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キャプテントゥーレの全弟リジェネレーション

  • 2012年06月13日(水) 12時00分
●チェリーミルズ(牝 栗東・池添兼雄 父Invincible Spirit、母ヒントオブスプリング)
 父Invincible Spiritはヨーロッパで最も優れたスピード血統のひとつであるGreen Desertの系統に属し、現役時代はスプリントC(英G1)を制覇。種牡馬としては英愛ファーストシーズンサイアーチャンピオンに輝き、その後も順調に活躍馬を送り出して人気種牡馬となっている。Green Desert系で母方にダンシングブレーヴを持つ本馬の配合は、Green Desert系の名種牡馬Oasis Dreamと同じ。Sir IvorとDroneのニックスが好相性の核心だ。本馬の2代母Cherokee Roseは、スプリントC(英G1)、モーリスドゲスト賞(仏G1)を勝った名スプリンター。短いところでかなりの活躍が見込める。

●ディオネー(牝 栗東・角田晃一 父ジャングルポケット、母アドマイヤメガミ)
 母アドマイヤメガミはチューリップ賞(GIII)2着馬で、トールポピー(08年オークス-GI、07年阪神JF-GI)、アヴェンチュラ(11年秋華賞-GI)、フサイチホウオー(重賞3勝)の半姉にあたる。本馬はジャングルポケット産駒なので、上記の3きょうだいとは4分の3同血の関係にある。母の父にエルコンドルパサーを挟んでいるので洋芝や道悪が得意だろう。スタミナは十分なのでオークス向き。

●トーセンワープ(牡 美浦・大久保洋吉 父ディープインパクト、母ピンロックリー)
 母の「A.P.Indy×Mr.Prospector」は有名なニックスで、アメリカでMineshaft、Pulpit、Malibu Moonなど多くの名馬を生み出している。2代母Whistはプリンセスオリビア(トーセンラーの母)とよく似た配合構成(近い世代に Mr.Prospector、Northern Dancer、Vaguely Nobleが共通する)なので好感が持てる。なかでもVaguely Nobleは父ときわめて相性がいい。上2頭はさほど走っていないが、大物感のある配合構成なので一発があっても不思議はない。

●ハイパーチャージ(牡 美浦・萩原清 父ステイゴールド、母グランドエナジー)
 半兄ビッグバン(父ネオユニヴァース)は北海道2歳優駿(Jpn3)の勝ち馬。「ステイゴールド×フレンチデピュティ」の組み合わせは、過去にデビューした2頭が準OPを勝ったセイカプリコーンと先々週の新馬戦を勝ったドラゴンレジェンドなので、相性がいいと思われる。ステイゴールドは基本的に芝向きだが、この馬は上がダート重賞を勝っているのでダート向きに出る可能性もある。

●バリローチェ(牝 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母ポトリザリス)
 全兄イグアスはステイヤーズS(GII)2着馬。半姉ディアデラノビア(父サンデーサイレンス)はフローラS(GII)など3つの重賞を制したほか、オークス(GI)とヴィクトリアマイル(GI)で3着となった。母ポトリザリスはアルゼンチンダービー(G1)、アルゼンチンオークス(G1)を制した女傑で、母の兄弟姉妹には3頭のG1ウィナーがいる。近年のアルゼンチンを代表する名牝系に属しており、ポテンシャルはきわめて高い。兄姉同様の活躍を期待したい。

●ラトーナ(牝 栗東・大久保龍志 父Dansili、母レトII)
 母レトIIは英オークス馬Light Shiftの半姉で、Shiva(99年タタソールズゴールドC-愛G1)、Limnos(98年ジャンドショードネイ賞-仏G2)の半妹でもある良血。父Dansiliは仏リーディングサイアーに輝いたデインヒル系の名種牡馬で、クラシックディスタンスを得意とする。代表産駒はハービンジャー(10年キングジョージ6世&クイーンエリザベスS-英G1)、Rail Link(06年凱旋門賞-仏G1)など。本馬は「デインヒル系×Diesis」という組み合わせなので、道悪に祟られた今年の英1000ギニー(G1)を9馬身差で圧勝したHomecoming Queenに似ている。したがって洋芝や道悪が得意で、マイル以上の距離で本領を発揮しそうだ。オークスが道悪になれば楽しみ。

●リジェネレーション(牡 栗東・角居勝彦 父アグネスタキオン、母エアトゥーレ)
 全兄にキャプテントゥーレ(父アグネスタキオン/08年皐月賞-GI)、半姉にアルティマトゥーレ(父フジキセキ/09年セントウルS-GII)がいる良血。母エアトゥーレは阪神牝馬S(GII)を勝ち、フランス遠征ではモーリスドゲスト賞(仏G1)で2着と健闘した活躍馬。2代母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)、京王杯SC(GII)の勝ち馬。日本を代表する名牝系のひとつといっていいだろう。皐月賞など重賞を4勝した全兄キャプテントゥーレと同様の活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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