06年から現行のハンデ戦に変更。人気馬同士で決着することもあれば人気薄の奮闘もある。別定戦の当時と比較して全体的な変化はない。この時期の3歳馬同士だ。ましてクラシック戦線の有力馬は休養に入っている。見方を変えればトップハンデの馬は苦しい立場だということ。力量差以上の負担を強いられていることが多い。該当馬は過去6年で7頭おり連対馬は1頭のみ。残りの6頭は4着以下に沈んでいる。このポイントは頭に入れておきたい。
福島競馬場の芝1800mが舞台。馬場の形態に大きな特徴はない。正面スタンドの前から発馬。1周してゴール板が待つ。関西圏でいえば小倉の同距離と似通っている。回るコーナーは4つ。ローカルコースらしい形状といっていい。
2つめのポイントについて触れる。すでに福島開催は3週目を迎えているがその前の開催は東京である。広大で速い上がりが要求された。同じ馬が出走してきてもコースの設定は大きく異なっている。東京でいい答えが出なかった場合でも当コースで一変する可能性を持っているのだ。他のローカルコースに出走経験があるようなら参考にすべきだろう。
同様に東京のさらに前の開催である中山。小回りに近いことを考慮すればそこでの内容に注目すべきだ。今年の参戦馬16頭のうち福島の芝コースを経験しているのはダイワマッジョーレ1頭だけ。同じ1800m戦で勝っている。優位に映る材料だがスローペースの戦いで同馬が使った上がり3Fの数字は33秒9。典型的な上がりの競馬だった。このレースの傾向とは明らかに違う。
冒頭で別定戦の当時と全体的な変化はないことには触れた。上がりを適度に要するという部分も同様だが前半と後半のペースがハンデ戦になってからの方が安定している。過去6年で前半3Fと後半3Fがいずれも35秒台だった年が4回。残りの2回も前半は35秒台である。06年は重馬場だったことが影響して後半は37秒9。36秒3だった09年は勝ち時計が1分48秒3。これは過去10年に広げても良馬場では最も遅い。基本的には前半の3Fが35秒台半ば。後半のそれが35秒台半ばよりやや速い程度。つまり平均的な流れになりやすい。これが3つめのポイントである。
緩急のある展開にはなりにくい。平均的にいい脚を使うことができる馬が好走している。スピードの持続力とある程度の持久力が要求される。そしてトップハンデは苦戦。3つのポイントを要約すればそういうことになる。
ただしトップハンデについては少し考えの範囲を広げるべきかもしれない。6年で7頭のうち57kgが6頭。56kgは1頭。57kgは14、2、8、4、8、9着。08年のノットアローンは2着。トップハンデで1頭だけ連対している。同年に同じハンデを課せられたサブジェクトは8着に敗退。トップハンデが2頭存在したのはこの年だけである。56kgは06年のトウショウシロッコで4着。馬券対象に迫っている。
つまり全体的に57kgの馬は不振だが唯一の連対を果たしている。その年は2頭、57kgの馬がいた。56kgは1頭だけで4着と大崩れしていない。
今年はアーデント、サンレイレーザーとトップハンデが2頭いて56kg。過去に1回のケースが重なっているのだ。これは興味深い状況だ。いずれかが連対する可能性が高いとも考えられる。57kgではないことを重要視すればこの2頭が1、2着となってもおかしくはない。逆の視点に立てば他の馬とのハンデ差がほとんどないということである。それだけ力量が拮抗している証明でありトップハンデかどうかという現実にこだわる必要がないとも言えるのだ。
ヤマニンファラオを中心に推す。ここ2戦に当レースへの適性の高さが表れている。前々走の青葉賞では直線でもたつき前が壁になるロス。前走の白百合Sは発馬でつまずく不利もあったうえ青葉賞で減っていた体重が戻っていなかった。復調途上に加えてコーナーが2つのレース。頭が高いこともあって直線の長い舞台は向いていない。伸び負けするのである。今回はコーナーが4つの小回りコースでの1800m戦。心身ともに成長が遅いこの馬の現状において最も合っている条件のように思える。55kgのハンデも恵まれたといっていいのではないか。
タイセイグルーヴィは身のこなしが良くスナップの利いたいい姿勢で走る。持久力に加えて適度に速い上がりも使うことが可能。能力は高い。1kgハンデを見込まれた印象はあるがサンレイレーザーはタフで前向きな面を持つ。コーナーが4つあることで折り合いもつく。直線の短いコースが合うアーデント。小回りという舞台も行きたがる気性にはプラスに出るだろう。ファイナルフォームは粗削りな分、上昇の余地がある。既出走馬を相手にデビュー戦で中山の1800mで勝利。当コースへの対応力も十分にありそうだ。血統背景と小回りコースに変わる点を追い風にオペラダンシングの浮上に注意したい。