内回りの2000mが舞台。コーナーを4つ回ることで息を入れやすいのが特徴のコースである。過去10年に絞って傾向を探ってみたい。レースの上がり3Fが最も速かったのは04年の34秒9。そして11年の35秒0、10年の35秒4と続く。コースの形態から速い上がり時計を要求されることはない。逃げ馬は3勝。2着も2回とハイアベレージだ。2、3番手につけた馬が上位3頭に入る確率も高い。スローペースで前残りというのではない。直線の部分が短いことで馬群が固まりやすくそのままゴールまでなだれこむ。そういうケースが多いのだ。
前記の内容は阪神の2000m戦の特性が顕著に出ているということでもある。ただマーメイドSそのものは変化してきている。別定戦として行われていた05年まではGI馬を中心とした実績を持つ馬が重い負担重量を克服して上位を席巻していた。06年から施行時期が早まりハンデ戦に変貌を遂げる。以降はレースの流れが変わってきているのだ。
平均ラップの地力勝負が多かった別定戦の時代と比べて前半のペースは明らかに速い。ハンデの軽い馬の参戦が増えたことで前半から軽快に流れていくのが要因だろう。ここ3年のレースの上がり3Fは35秒7、35秒4、35秒0と年々速くなっている。降雨の多い時期でもあり馬場状態を考慮すれば極端に勝ち時計が速くなることは考えにくい。良馬場なら1分59秒0から2分ジャストあたりが目安か。まずは軽量の先行タイプを確認することが必要になる。さらにハンデが軽いことでいつも以上に前に行く可能性を秘めた馬をチョイスする。
同様に軽量の差し馬にも着目。空模様が不安定な季節である。馬場状態が悪化したときには相反する組み合わせが生じやすいのだ。勝ち馬は追い込み。2着は逃げ馬。そういうケースである。追走するグループは降雨や飛んでくる芝の塊などに闘志が薄らぐ。こうなると直後に位置して外を回って差し込んでくる軽量馬の存在が怖い。軽量馬同士の上位争いを想定する場合はこのパターンを頭に入れておいていいと思う。
ハンデ戦というだけでなく牝馬限定戦である。基本的には軽量馬を主流に置く見立てでいいと思うが昨年のように1、2着馬の力量が明確に抜きん出ている場合がある。そういうときは素直に実績重視で攻めるべきだと考えている。
今年はどうか。GI馬の存在はあっても全体的なメンバー構成は格下の身でも好機がありそうに映る。加えて先行型が例年以上に目につく。
メルヴェイユドールを中心に推す。当コースで3戦を消化。勝ち星こそないが出走馬において2番目に経験が多い。7戦前。牡馬の強敵相手に56kgを背負い1000万下で4着。発馬直後と正面スタンド前で挟まれ、3-4角は前が壁。馬場の大外に出して差を詰めている。展開利が見込めるうえに50kgである。走法から馬場が悪化しても対応は利く。珍しく3番手という積極的な戦法に出た前走。7着という着順から失速したように伝わってくるが実状は違う。4角の反応が悪く一気にポジショニングは下がったがしぶとく盛り返してゴール板の前では勢いがあった。コーナーが4つの2000m戦なら流れに乗ることができる。
先行勢の多さを考慮して相手も差しタイプでどうか。シースナイプは前々走で控えた経験が生きており前走の反応が良かった。ボリュームアップした4戦前から明らかな地力強化を感じさせるクリスマスキャロル。グルヴェイグは関東遠征後の中1週だが体質が強くなっている。夏場に強いアニメイトバイオ。直線でロスのあった前走でも伸びており根性がある。アカンサスも直線で行き場を失いながら脚を伸ばした前走内容がいい。馬場の悪化と50kgを味方につけることができればタイキエイワンが浮上する。