◆ジャパンダートダービー回顧
(7月11日 大井 サラ3歳 定量 jpnI 2000m 良)
○(1)ハタノヴァンクール 2分05秒3
△(2)トリップ 1
◎(3)アートサハラ 3
△(4)オースミイチバン 1/2
△(5)ホッコータルマエ 1/2
………………………
△(6)プレティオラス
▲(7)ストローハット
△(8)アルドラ
△(9)フリートストリート
単290円 馬複1260円 馬単2400円 3連複17140円 3連単53800円
ハタノヴァンクールが、期待通りの破壊力を発揮した。フリートストリート、トリップがペースを作り、36.1-49.9-63.3秒、交流GIとすると超スロー。しかしそのぶん、ハタノヴァンクールはいつもより楽な形で中団キープ。直線あと1ハロン、自信満々に外へ出し、粘るトリップを並ぶところなく差し切った。自身上がり36.0秒、文字通り究極の鬼脚。改めてそのスケールに驚かされた。キャリア6戦の3歳馬とは思えないパワーと闘志。
「道中前へ行けないのは(馬の)性格でしょう。でも最後はいつも素晴らしい脚を使ってくれる。会心の競馬ができた」(四位洋文騎手)
二千=2分05秒3こそ平凡だが(昨年グレープブランデー=04秒9)、レースのインパクトを思えばとるに足らない。JDD史上、掛け値なしに有数の強さ(内容)とみえた。
ハタノヴァンクールは、キングカメハメハ×ブライアンズタイム、栗毛の牡馬。ダート4戦4勝、登竜門である中山・伏竜S、京都・端午Sを制しここに臨んだ。
「早くからこのレース(JDD)を意識していた。道中物見をしたりでまだ若さがあるが、完成したら凄い馬になると思う」(昆貢調教師)
当日9キロ増えて493キロ、それでいてすっきりしなやかな馬体で、脚さばきにも無駄がない。今後は夏場充電、次走未定とされたが、古馬との対戦がなんとも楽しみ。トランセンド、スマートファルコン、現在頂点に立つ馬が先行タイプだけに、よりいっそう興味が沸く。言わずもがなヴァンクール自身は、中〜長距離志向、本格派の追い込み馬だ。
2着トリップも好内容。初ダートをごく自然流に先行し、直線いったん独走を思わすシーンがあった。父クロフネ、母ビーポジティブ(船橋・クイーン賞勝ち)。やはり血は争えないというべきか。芝(弥生賞2着など)ダート、多様にこなし、しかも距離オールマイティの絶対能力。今後へ向け視界が大きく広がった。
アートサハラ3着は、3コーナー、強気に外から捲った今野Jの好判断。結果勝ち馬と4馬身は現時点の限界だが、それでも自身の自力、個性をアピールした点で意味がある。JRA馬相手でも、自分の舞台なら好勝負可能ということ。荒山調教師の口から「秋はセントライト記念→菊花賞…」のプランが出たことも、地方ファン、南関東ファンとすると、久々に感じた“ロマン”であった。
オースミイチバンは、終い脚いろが鈍ったアートサハラを交せず4着。終始流れに乗り切れなかったストローハット、ホッコータルマエを含め、ユニコーンS好走組は、距離二千でのスタミナ、折り合いに課題を残した。
以下、久々で失速フリートストリートが、次走どう変わってくるか。自分の競馬に徹したプレティオラスも、上がり36.6秒(トリップと同記録)なら内容自体悪くなかった。あるいは同馬も、アートサハラ同様、目標“菊花賞”という選択肢があるかもしれない。