昨年までと異なり、今年は京都で開催。とはいえ、阪神が改修された06年以降、マイルの外回りコースは類似点が増えた。あまり神経質になることなく、シンプルに見ていきたい。
まず、直線を走ることが多い。つまり、バックストレッチとホームストレッチが長い。直線が長いということは、競走馬としての資質を問われているようなもの。コーナーが2つ。それもカーブが緩やかとなれば、その傾向はより顕著になる。
当コースで良績を挙げている種牡馬も、明確に浮き出ている。このコラムでも何度か書かせていただいたように、ディープインパクト。向こう正面は折り合いに専念。最後の直線では、ためたものをすべて爆発させる。阪神でも京都でも、この産駒のマイルの外回りコースとの相性は抜群だ。コーナーが4つの内回り戦は、器用さが要求されるうえに直線が短い。
対象的にコーナーが2つのマイルの外回り戦は、ストライドが大きいディープの産駒には最高のステージ。偉大な父と同様に、ホームストレッチにおける集中力がすごい。小柄な産駒が主流だが、馬格以上にパワーがある。本質的にスピード持続型が多いというのもあるのだろう。直線の坂で勢いが殺がれることがない。さらに瞬発力も強烈で、速い上がりタイムを刻むことが可能。直線が平たんな京都ではひと際切れる。持続力+瞬発力=京都のマイル・外回り戦で強い。そういう図式だ。
ただし、ディープインパクト産駒にだけ目を奪われていては痛い目に合う。阪神のマイル戦ほど、ディープ産駒は際立った存在ではないのだ。
ディープインパクトが種牡馬デビューをするまで、当コースはアグネスタキオンの庭だった。3-4角の下り坂を巧みに利用して、鮮やかにギアチェンジ。自慢の瞬発力で、高速ホームストレッチを風のように突っ切ってしまう。タキオン産駒はこの戦法で、京都のマイル・外回り戦で勝ち星を積み重ねてきた。阪神のマイル戦では、最後の坂で鈍るケースが目を引く。突き抜ける勢いで進みながら、2着が多いのもそのためだ。だからこそ、京都ではタキオン産駒により一層の注目が必要となる。器用さという観点に立っても、ディープ産駒と互角の勝負が挑める舞台といっていい。
前記2頭には適性面で劣るが、見逃せない種牡馬がいる。キングカメハメハだ。競馬場、距離、芝・ダートといった条件に合わせ、様々なタイプの産駒を輩出する。リーディングの首位を維持できるのも、この幅広い適応能力の成せる業だろう。マイル戦に強い産駒の特色としては、イーブンペースで押し切ってしまうことが可能な点。緩急を要求される流れになると分が悪いが、自分のリズム、つまり惰性で押せるような形になれば強い。これはあくまで、マイル戦に合うカメハメハ産駒の特徴である。瞬発力勝負を避け、自分が主導権を握る形。先行型ほど持ち味が生きるといっていいだろう。
コース実績と適性の高さ。種牡馬を中心に、シンプルに攻めてみたい。そしてもうひとつ。枠順だ。京都の外回り戦は下り坂から直線を迎える。遠心力が働くことで、外に振られやすい。そのため、内側にスペースができる。開幕週ともなれば、なおさらこのコース取りの差が明暗を分ける。この点も考慮して、狙い馬を絞ってみる。
中心は勝率の高いディープインパクト産駒から。ダノンシャークでどうか。過去13戦4勝。特筆すべきは、福永との相性の良さ。同騎手が騎乗したときは、5戦して3勝。2着、3着が1回ずつ。4着以下がゼロのうえ、4勝のうち3勝を挙げているのだ。ソフトタッチで、切れ味を引き出すのがうまい騎手である。これが、シャークのリズムときれいにマッチングしている。前走は発馬でビハインドがあったことに加え、先行勢有利の流れ。大外を回りながら、よく追い上げた。中身は濃い。
勝率ではディープ産駒に劣るが、安定度の高いキングカメハメハ産駒。なかでもトウショウフリークは、マイル戦におけるこの産駒特有の良さを持つ。先行力があり、イーブンペースを持続。控える競馬を経験した前走では、直線で進路を失うロスもあった。恐らく、早めに前を捕えにいく競馬になるはず。課題は、このコース特有の瞬発力勝負になったときか。
ディープ産駒に次ぐ勝率の高さを買って、アグネスタキオン産駒のレッドデイヴィスにも注目したい。コーナーが2つのコースでは崩れておらず、同舞台の昨年のシンザン記念でV。いかにもタキオンの子らしいタイプだ。繊細なセン馬であり、流れに乗りにくいコースでは大敗もある。逆に考えれば、得意の地では一変があってもおかしくない。
ディープ産駒で最内枠をゲットした、トーセンレーヴ。そのほかのキングカメハメハ産駒では、ミッキードリームがおもしろい。地元の関西なら体調も安定している。以上、当コースに分のいい3頭の種牡馬に絞って狙い馬をチョイスしてみた。
最後に、ダンスインザダーク産駒のダノンヨーヨーを追加する。休み明けのうえ、外枠。条件は厳しい。さらにダンスの産駒は、マイルの外回り戦では内回り戦ほど鮮やかなVが少ない。勝ち切れない分、3着は多い。3連単の対象として、着目してみてはどうだろうか。