いよいよ第58回東京ダービーが迫ってまいりました。ダービーと冠したレースは競馬にかかわる人たちの夢。南関東を主戦場にしている私たちにとっては、東京ダービー(南関東クラシック二冠目)です!!
一冠目の羽田盃は、1コーナーと3コーナーで審議となるアクシデントの多いレースになりました。力を出し切れずに終わってしまった馬も多く、その後にはパンタレイとゴールドメダルといった重賞ウイナーが骨折やヒビを発症し戦線離脱(不幸中の幸いで、2頭とも軽度なもの)。
だからこそ、今回は関係者からも「勝ち負けもそうだけど、持っている力を発揮して欲しい」と。レースで力を出し切るのは大変なことですが、この一生に一度のレースだからこそ、1頭でも多くの馬が悔いの残らない走りができることを祈ります。

アートサハラは伸びしろあり
羽田盃はそんな訳で波乱のレースになりましたが、きちんと自分のレースをして、一番輝いたのがアートサハラ(小林・荒山厩舎)です。
「人気がなさすぎだと思っていた」と荒山調教師は羽田盃後に言っていましたが(8番人気)、デビュー前から厩舎サイドの期待の大きい馬でした。しかし、かなり子供で力を出し切れない面もあり、結果に結びつかない日々…。
しかし、ここにきて、サハラ本来の走りを見せてくれるようになりました。だからと言って羽田盃も決して自分の力を出し切っている訳ではないんです。
「最後抜け出して1頭になったら遊びながらフワフワしていたし、まだ全力で走っていない」と今野忠成騎手は言っていて、まだ底を見せていません。
そもそも東京ダービー向きと言われてきて、そこを目標に仕上げられてきた馬なので、その前の羽田盃を制したことがこの馬の力の証でもあるでしょう。
その後も順調に調整を進めてきたそうで、「全体的な力はついてきましたね。本追い切り後もグンと持ち上がってきました。自信を持って送り出したいです」と、いつも調教をつける青柳厩務員。過去にグレイドショウリでダービーを制している担当の松田厩務員は「前は追い切りが終わると疲れを見せていたけど、今はしっかりしてきた」と。

ジャルディーノは馬具を工夫
一方で、同厩の羽田盃3着のジャルディーノ(小林・荒山厩舎)もひじょうに楽しみな存在です。
荒山調教師の期待も大きい馬でしたが、まだまだ子供で真面目に走らない面があったので、2走前からブリンカーとリングハミに替えたことにより集中力が出てきたそうです。
それでも、前走の羽田盃は3コーナー付近で前が壁になる不利や、直線では手応えがあるにもかかわず、前にいたエミーズパラダイスを交わそうとせずに3着。
「自分との戦い」と荒山調教師はこの馬に関して常に言いますが、力を出し切れれば一発を秘めていることに変わりはありません。道悪馬場を克服してきたとは言え、良馬場のほうがより持ち味は発揮できるタイプです。
「大井からデビューした馬たちで東京ダービーに出走できるのはうれしい。2頭とも距離が延びていいし、悔いの残らないレースをしてほしいね。そうすれば、結果はついてくると思うから」(荒山調教師)

成長力大、エミーズパラダイス
南関東所属馬として初めて中央のクラシックレース・桜花賞に駒を進めたことでも知られるエミーズスマイルの初仔エミーズパラダイス(船橋・川島正厩舎)。
前走の羽田盃は1コーナーのアクシデントに巻き込まれる形になりましたが、不利を受けながらも2着に入りました。
「(1コーナーで)距離のロスはかなりありましたが、その後もひるまずしっかり走ってくれました。いい位置につけられて動きたいときに動ける乗りやすい馬で、レースセンスは抜群ですね」と戸崎圭太騎手。精神面の強さも感じさせます。
その後のダメージもなかったそうで、本追い切りは前走以上の迫力ある動きを見せました。
「今回は自分からハミを取って気持ちが出てきたと思います。追い切り後も疲れは見せずに順調です」と調教パートナーの高橋利幸騎手。担当のフリオーソやディラクエでお馴染みの波多野厩務員は「毛づややハリも良化しているし、暑くなってきたけど追い切り後の息の入りも良かった。心肺機能が優れていると思うし、レベルはかなり高い馬」と。
ここまでの内容からも、エミーズパラダイスが一歩リードしている向きもあり、昨年のクラーベセクレタに続き牝馬の東京ダービー馬が誕生するんでしょうか?
「羽田盃はあのようなアクシデントがあっても女の子なのに頑張ってくれて改めて力があると思った。今回の本追い切りは時計が掛かっているけど川島ステーブルなりでちょうどいい。ダービーは運の強さが大事だから、川島ステーブルの運の強さを生かしたい」(川島調教師)

実績上位、プーラヴィーダ
今年開業2年目となる大井の森下厩舎は、中央からの転厩緒戦となるプーラヴィーダを送り出します。中央時代の実績を考えても、ここでいきなり結果を出しても不思議ではありません。血統も、父のフィガロは東京ダービー馬アンパサンドを送り出し、母のカレンダーガールは南関東10勝馬。
5月中旬には大井競馬場に入厩し、朝3時の照明がついている時間に調教を行いながらナイター対策もしてきたそう。
「体の柔らかさ、歩きや走りのバランス、ダイナミックなフォームなどすべてにおいてスケールの大きさを感じます。いろんな競馬をしているのも強みですよね。追い切り後も疲れはなく順調なのがなによりです」と森下調教師。
追い切りで感触をつかんでいた吉原寛人騎手は「バテない馬という印象で、抜かせない根性もありそうです。背中がしっかりしていてボリュームもあって完成度は高そうですね。このいただいたチャンスを生かしたいです」(吉原騎手)
また、同厩で追い込みの個性派プレティオラスは本追い切り後気合い乗りがグンと良くなって上積み十分だそう! ちなみに、お誕生日が6月6日東京ダービー当日です!
キタサンツバサ(船橋・佐藤賢厩舎)は追い出してからフワフワするのを解消させるために浅めのブリンカーを着用予定。ゴールドキャヴィア(船橋・川島正厩舎)は武豊騎手がテン乗り。「気持ちよく先行させてくれそうで、いいんじゃないか」(川島調教師)

スカイインテンス、右回り問題ない
砂の女王ホクトベガの甥っ子スカイインテンス(船橋・松代厩舎)。一度大井で大敗したことがありましたが、急止上げだったこともあり敗因はハッキリしています。右回りは問題ないそうですよ!
ベルモントレーサー(川崎・山崎厩舎)は羽田盃で大きな不利を受けてまったく力を出し切れずに終わりました。幸い、回復も早かったそうで、「羽田盃くらいの状態」(山崎騎手)まで持ち上がってきたのは本当に良かったです。どんなレースでもできるセンスの高さを武器に挑みます。
16頭みんな無事に後悔のない走りを!