい。願わくばやはり新星誕生。今回記者予想は、ひとまずそれをテーマに考えた。
(1)…1番人気。1番人気[6-2-0-2]と断然強く、過去10年掲示板を外したことは1度もない。ただ2番人気は[0-3-2-5]と頼りなく、むしろ3番人気[2-2-1-5]に脈がある。
(2)…船橋優勢。船橋=8勝、2着3。ワンツーが10年中3度あり、大井=1勝、2着4、川崎=1勝、2着2を大きく凌ぐ。昨年浦和=キスミープリンス2着は、レース史上初の連対。
(3)…道営出身。トレード、移籍が日常的になった18〜19年からレベルが一気に上がっている。トップサバトンら3頭優勝、2着4。牝馬は出走数自体が少ないが、過去4頭優勝。女傑級が出てくれば脈あり。
(4)…決定力。逃げ=5、先行=3、差し=10、追込=2。昨年はそれまで差し馬のイメージだったクラーベが一転先行策で押し切った。要は潜在能力と上昇度か。戸崎J3勝は数字通り今の勢い。
※データ推奨馬
◎ゴールドメダル…道営でソコソコ実績を作り、2歳優駿GI4着、明けてニューイヤーCを楽勝した。引く手あまたの戸崎Jがノータイムで選択した事実も重みがある。本質的に自在型。父はSS直仔らしい底力があり(自身・大井8戦5勝)、南関東ダート適性もきわめて高い。
☆ ☆
◎パンタレイ 56森
○ベルモントシェリー 56石崎駿
▲ゴールドメダル 56戸崎
△ショコラヴェリーヌ 54真島
△ベルモントレーサー 56山崎誠
△ダイヤモンドダンス 56坂井
△アスカリーブル 54今野
アートオブアース 56内田利
フジノタイガー 56三浦
レイモニ 54杉村
アイキャンデイ 54的場文
パンタレイに新星登場の期待をかけた。川崎生え抜き、5戦2勝。戦歴、時計こそまだ条件級の域を出ないが、520kg台の威圧感あふれる馬体、力強くしなやかな走法など、スケールは相当大きい。そして何より強調したいのは、前走JRA挑戦、500万を積極的なレースぶりで善戦(0.6秒差5着)したこと。中山千八、出張競馬(輸送)、右回りとも初経験だから価値があり、精神力の強さとセンスのよさを同時に感じる。父フィガロはストームキャット系、JRA3戦2勝、朝日杯2歳S3着。数少ない産駒から、アンパサンド、ハーミアらが現われ、とりわけ3歳クラシックシーズンに大きく開花…のイメージが浮かぶ。パンタレイ自身、スピードより力のタイプだ。
ベルモントシェリーも同様に器が大きい。船橋デビュー2連勝、全兄にベルモントストーム(04年・京浜盃優勝)を持つ良血で、前走「雲取賞」3着も、大井初コースを思えば合格点がつけられる。今回千七延長は問題なし。折り合って差す競馬がテーマだろう。ごく素直に実績、完成度をとればゴールドメダル。道営出身、2歳優駿好走…は、トップサバトン、ディラクエと同じ歩みで、しかもレースの巧さ、安定感というならはっきり彼らを上回る。
牝馬陣では、ローレル賞、優駿牝馬、それぞれ2、3着ショコラヴェリーヌ、ユングフラウ賞勝ちアスカリーブルの順にとった。牡馬相手、千七にいいイメージが沸くのは文句なくショコラだろう。ベルモントレーサーは「北海道2歳優駿」、オーブルチェフの2着。今回川崎・山崎厩舎に転厩し再スタートを切る。4か月半ぶり、やや重めの印象で割り引いたが、素質自体はヒケをとらない。前走千八快勝アートオブアース、平和賞5着など重賞実績があるダイヤモンドダンスまで注意。