スマートフォン版へ

京成盃グランドマイラーズ展望&関東オークス回顧

  • 2012年06月19日(火) 18時00分
◆京成盃グランドマイラーズ展望
(6月20日 船橋 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1600m)

「京成盃グランドマイラーズ」は、平成9年新設、今年第16回目を迎えるマイルSIII。その優勝馬、サプライズパワー、ネームヴァリュー、エスプリシーズ、さらにナイキアディライトと並べれば、けっして低レベルでもないが、現実に近年は影が薄い。かしわ記念、帝王賞の間に位置し、一流馬の参戦が望めないこと、短距離重賞、牝馬重賞が次々と創られ、それに対し、オープン馬の質と量が追いつかないこと。繰り返し書いた話だが、SIIIの整理統合、でなければ、出走馬の資格変更、条件変更(交流移行など)が、いよいよ急務といえるだろう。

 そしてもう一つ。現在の南関東は、競走馬の格付け(A1とかA2とか)自体が、何やら理不尽、不透明で、少なくとも実情にそぐわない。例えばナターレという4歳牝馬。彼女は「クラウンカップ」「戸塚記念」、2重賞を制し、さらにロジータ記念3着。それでいて“A2”格しか与えられず、いざ重賞を使おうとする際、“JRA5勝、ただし以後2年間19戦すべて2ケタ大敗”などという馬に、いつも行く手をさえぎられる(賞金不足・除外)。何とか正当な新ルールを作ってほしいと思う。当然ながらそれはファンの望むところであり、同時に馬券の売り上げにも大きく響く。

(1)…近年堅め。1人気[4-1-0-4]、2人気[4-0-2-3]。ただ歴史的に は波乱の年も多くあり、20年はコアレスデジタル(8人気)→ベルモントサンダー(6人気)の決着で、馬単65600円をつけている。

(2)…地元断然。船橋=8勝、2着6と圧倒的。続く川崎=1勝、2着1を大きく引き離している。浦和=2着2は、いずれもクレイアートビュンの健闘によるもの。大井は連対したケースがない(3着1)。

(3)…年齢微妙。伝統的に4歳=4勝と強いが、今年は出走馬自体が見当たらない(クラーベセクレタ登録も回避)。次いで7歳=3勝、6歳、8歳がそれぞれ1勝。不思議に5歳馬が勝っていない(2着5)。

(4)…差し有利。逃げ=3、先行3、差し=10、追込=2。船橋千六、全体の傾向は前々有利だが、例年ハイペースで流れるぶん、後方待機組も十分届く。21年セレンは、向正面12番手から豪快な大外一気。

※データ推奨馬
▲ルクレルク…船橋所属、7歳馬。重賞で勝負弱いイメージ(8戦して2着が最高)は拭えないが、それでも前々走「報知グランプリカップ」など勝ち馬に1/2差。加えて距離千六通算[8-5-3-3]だから、流れひとつでチャンスが出る。今回ノンプレッシャー(おそらく5〜6人気)。川島正行調教師=戸崎圭太騎手の黄金コンビ。

       ☆       ☆

◎クリーン      56本橋
○カキツバタロイヤル 56石崎駿
▲トーセンピングス  56張田
△シーズザゴールド  56真島
△ディアーウィッシュ 56今野
△ルクレルク     56戸崎
△ケイアイライジン  56川島
 マグニフィカ    56的場文
 シャア       56町田
 クレイアートビュン 56庄司

 クリーンの爆発力に期待する。JRA6勝、今春4月に船橋転入。その初戦「房の国オープン=地方競馬交流」の勝ちっぷりに、何とも強烈なインパクトがあった。出遅れを3コーナー手前からひと捲り、重賞3勝馬ディアーウィッシュに5馬身差。620kg超、現役有数の巨漢という話題性もさることながら、その圧倒的なパワーに息をのんだ。続く前走はGI「かしわ記念」挑戦。さすがにスピード負けの7着だが、自身千六1分39秒4で走れば収穫がむしろ大きい。8歳馬ながらホワイトマズル×ニジンスキー、重厚かつ奥手の血筋。地元マイルSIIIは、まさしく完全燃焼の舞台だろう。

 昨年このレース、ワンツーを決めたディアーウィッシュ=カキツバタロイヤル。マイル向きのスピード、器用さは前者だが、以後一連のレースぶりからは、すでに後者が総合力で逆転している。適条件(千六)だけを大事に大事に使ってきたディアーに対し、Kロイヤルは、GI〜GIIにも果敢に挑戦。しかも昨春「ダイオライト記念=GII」2着など十分な結果を出した。▲トーセンピングスはJRA4勝、クリーン同様勢いを残した転入で、移籍後船橋[3-1-0-0]。今回ディアーと互角、あるいはそれ以上の評価をしたい。以下、復調気配の羽田盃馬シーズザゴールド、軽い馬場になった際のルクレルクが連穴候補。ケイアイライジンは本質的に不器用でもう1ハロン距離がほしい。GI馬マグニフィカは終いバッタリの繰り返し。復活は厳しい情勢になってきた。

◆関東オークス回顧
(6月13日 川崎 サラ3歳牝馬 定量54キロ jpnII 2100m重)

△(1)アスカリーブル 2分14秒1
▲(2)サトノジョリー 1.1/2
 (3)シラヤマヒメ 3
△(4)マシュマロ 4
○(5)レディソルジャー 1.1/2
 ………………
(6)ショコラヴェリーヌ
△(7)グラッツェーラ
△(8)エイシンキンチェム
 (9)コテキタイ
◎(13)オールドパサデナ

単540円 馬複1110円 馬単2750円 3連複13850円 3連単60200円
 
 アスカリーブルが、東京プリンセス賞に続く見事な差し切りで牝馬二冠を達成した。関東オークス、地方馬優勝は交流G移行後2頭目、18年チャームアスリープ以来6年ぶり。勝ち時計二千百2分14秒1も過去10年中第2位(昨年カラフルデイズ=15秒9)だから、今日の勝利はほぼ手放しで賞讃できる。

 同馬は体つきこそほっそり華奢だが、心身ともイメージ以上に逞しい。記者は検討記事、「昇り目より疲労が心配」などと書いたが、現実はまったく違った。今思えば、第一冠・桜花賞回避(京浜盃に挑戦・4着)がむしろ惜しい。当時エンジェルツイート出遅れ、コテキタイの逃げ切り。タラレバ…ながら、かなり高い確率で3冠牝馬が誕生していた(と思う)。

 アスカリーブルは、兵庫4戦4勝、昨秋10月に船橋転厩。以後トントン拍子とはいかなかったものの、2月浦和・ユングフラウ賞を制し、そこが大きな転機となった。父ブラックタキシード(SS直仔・セントライト記念優勝)。本質中〜長距離型とイメージでき、道中捲り気味に動いていい脚を長く使う。

「前走(プリンセス賞)の感触がよかったし、僕がうまく乗れば勝てると思った。JRA馬相手だからよけい嬉しい。力が証明できました」(今野騎手)

 川島正行調教師のコメントも同様で、「乗り役さん(今野J)にはじっくり乗ってくれと指示を出した。その通りの騎乗。ウチに来て戦歴以上に力をつけた。地方馬がなかなか勝てないレースだから、なおさら“やった”という気分があります」。

 ただ優先出走権を得たジャパンダートダービー、スパーキングレディーCに登場するかは、現状白紙。ここまで緊張感の強いレースが続いただけに、ひと息入れる選択もあるだろう。「ゆくゆくはクラーベセクレタ(同厩舎)と好勝負させたい。ひとまず馬と相談して…」(川島師)。今の南関東陣営。3歳牝馬だけは水準以上のレベルにある。

 レース自体はサトノジョリーが支配した。スタートひと息ながら馬の闘志が優った形で3コーナー先頭。自身初コース、初距離を2分14秒4だから、例年の優勝馬レベルに十分届く。管轄外の話かもしれないが、鞍上・C・ウィリアムズJには“腕”を感じる。ゲート難、初コース、少なからずハンディが大きい馬をこれだけスムーズに動かせた。

 シラヤマヒメ3着は記者現時点で消化できない。父サクラローレルの充実度か、あるいは偶然の大駆けか。それでもハイペースの3番手追走を思えば、今後軽視できない存在になる。

 逆にマシュマロは、戦歴通り、時計通りの4着だった。全姉ユキチャンをひと回り小さくした馬体で、レースぶり自体もスケールひと息。エイシンキンチェム、コテキタイは、内枠リカチャンスにハナを叩かれた時点で、結果的に勝機がなかった。◎オールドパサデナは好位からジリ下がり。何かアクシデント(脚部不安)があったかのような大敗だった。現時点で記者に情報源が正直ないが、いずれにせよこんな馬ではないとも思う。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング