(大井記念(5月23日 大井 サラ4歳以上 別定 南関東SII 2600m)
大井記念は、秋・東京記念=2400m」と並ぶTCK名物レース。過去55回の歴史があり、その優勝馬には、カツアール(宝塚記念)、テツノカチドキ(東京大賞典2勝)、チャンピオンスター(帝王賞2勝)、アブクマポーロ(G?5勝)…など、一時代を築いたビッグネームがずらりと並ぶ。ただ、近年は明らかにレベルダウン。
オープン馬の“棲み分け”が大きな理由で、本来、帝王賞TRと位置づけられたこのレースに、現実には交流G常連が出走しない。ふり返れば、大井記念→帝王賞連破は、平成15年ネームヴァリューが最後だった。
全盛期のアジュディミツオー、フリオーソも、かしわ記念→帝王賞のローテを選択。現在の競馬趨勢(スピード志向)からは当然だろうが、長距離好き、ステイヤー好きの記者などには、正直寂しい気分もある。
昨年書いたことをもう一度繰り返す。ステイヤーの“復権”には、同レースを交流移行、JRA長距離走者を呼び込む方策がいいと思う。実際、先週行なわれた京都・東海ステークス=1900m。ワンダーアキュート、ミラクルレジェンドの不発は意外だが、勝者ソリタリーキング、2着ニホンピロアワーズをはじめ、いかにも大井2600m向きを思わす馬が少なくなかった。
いずれにせよ砂のステイヤー、そしてその戦いには、まだまだ捨てがたい魅力を感じる。このあたりで一つテコ入れがほしいのだが。
(1)…波乱含み。1番人気[3-1-0-6]と確率が低く、2番人気[3-3-0-4]、3番人気[1-4-1-4]も水準程度。1→2番人気のワンツーは過去10年中1度しかない。
(2)…船橋VS大井。船橋=5勝、2着3回と優勝馬数でリードするが、大井=3勝、2着7回も、アベレージでほぼ互角。大井1〜3着独占の年が2度ある。他は川崎=1勝だけ。
(3)…意外に新鋭。5歳=6勝、2着2回と大きくリード。以下、6歳=2勝、4歳(2着3回)、9歳がそれぞれ1勝。高齢馬(リピーター)も活躍するが、イメージ以上に新鋭有利。
(4)…末脚勝負。逃げ=0、先行=4、差し=12、追込=4。仮に道中スローでも差し有利。勢い重視が鉄則で、前走「ブリリアントカップ」出走組(昨年ツルオカオウジなど)の好走が目立つ。
※データ推奨馬
◎ビービーガザリアス…大井所属・5歳牡馬。3歳暮れに道営から転入しすでに9勝をあげている。父サウスヴィグラスながら末脚勝負型で距離万能。今回軽量(A3=52キロ)にも恵まれた。酒井忍騎手は21年ライジングウェーブで優勝。
☆ ☆
◎トーセンルーチェ 57張田
○ピサノエミレーツ 56町田
▲ビービーガザリアス 52酒井
△マズルブラスト 57戸崎
△ナムラブレット 54和田
△トーセンゴライアス 56吉田稔
△ボンネビルレコード 57的場文
ケイアイライジン 56真島
シツジツゴウケン 54吉原
ヴェガス 52今野
トーセンルーチェで確勝の一戦になった。JRA3勝(千八〜二千五百)、フリオーソの半弟。昨春船橋転入、ゲート難、不器用さ(550キロ超)で足踏みもあったが、前々走大井・金盃を好位から鮮やかに突き抜け、大きな転機をつかんでいる。
続くダイオライト記念=GII3着。前崩れの流れにせよ、兄フリオーソを直線捕え、勝者ランフォルセに1馬身差。気力充実、自ら積極的にレースを作るあたりが本格化の証明で、こうなれば交流GIロードへも夢と視界が一気に広がる。今回大井二千六百m。ステイヤーの試金石として格好だろう。力の競馬で勝ち切り、次走・帝王賞へ挑戦したい。
ピサノエミレーツを相手にとった。こちらもJRA5勝、すべて中〜長距離(千八以上)のパワー型。昨夏函館・マリーンカップ4着などオープン実績も持っている。転入後4戦5、9、5、8着。首の高い走法で気難しそうだが、今回鞍上に追って達者な町田Jを配してきた。母は帝王賞馬ネームヴァリュー。一転真価発揮も十分浮かぶ。
▲ビービーガザリアスは5歳成長株。父サウスヴィグラスながら、じっくりタメて切れ味があり、同産駒としてはハルサンサン(TCK女王盃勝ち)に似たタイプか。3走前、隅田川オープン2着なら格下感もなく、それでいて今回52キロは恵まれた。
このレース3勝目をめざすマズルブラストは今季10歳。筋金入りのステイヤーは言わずもがなだが、最後競り合うケースになって、往年の瞬発力、ガッツははたしてどうか。同馬好走があれば3〜4コーナー、早めに捲った際だろう。
それならJRA転入組、まだ余力を残しているナムラブレット、トーセンゴライアス。前者エイシンサンディ、後者クロフネ産駒で、ともに転入後、地力と南関東適性は随所にのぞいた。
3走前船橋「報知GC」を勝ったケイアイライジンは以後2戦リズムがよくない。鬼脚ボンネビルレコードも、近況からは年齢相応の翳りを感じる。