●アイリーンバローズ(牝 栗東・武田博 父マンハッタンカフェ、母リトルアロー)
全兄アントニオバローズはシンザン記念(GIII)を勝ち、日本ダービー(GI)では3着となった。不良馬場を激走した影響なのか、その後の成績は振るわなかったが、騎乗した角田騎手(現調教師)が能力を高く評価していた。本馬はその全妹。「マンハッタンカフェ×Kingmambo」という組み合わせは、ダイワバーバリアン(10年NHKマイルC−GI・2着、09年朝日杯FS-GI・3着)と同じ。Kingmamboはキングカメハメハやエルコンドルパサーの父で、底力があるため、ハマればG1級の能力を発揮する。兄同様の活躍を期待したい。
●アウォーディー(牡 栗東・松永幹夫 父Jungle Pocket、母Heavenly Romance)
母ヘヴンリーロマンスは牝馬ながら天皇賞・秋(GI)を制したほか、札幌記念(GII)、阪神牝馬S(GII)を勝った名牝。日本で3頭の子を産み、その後渡米して繁殖生活を送っている。本馬はアメリカで誕生した。そのため血統表記がアルファベットとなっている。「ジャングルポケット×サンデーサイレンス×Sadler's Wells」という配合馬は過去JRAで4頭出走し、2頭が勝ち上がっている。勝ち上がったジャンバルジャンとクラシックセンスの兄弟は、芝・ダート兼用ながらどちらかといえばダートのほうがいいタイプ。Sadler's Wellsのパワーがそのような傾向を作っているのだろう。本馬の母ヘヴンリーロマンスは芝で鋭い脚を使ったタイプなので、力馬タイプではないと思われるが、距離適性は長くなりそう。中長距離で本領を発揮しそうだ。
●オクタヴィア(牝 美浦・古賀慎明 父アドマイヤムーン、母モエレプット)
母モエレプットは現役時代、ホッカイドウ競馬のエーデルワイス賞(Jpn3・ダ1600m)で2着となった。本馬は「アドマイヤムーン×ゴールドヘイロー」という組み合わせ。サンデーサイレンス3×3というクロスがある。過去、JRAでこのクロスを持つ馬は1頭しか走っていないので、現時点で成功失敗は判断しづらい。父アドマイヤムーンは素軽いスピードが持ち味なので、母方に重厚な血を持つものが大物に育つ傾向が見られる。本馬の2代母の父アルカングはフランスのスタミナ血統なので、アドマイヤムーンには合う可能性がある。母方にある重厚な血やダート向きの血が、父にとの相性ではプラスに出るだろう。芝向きのマイラー。
●ボブキャット(牡 美浦・久保田貴士 父ダイワメジャー、母カーラパワー)
半兄ダノンシャーク(父ディープインパクト)は重賞未勝利ながら、マイラーズC(GII)、京都金杯(GIII)、エプソムC(GIII)でいずれも2着となっている。いずれ重賞タイトルを手にするだろう。半姉ターキー(父Sinndar)はダイヤモンドS(GIII)6着、半兄スティルゴールド(父フジキセキ)はスプリングS(GII)7着、半姉レイカーラ(父キングカメハメハ)は3戦2勝と、産駒はコンスタントに走っている。母カーラパワーはFame and Glory(愛ダービー-愛G1、アスコットゴールドC-英G1など欧州でG1を5勝)と配合構成が似ているものの、Caerleonの素軽さがうまく出ているので鈍重さは伝えていない。ただ、決め手の甘さは多少感じられる。本馬は、同様に決め手に自信があるとはいえないダイワメジャー産駒なので、そのあたりが課題になりそうだ。コンスタントに走る一族なのでPOGでは計算できる。
●モンテエベレスト(牡 美浦・二ノ宮敬宇 父アグネスタキオン、母ウィルダネスストーム)
半姉オールタイムベスト(父ブライアンズタイム)は準OPで2着の成績がある。2代母Wilderness SongはスピンスターS(米G1)などGレースを5勝。カナダの最優秀古牝馬に選ばれた名牝だった。これにStorm Catをかけて母ウィルダネスストームが生まれ、これとアグネスタキオンとの間に本馬が誕生した。母方にStorm Catが入るアグネスタキオン産駒はあまり成功例がないものの、Wild Againとは好相性を示しており、JRAで出走したわずか5頭からサンライズプリンス(10年ニュージーランドT-GII)、ランザローテ(09年オプロキオンS-GIII)と2頭の重賞勝ち馬が出ている。芝・ダート兼用のマイラー。