先週の桜花賞の本命はジョワドヴィーヴル。かなり馬自身が走る気になっていたし、直前の追い切りもよかった。結果を出してくれる! と思ったのですが…。当日の馬体重は416キロ。「だいぶカイバを食べるようになっている」(松田師)なのにこの数字。「もう減るところがない。全部、筋肉」(松田師)というとおり、ギリギリの体でした。レースでは直線、外のほうで細い体が何度か弾かれるジョワド。その姿を見て…“うーん、まだまだだ。ジョワドはのだめだな”思いました。
のだめのジョワドヴィーヴル
“のだめ”とは漫画・のだめカンタービレの主役。手の大きさ、表現力、音楽についての記憶力など、ピアニストとしての類稀なる資質を持ちながらも、演奏のアタリとハズレの落差が激しく結果を出せないというキャラクターです。ストーリーが進むにつれ、のだめも成長。発奮してピアノと正面から向かい合ったところ、安定した演奏ができるようになるどころか、本来持っていた資質を開花させ一躍世界に通じるピアニストになる、というお話でした。
ジョワドも、潜在能力だけで勝ちきった2歳GIはともかく、クラシックとなれば“類稀なる能力”だけでは押し切れなかった。オークスまであと1か月半、もうちょっと体がふっくらしていけば変わってくると思います。
「オークスまでは放牧には出さずに厩舎でじっくり仕上げる」と松田博師。次は彼女の天才ぶりが花開くことを期待します。
至極順調ウインバリアシオン
マルカフェニックス不安無し
さて、松田博資厩舎のすぐ近くに松永昌博厩舎があります。京都記念ではウインバリアシオンがあわや競走中止!? と思わせる競馬をしたり、エイシンアポロンが中山記念を筋肉痛で回避したり、プリンセスペスカが川崎のエンプレス杯を狙って遠征すれば雪で中止になったり、と今年に入ってからリズムが悪かったのは否めませんでした。
ところが、ここにきてようやく運気がよくなってきましたね。勝負の世界ですから、そういった“運”はとても大事です。よかったよかった。
再来週に天皇賞・春を控えたウインバリアシオンは至極順調にきています。いつもどおり悠々としていて、いいかんじ。ウッドチップでゴロッと寝たかと思ったら、そのチップをはらうことなく黙々とカイバを食べ始めたり…。あれ?多くの馬はこういうとき、体をプルプルッと小刻みに震わせて体についたチップをふるい落とすのですが。ウインバリアシオンはまったく平気なようです。トレセン広しといえど、こんなゆったりとした馬なかなかいませんが、このマイペース加減がいいのでしょう。
エイシンアポロンは来週のマイラーズCに出走予定ですが「目標は安田記念なので、来週の追い切りの感触次第では京王杯SCに切り替える可能性もある」(中山助手)とのこと。阪急杯で復活したマルカフェニックスはマイラーズC→京王杯SCに参戦予定。右前浅屈腱炎の爆弾を抱えていますが、今のところ、それによる不安はないそうです。
「全盛期は坂路を余力残しで50秒を切った馬。最近では52秒で駆け上がれるまで状態が戻ってきた」と中山助手。ひと叩きされて息づかいもだいぶよくなっているだけに次走はアッといわせるかもしれませんよ。