先週のオークスは2分23秒6のレースレコードで決着。従来のそれを1秒7も更新した。
先行タイプが多いことから緩みのないラップが続くことは想定できたが芝の状態がいいことも拍車をかけている。着目すべき点は先行脚質の馬がそろったことがそのままペースにも反映された点ではないだろうか。
消耗戦といっていいペースで進みながら上がりの速さも要求される馬場状態という現状も見逃せない。同じ東京の2400mで行われるダービーにおいて参考になる内容だった。BコースからCコースへ。仮柵が設置されての最終週の戦い。その違いも踏まえて分析をしてみたい。
今年の3歳牡馬のレベルは高いと個人的に思っている。だが勝ち時計と層の厚さは必ずしも直結はしない。核となる有力勢の脚質が全体のペースにかかわってくるからだ。皐月賞に参戦したメイショウカドマツが今回は不在。ゼロスにとってはこれ以上ない追い風といっていい。ここ2戦は同型との兼ね合いがつかなったことで苦しい戦いを強いられた。単騎でハナを切ることが容易になったうえに広い府中の2400mが舞台。1角までの距離も十分にあるためすんなりと主導権を握ることが可能になる。さらに3番枠。すんなりと先陣を切るためのお膳立ては整った。
あとはゼロスの刻むラップをどう読むか。ためていくよりはある程度後続を引き離した方が味が出るタイプ。騎乗する川田も思い切りがいい。やや速めの平均ラップというところだろう。トーセンホマレボシはスピードを持続して二枚腰を発揮することができる。前走同様に前々で勝負するはず。あふれるスピードの持ち主・ディープブリランテ。こちらは一戦ごとに鞍上との呼吸が合ってきている。抑えながらある程度、先行するスタイルになるだろう。
ゴールドシップは好位。グランデッツァは中団につけてワールドエースは後方待機。
ポイントはトーセンの仕掛けどころか。ゼロスにつかず離れずという形になれば緩みがない。とはいえオークスほどシビアな流れにはなりそうにない。ゴールドシップは当然、ワールドエースを警戒しながら動くことになる。いい脚を持続することができて速い上がりも使える皐月賞馬だ。ワールドと距離を置いた戦い方を選択すると思われる。過去2戦が内めを回っての勝利。6番枠という状況を考慮してもロスのない競馬を貫くだろう。
結論に入りたい。ヒストリカルでどうか。05年のディープインパクト、昨年のオルフェーヴル。のちの三冠馬2頭はいずれも5番枠だった。そのあいだの06年から10年まで。勝ち馬の馬番は2、3、1、1、1である。SS直仔全盛時代と違いSS系の種牡馬はバラエティに富む。脚質も幅広い。よほど力量で図抜けた存在でない限りは大外一気は通用しない。昨年の覇者も馬群を縫っての勝利である。2番枠を引き当てたことは脚質に関係なくアドバンテージになる。道中でロスのない走りが可能。直線でスペースがあきやすい近年のダービーではなおさらプラスに働く。
ヒストリカルは新馬戦で馬群を割って伸びている。反応が良く切れ味があることで多頭数の追い込み型でも脚質的に融通が利く。そして前走の残り150mからの伸び脚。右手前に代えた瞬間に一気に加速したことからも左回りに変わる点が強調材料になると思うのだ。毎日杯から直行というローテーションにも注目している。有力勢は馬場状態が非常に悪化していた皐月賞に参戦。疲労が抜け切っていない心配があるのとは対照的にフレッシュな状態で挑める点がおおいに魅力である。調教の動きが活発化しているようにこの中間の成長力にかけてみたい。
相手はシンプルに。皐月賞で不完全燃焼に終わったグランデッツァ。つなぎの長さや体型から瞬発力勝負ではディープインパクト産駒とも互角以上だ。ゴールドシップは馬群にひるまないハートの強さがある。高速決着にやや不安はあるが総合力で見て死角が少ない。展開面を考慮すればディープブリランテの粘りが怖い。一戦ごとに先急ぐ面も解消されている。
ワールドエースに関してはコース取りに尽きる。大外に持ち出されば確実に伸びる。ただ今年のメンバーは強力。先を行く有力勢にロスのない立ち回りをされると届く確率が下がる。その点がどうか。タフなトーセンホマレボシ。軌道に乗ると短期間で力をつける母系でもあり上がりを要する競馬になれば浮上が見込める。