デビュー初年度には37勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞。さらに、初年度、2年目と連続してフェアプレー賞を受賞するという、若手らしからぬ偉業を達成した高倉稜騎手。『あいうえおトーク!』第3回目は、「眠れないほど悩んだこと」から「目標とするジョッキー」まで全12問。「本当にあった怖い話」では、実際に高倉騎手の身に起こった、身の毛もよだつ恐怖体験を大激白!
ね眠れないほど悩んだことはありますか?
高倉 ないですね。悩みがあっても寝ちゃいます(笑)。でも、けっこう考え込むタイプです。心が折れるときもあります…(笑)。
──悩み事は誰かに相談するほうですか?
高倉 そうですね。関東の同期に電話して相談したりとか、川須とご飯を食べに行って話したりとか。そういうときは同期を頼りますね。
の乗り替わりが多い昨今ですが、この状況をどんな風に受け止めていますか?
高倉 そうですねぇ…。僕が騎手になってからは、それが当たり前なので。たとえば、権利持ちの未勝利馬とかが回ってきたときに、いかにそのチャンスを生かせるか、そういうところにかかってるのかなって思いますけど。それを積み重ねていくしかないんじゃないですかね。1頭の馬にずっと乗せてもらえるっていうのは、なかなかないですからねぇ…。
初勝利、馬に「ありがとう」
は初勝利の瞬間、真っ先に頭に浮かんだことはなんですか?
高倉 馬に対する「ありがとう」っていう気持ちです。本当にうれしかったです。ずっと馬をなでていたら、スタッフの方に『なですぎや』って言われました(笑)。
──本当に馬がお好きなんですね。
高倉 そうですね。素直な性格の馬が好きです。性格があまりよろしくない子は苦手です(笑)。
ひ人より優れていると思う、ジョッキーとしての武器はなんですか?
高倉 気持ち…ですかねぇ。負けたくないっていう気持ちは、先輩より同期より後輩より強いつもりでいます。
──お話を伺っていると、馬を大切に思う気持ちも、人一倍強そうな気が。
高倉 そうですね。やっぱり死んでしまった馬とかを思うと…。その瞬間、馬はどう思っていたのかな…とか考えてしまいます。競走馬として生まれてきて、悔いがあるのか、それとも満足しているのか…とか。競走馬として、どういう気持ちなのかなって、真っ先に考えてしまいます。ただ、僕だけじゃなく、ジョッキーはみんな馬が大切で、好きだと思いますよ。
ふフェアプレー賞を2年連続受賞されました。フェアプレーを心掛けるうえで、一番大切なことはなんだと思いますか?
高倉 馬を真っ直ぐに走らせること。それから、レースはひとりでやるものじゃないので、周りに気を遣ったりだとか、早めの判断だったりとか、そういうところですかね。
──ベテランならまだしも、デビューから2年連続というのは、すごいことだと思います。
高倉 たまたまじゃないですか。真っ直ぐ走らせることを意識していても、フラフラしてしまうこともありますし。
へ下手くそだなぁと自分で思うのは、どんなときですか?
高倉 ハナ差で負けたりしたとき。あそこでもう一歩だけ内に入っておけば…とか、ホントにちょっとした立ち回りの差だと思うので、そういうときに“あぁ、下手くそだなぁ”と。
ほ本当にあった怖い話を教えてください。
高倉 実家を新築したとき、まだ完成する前に家族で家を見に行ったことがあるんですよ。そしたら、兄が2階に上がって行ったので、ついて行ったんです。でも、いざ2階に上がったら誰もいなくて。兄は下にいたんです。たしかに兄と同じシルエットの人影が、階段を上って行ったんですけど…、実際は誰もいなかったっていう。すごく怖かったです。
──そのお家に住んだんですよね…。
高倉 はい。最初は怖かったから、しばらくは電気をつけて寝ていましたね。でも、それっきりなにも起こりませんでしたけど。
まマーメイドSでは、13番人気アースシンボルで3着に健闘されました。人気薄の馬で上位にきたときは、どんな気持ち?
高倉 してやったりですね。気持ちいいです。
──1番人気での成績もいいですよね。新潟、京都、小倉の1番人気に限ると、勝率は4割以上です。
高倉 あんまり1番人気に乗ってないですからね(笑)。ただ、プレッシャーには強いほうだと思います。たま〜に緊張するくらいです。
──どういうときに緊張しますか?
高倉 一時、勝ってなくて、いきなり人気の馬に乗ったりしたときですね。ここは勝たなくちゃ!って思うと、緊張します。毎週、コンスタントに勝てていれば、人気の馬に乗っても緊張はしないです。
み3日間休みがあったら、なにをしたいですか?
高倉 海外旅行に行きたいですねぇ。あ、でも3日だと、場所によっては1泊しかできませんね(笑)。じゃあグアムに行って、日焼けしたい(笑)。
むムカついた出来事をひとつ教えてください。
高倉 川須が時間を守らないこと(笑)。
──川須騎手にも同じ質問をしたんですけど、『高倉がちょいちょいムカつきます』と(笑)。
高倉 マジすか(笑)。まぁ、ケンカするほど仲がいいっていうことで(笑)。あいつ、僕との待ち合わせに、たいてい、5分、10分(待ち合わせ時間に)遅れるんですよね。まぁ、『ごめん、ごめん』って、サラっと謝ってきますけどね(笑)。
名手といえば、武豊さん
め名手と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは誰ですか?
高倉 (武)豊さんですね、やっぱり。馬と一体になって走っている感じがします。僕がデビューするずっと前からスターですし、憧れの人ですから。正直、世間一般の人からすれば、『騎手=武豊』だと思いますし、競馬界でそこまでの知名度を持っている方は、豊さんだけじゃないですか。騎手の代名詞ですものね。実際、一緒に競馬をさせてもらっていてもオーラがありますし、かっこいいなぁって思います。
──お話されたりはしないんですか?
高倉 しませんねぇ。年齢もずいぶん離れていますし、憧れの存在なので、話しかけるとかもう…。先輩では、中村さんとか鮫島さんとか、関東でいうと丸田さんとか、比較的年が近い方たちとは仲良くさせてもらってます。
も目標とするジョッキーとして、岩田騎手を挙げてらっしゃいましたが、どんなところがすごいと思いますか?
高倉 追い方ですね。あの豪快な追い方が好きです。みんな同じ乗り方だと、競馬もおもしろくないでしょうし。僕は岩田さんの追い方が、一番カッコいいと思います。
(第4回に続く)