3月31日にメイダン競馬場で行われるドバイワールドCナイト。今回は、メイン競走のワールドC以外の、日本出走予定競走の展望を行なってみたい。
マカニビスティー(牡5)が挑むのが、今年からワールドCナイトのカードに加わったドバイゴールドC(芝3200m)だ。当初は、昨年のG1アスコットGC(芝20F)を含めてG1・5勝の大物フェムアンドグローリーの参戦が噂されていたが、最終的には回避。レイティングで言えば下位評価のマカニビスティーではあるのだが、意外に組み合わせに恵まれた感がある。
レイティング最上位は、ゴドルフィンのオピニオンポール(牡6)。G2グッドウッドC(芝16F)など3重賞を制している他、昨年のG1アスコットGC(芝20F)2着、シーズン末のG3ブリティッシュチャンピオンズ・ロングディスタンスC(芝16F)2着などの成績を残している。
レイティング次席が、昨年秋、凱旋門賞ウィークのG1カドラン賞(芝4000m)を制したカスバーブリス(セン10歳)。更に、昨年のG3独セントレジャー(芝2800m)勝ち馬で、3月1日にメイダンで行われたG3ナドアルシバトロフィー(芝2800m)を制したフォックスハント(セン5)。ロイヤルアスコットのG3クイーンズヴァーズ(芝16F)を制した実績に加え、直前にスーパーサタデーのG2ドバイシティオヴオゴールド(芝2400m)を制したミケイルグリンカ(牡5)らがスタンバイしている。
いずれもG3クラスの重賞を狙うには充分な実績を持った馬たちだが、タイプとしては典型的なヨーロッパのステイヤーだ。スタミナや馬力には長けている一方、突然のチェンジオヴペースに対応する器用さや、切れる脚のある馬たちではない。マカニビスティーが持つ「切れ」が活きる展開になえば、あわやの場面がなくはないと見ている。
一方、マカニビスティーと同じ矢作芳人厩舎所属馬だが、なかなかに厳しい組み合わせになったのが、G2UAEダービー(AW1900m)に挑むゲンテン(牡3)だ。
まずは、例年通りに強力なのが、南半球産馬組だ。
ドバイ開催の後は、ヨーロッパ移籍が予定されているのが、ゴドルフィンのヘルメット(牡3)だ。オーストラリアでG1コーフィールドギニーズ(芝1600m)を含めてG1・3勝の実績を残している。
アルゼンチンで、G1アルゼンチン1000ギニー(d1600m)とG1アルゼンチンオークス(d2000m)の2冠を制しているのが、バラダセール(牝3)だ。ノーザンファームの吉田勝巳氏がトレードで獲得し、フランスのP・バリー調教師の管理馬となっての出走となる。
北半球産勢の筆頭が、愛国のA.オブライエンの管理馬で、昨年秋には北米に遠征してG1BCジュヴェナイルターフ(芝1600m)を制したウロート(牡3)だ。
更に、このレース過去5勝という南アフリカの巨匠M・ドゥコックが管理し、スーパーサタデーに行なわれた前哨戦のLRアルバスタキア(AW1900m)を快勝したミックダーム(牡3)も相当な力量の持ち主だ。
この顔触れを相手にゲンテンが好戦をするには、初体験となるタペタに抜きん出た適性があり、かつ、キャリアベストのパフォーマンスをする必要がありそうだ。
同様にして、組み合わせ的には厳しい状況に置かれたのが、G1アルクォーツスプリント(芝1000m)に出走するエーシンヴァーゴウ(牝5)だ。今年からG1に格上げされた効果からか、世界の様々な地域から精鋭が集まっている。
まずイギリスから、ロイヤルアスコットのG1キングズスタンドS(芝5F)の昨年の勝ち馬プロヒビット(牝7)と、ヨークのG1ナンソープS(芝5F)の昨年の勝ち馬マーゴットディッド(牝4)が遠征してくる。
アメリカからやってくるのが、カナダのG1ニアークティックS(芝6F)や、G2BCターフスプリント(芝5F)を制しているリーガリーレディー(セン5)だ。
香港から、G3だった時代のこのレースの勝ち馬で、昨年暮れのG1香港スプリント(芝1200m)でも2着となっているジョイアンドファン(セン8)。
そしてオールトラリアから、G1ウィンターボトムS(芝1200m)勝ちの実績があるオルテンシア(牝6)が来襲する。
アイビスサマーダッシュを制し、直線競馬への適性を実証済みのエーシンヴァーゴウではあるが、ゲンテン同様、このメンバーを相手に好戦するには、キャリアベストのパフォーマンスを見せなければならない情勢だ。
例年同様、多彩な顔触れが揃ったのが、ダークシャドウ(牡5)が参戦するG1ドバイデューティーフリー(芝1800m)だ。
ヨーロッパ勢の筆頭が、ロイヤルアスコットのG2ハードウィックS(芝12F)勝ちがある他、ヨークのG1インターナショナルS(芝10F88y)3着の実績もあるアウェイトザドーン(牡5)だ。管理するA.オブライエン師が早くから、どこかでビッグタイトルを獲れる馬と、その資質を高く評価している馬である。
ロイヤルアスコットのG1クイーンアンS(芝8F)3着、昨年暮れのG1香港マイル(芝1600m)2着など、マイル戦線で上位の成績を残しているのが、シティースケイプ(牡6)だ。
このレースにかつてないほど強力な布陣を送り込んできたのが、アジアの盟友・香港である。
まずは、昨シーズンの香港年度代表馬アンビシャスドラゴン(セン5)。国際G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)に加え、香港G1香港ダービー(芝2000m)、香港G1香港ゴールドC(芝2000m)などを制し、ここ10年の間に香港のこの路線に出現した最強馬と言われている大物だ。
昨年暮れの国際G1香港C(芝2000m)勝ち馬カリフォルニアメモリー(セン6)、昨年春の国際G1チャンピオンズマイル(芝1600m)勝ち馬イクステンション(牡5)という、タイトルホルダー2頭が脇を固める香港勢。2001年にフェアリーキングプローンが2着になっているのが、このレースにおける過去最高の成績だが、悲願の初制覇へ向けた過去最大のチャンスと言えそうだ。
しかし、優勝への最短距離にいるのは、日本から参戦のダークシャドウ(牡5)だ。
確かに賑やかな顔触れが揃ってはいるのだが、一方で、ダークシャドウ(牡5)が秋の天皇賞で見せたパフォーマンスを再現すれば、勝てない相手は1頭も居ないと見る。これだけのメンバーが揃っただけに、タイトでタフな競馬になることは間違いないが、鞍上の名手・福永祐一が隙のない騎乗をすれば、センターポールに日の丸が翻る可能性がおおいにあると見ている。
▼合田直弘氏の最新情報は、合田直弘Official Blog『
International Racegoers' Club』でも展開中です。是非、ご覧ください。