桜花賞、阪神牝馬S、ニュージーランドT追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜阪神11R・桜花賞
・ジョワドヴィーヴル
追い切りの動きが思ったほど良くなかった前走チューリップ賞は3着。単勝1.3倍の支持を受けていたことを考えれば、この結果は期待に応えていないことになるが、それでも3着を確保したあたりは、この世代で能力トップクラスを示している。この中間も決して目立った動きはしていなかった。ただ最終追い切りで外に併せて動きが激変。1週前のCW追い切りでは煽られ気味だったタガノミュルザンヌを直線で突き放す豪快な伸び。やはり外に馬がいない状況になると、その動きはダイナミック。実戦でも同じような状況になれば、後続を突き放す、阪神JFのようなレースが期待できるのではないだろうか。
・アイムユアーズ
前走フィリーズレビュー後に栗東に滞在。阪神ジュベナイルF時でも経験している滞在だけに、馬にも落ち着いた様子が見られた。ただこの中間の調教内容がいかにも軽い。1週前追い切りはCWで6F84.2秒と決して速くない時計。そして最終追い切りは坂路で4F57.6-1F13.3秒。ただ今週は馬場が悪かったので、この時計でも一概に遅いとは言えないのだが、調教内容をすべて考慮した上で判断すると、本数強さともに物足りない。もちろん阪神ジュベナイルF時と比べても内容が軽いので、調教内容から前走の上積みを期待するというわけにはいかないだろう。
・エピセアローム
調教本数が少なく惜敗した阪神ジュベナイルFから、同じ休養明けでもきっちり調教本数をこなしたチューリップ賞でジョワドヴィーヴルに先着。この関連からも調教本数は好走のバロメーターと言えるだろう。この中間はきっちり標準の調教本数を消化。1週前は併せ馬で遅れたものの、ハードな内容を消化でき、最終追い切りも坂路で併せ馬。相手ウインスラッガーを追走して、最後は一杯になってよろめく相手を力強いフットワークで抜き去るパワフルな動きを披露。4F55.3-1F13.8秒と数字が前走時より遅いのが気になるところだが、見た目の動きから前走以上の評価をしてもいいはず。
◆土曜阪神11R・阪神牝馬S
・アパパネ
香港マイルでの惨敗から中16週空いての今回。美浦ではプールを併用しながら調教を積み、1週前追い切りを栗東で消化できるように移動してきた。その1週前追い切りは坂路で単走だったが、4F52.3-F13.1秒と速い時計をマーク。この時点で仕上がりの良さを感じていたが、最終追い切りの動きもなかなか。CWで3頭併せとなったが、直線で最内に入って前2頭を追い抜く形。逆手前のまま並びかけると、ゴール寸前で手前を替えて相手を突き放した。相手アルジェンタムは先週の追い切りで動きが良かっただけに、そんな相手を楽に突き放すのだから、やっぱり状態が良いと判断したい。ただ追い切りが動いても、休養明け緒戦はとにかく割引必要の過去成績だけに、そのあたりだけだろう。
◆土曜中山11R・ニュージーランドT
・オリービン
前走アーリントンC時では最終追い切りにCWを選択したが、今回も坂路馬場が悪化しているということでDPでの追い切り。ちなみに中間は坂路で好時計を出しており、調教内容のパターンに大きな変化はない。先週の時点でも十分な仕上がりだと思われたが、今週の最終追いも抜群の動き。単走だったが、6F78.6-5F61.6-1F11.8秒はいくら時計の出やすいDPだからといっても評価しないわけにはいかない。シンザン記念惨敗時は最終追い切りの時計が遅かったことも敗因と考えられるだけに、今回のようにしっかりと速い時計を出して仕上げられたことはプラス材料だろう。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜阪神11R・桜花賞
・オメガハートランド
今年4戦目で厳しいローテーションとなるが、410キロの馬体を大きく見せ、4日の最終追い切りも、3歳未勝利が相手とはいえ、5Fから4馬身ほど追走するハードな内容。さすがに1Fで並びかけてから伸び切れず1馬身遅れたが、細身で長距離輸送があるから、ラストをビシッと追い切れたことは馬体減のない証で、今の充実ぶりを示すにも十分。後方一気の脚質と速い時計決着に「?」がつくことは確かだが、少し荒れた馬場で、上がり時計がかかることを考えると、ラスト300mから一気に差し脚を伸ばすことは十分にありそう。乱ペースを巧く利して思い切った後方待機策がハマればビッグチャンス。
◆土曜中山9R・野島崎特別
・トレノエンジェル
成長を促すという目的で、無理使いせずにここまできた馬だが、その甲斐あってだいぷ馬体はしっかり。1週前の併せ馬では同格相手の3頭併せで追力満点の動きを見せ、直前は持ったままで66.7-52.3-39.0秒をマーク。まずは9分以上の仕上がりといっていい。3歳時には、未勝利→オープン(スイートピーS)を運勝したほどで、潜在能力は1000万では上位クラス。鞍上に田辺騎手を迎え、さらに牝馬限定戦となれば、いきなりの期待がかかる。
・ソウルフルヴォイス
休み明けをひと叩きして、順調に良化を見せていた前走だが、道悪競馬でスローな流れ。同馬のような差しタイプは決め手に殺され、先行2頭が行った行ったの決着。それでも、最上位の3着まで押し上げたことが高い能力の証明と思える。この中間は入念に乗り込んで素軽さ満点の動き。状態面の不安はなさそうだし、牝馬限定ならオープンで通用する馬。馬場さえ良ければ突き抜ける。
・クラックシード
4か月半ぶりで臨んだ前走の鎌ヶ谷特別は、プラス10キロと余裕を持たせた仕上げ。道中は好位でスムーズに流れに乗ったが、馬場が悪く先行馬が有利なスローペースのうえ、太めのぶん終い思ったほど弾けず4着。この中間は順調に乗られ、1週前に坂路で上がり37.8秒。そして直前はウッドで5F70.2-上がり39.9秒。今回は中2週の競馬で控え目の内容だったが、モタついた前走時とは一変して動きに柔軟性が出て息遣いの違いを見せた。
◆日曜中山9R・デイジー賞
・ダイワズーム
初勝利の前走まで7戦を要したが、1400〜2000まで使われて5着以下はなく、好位から追い込みまですべてをこなしてきた。体調も落ちるどころか、むしろグングンと良くなっている。今週はウッドチップで52.8-38.7秒。追えば確実にもっと突き放せたが、格下馬に胸を貸しながら1馬身先着してゴールイン。切れのある脚さばきは鋭さ満点。気合のりの良さも目立ち、絶好調をアピールしてきた。豊富なキャリアがあり、勢いに乗ってきた今なら、昇級戦でも勝ち負けの競馬になる。