NHKマイルC、京都新聞杯、新潟大賞典追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜東京11R・NHKマイルC
・カレンブラックヒル
前走は中6週で初めての中山への輸送があったにも関わらず、CWで目一杯に追う最終追い切り。馬体減もは許容範囲の4キロに収まり、強いレースぶりで重賞初制覇を飾った。今回は中3週と前走時より間隔が詰まって、再度、関東圏への輸送。確かにあまり強い調教は必要ないローテーションだが、1週前の坂路での追い切りは単走で馬なり。2週続けてCWで併せ馬を行い、目一杯に追われた前走時と比較すると大きく違う。最終追い切りこそ、前走時と同じCWだったが、強めに追われる程度で、併せた相手を交わしたのも1馬身ほど。見た目にも内容的にも前走時ほどのしっかり感のない今回の調教は決してプラスにならないと判断している。
・マウントシャスタ
毎日杯2着後はノーザンFしがらきへ放牧に出され、4月17日に帰厩。それから坂路でしっかりと調教本数を積み、中5週という間隔にしては十分すぎる調教量となっている。そのあたりが最終追い切りの動きに出たのだろう。坂路で岩田康誠騎手が跨りインバルコを追走する併せ馬。ラスト1F手前まで楽な手応えだったインバルコに並びかけると、相手がその勢いに圧倒される形で脚色が鈍るような仕草。そこでジョッキーがハミをかけると右手前に替え、瞬時に1馬身前に出て、あとは追われれば追われるほど伸びる形。坂路4F53.2-1F12.2秒とラスト1Fで秀逸なフィニッシュ。調教欄から中身にはしっかりとした裏付けのあって、この動きと時計なら文句ない。
・ブライトライン
ファルコンSから中2週での中山輸送になった前走NZTだったが馬体減もなく、後方からしっかり脚を使うレースぶりで3着。前走時の最終追い切りがやけに軽かっただけに、その点を心配していたが、むしろそれが好結果に繋がったのかも知れない。それと比較すれば、最終追い切りの内容はなかなかハード。CWで安藤勝己騎手が跨っての併せ馬。先行していたアイファーコラソンを追走して、最後は差を詰めたものの、1馬身ほど遅れてのゴール。遅れたこと以上に動きの良さが目立ったので、その点は評価できる。ただ前述したように、前走時の最終追いが軽くて結果が出ただけに、今回のハードな内容が一概に上昇を示すとは言えない。
◆土曜京都11R・京都新聞杯
・ベールドインパクト
自厩舎で調整していたとはいえ、少し間隔が空いたことはプラスではなかっただろう前走の皐月賞。それを考慮すると、今回へ向けての上積みは期待できるだろうと想定していた。ただ今週のCWでの最終追い切りが思っていた以上に地味。3頭併せの真ん中に入ったが、先行していたミラクルセッションに追いつく際に、こちらは追って、相手は手綱を抑える手応えの違い。こちらが頭ひとつ出た時に、相手が手綱を緩めるとぐんと伸び、その動きが目立つ追い切りだった。中2週と間隔の詰まったローテーションでもしっかりと調教本数を積んでおり、中身の濃い調教が出来ているはずだが、どうも最終追いの動きがイメージとして残っているため、食指が動きにくい。
◆日曜新潟11R・新潟大賞典
・トーセンラー
不良馬場で惨敗したダービー以来の二桁着順となった前走日経賞。重馬場が敗因だということははっきりしており、開幕週の新潟芝で一変を期待するのは当然だろう。この中間は調教量が実に豊富。4月10日に坂路で時計を出し始めてから、定期的に調教を積んでおり、その本数は中5週というローテーションの倍近くなった。ただ、これだけ調教本数を積んでいるからなのかも知れないが、最終追い切りは非常に軽い内容。栗芝でミッキーバルーンが先導役となって直線へ向く形。馬体を併せることはなく、単走だったが、その動きは軽快だった。しかし、5F70.0-1F12.8秒は普通キャンターに近い内容なだけに、過去にしっかりと時計を出して結果を残した実績と照らし合わせると、今回の最終追い切りがベストだとは言い難い。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜東京11R・NHKマイルC
・マイネルロブスト
スプリングS、皐月賞はいずれも道悪にノメッてしまい不完全燃焼のレースが続いているが、状態面に関しては昨夏のデビュー時を上回るほどいいデキであり、厳しいローテーションとなる今回も中間念入りな調整ぶりが目立つ。4月26日の1週前追いこそ鋭さを欠く内容だったが、5月2日の最終追い切りは本来のスピード感を取り戻した好内容を消化。南ウッドに入って単走追いから道中折り合いがつき、直線に入っても脚どりが乱れず5F67.9-3F38.4秒をマーク。これで息の入りもよくなり、気合い面もグーンと上向いてきた。今回は中間こそ降雨があったものの、当日の馬場に影響することはないはず。朝日杯FSの実績から距離1600は心配なし。瞬発力が生かせる東京戦でエンジン全開だ。
◆日曜東京12R・湘南S
・ディープサウンド
中間コースでジックリ乗り込み、最終追い切りは坂路で素軽さ満点の動き。重さはまったく感じないし気合い乗りも良好。状態面の不安はなさそうだ。ここ2戦は道悪に能力を殺されたが、それでも前走は0.2秒差と、着順以上の好内容。殿から大外をじりじり伸びていた。2〜3歳にかけてナカヤマナイトと再三好勝負をしてきた馬。能力はオープン級のものがあるし、広い東京コースの良馬場なら、能力をフルに発揮する。
◆日曜東京9R・日吉特別
・エクストラセック
アパパネの調教パートナーを務めた今回は、初めて北馬場での追い切り。さすがにオープン馬には2馬身ほど遅れてしまったが、目―杯ではなく余力残し(83.2-66.5-52.2-38.4秒)。この東京開催を目標に十分に乗り込まれて、9分どおりの仕上げとしていい。時としてイレ込むように、まだまだ全体に荒削りだが、楽勝した五百万(過去2勝)の内容からすれば、この1000万でも能力はまったく見劣りしないはず。安定した先行力はなんとも魅力で、いきなりの狙いが立つ。
◆土曜東京10R・緑風S
・トーセンジャガー
前走の富里特別。ハイペースを3番手で追走。そして、3コーナーから早めに仕掛けて追い上げ、直線で先頭に立ってからも最後までしっかり伸びて押し切った。初めての2000mだったが、長くいい脚を使ったようにスタミナ勝負がベストと感じさせた。中間ひと息入れたが、入念過ぎるほどの調教を消化して、直前の追い切りでは8分どころを回って5F65.5-上がり38.0秒を抜群の手応えで計示。さらに距離は延びるが、むしろ好材料とみる。
◆土曜東京9R・高尾特別
・ゴーハンティング
無傷の3連勝を狙った前走は、一気のクラスアップもあるが、堀厩舎にしては珍しく追い不足感が残る調整だった。今回は十分休養を取り、4月の初めから入念な乗り込みを消化している。今週はウッドチップで66.2-37.7秒、単走で外々を回って来ても最後まで脚どりが乱れることはなく、ラスト1ハロンを12.8秒。500キロを超える大型馬だが、重苦しさはまったくなく、不安のない状態が整っている。2連勝はいずれもクビ差と僅かだが、馬群をさばくのに手間取り、届かないと思わせる位置からの差し切り。新間の成績柱には載らない強さ、もっと上が望める素質馬で、もう足踏みはしない。