習志野きらっとスプリント(7月20日 船橋 サラ3歳以上 別定 地方交流 南関東SIII 1000m)
「習志野きらっとスプリント」は、昨年新設のSIII。昨今いささか濫造、食傷気味の感もある短距離重賞だが、このレースは“地方スーパースプリントシリーズ”そのファイナルという位置付けに意味があり、実際昨年はラブミーチャン(笠松)が優勝した。元より「船橋千m」は、地方競馬場コース(短距離)コースの中で、最もオーソドックス、紛れのない舞台と思う。文字通り純粋なスピード較べ。ひところより馬場が重く(深く)なっている点が微妙といえば微妙だが、それでも基本ははっきり力勝負、時計勝負だ。
ただ今年のメンバー。正直まだ不満がある。昨年の1~2着馬、主役と相手役はそろったものの、これを脅かす脇役が物足りない。地方スプリントシリーズ、意図と狙いは十分わかるが、現実に機能しているかは大いに疑問で、例えばTRの一つである道営「グランシャリオ門別スプリント」からは一頭の出走もなかった。競輪、競艇など他種競技とは違う競馬の難しさ(出走を義務化できない)。それでもプログラムを組んだ以上…とはやはり思う。各競馬場の協力態勢と連携意識を高めること、競走条件の再考(主に斤量面)を図ること。笛吹けど踊らず――。このムードが充満すると、シリーズ自体の無力化、形骸化も、それこそあっという間に進んでしまう。
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◎ラブミーチャン 56濱口
○ジーエスライカー 57坂井
▲トーセンクロス 57町田
△バトルファイター 56石崎駿
△バロズハート 57真島
△ギオンゴールド 54和田
△セントラルコースト 58御神本
グッドリーズン 56大山真
ダイワディライト 58今野
テイエムヨカドー 56笠野
ラブミーチャンVSジーエスライカー。昨年は前者11/2馬身差の完勝だった。改めてVTR。ダッシュよく逃げたライカーに対し、ラブミーチャンは首をときおり上げながらかなり厳しい追走とみえ、それでいて直線外からねじ伏せた脚は、牝馬=牡馬、そのイメージを大きく覆すパワーがあった。GI「全日本2歳優駿」圧勝を筆頭に、東京盃2着、JBC4着のスピード能力。好不調、微妙に波のあるタイプと推測するが(意外なほど繊細)、今季は「かきつばた記念」3着、前走TR「名古屋でら馬SP」圧勝とステップがきわめていい。再び相手の出方をうかがいつつ自在の勝負。船橋千mは最もフィーリングが合っている。
対してジーエスライカーは、今春東海へいったん移籍、3戦1、2、6着と合格点の競馬をみせてきた。船橋千58秒7、大井千二1分10秒8の持ちタイム。ただラブミーチャンと同じサウスヴィグラス産駒でも依然逃げ一手から脱皮できず、今回再び相手の執拗なマークがある。いずれにせよ“大事“に乗っては脈が薄い。一気に飛ばし4コーナー、引き離す作戦がベストだろう。
脇役(伏兵)の台頭。TR川崎「スパーキングスプリント」快勝トーセンクロスは、当時文字通り閃光の切れ味で、JRA時千二4勝の実績からも額面通りの評価ができる。追って達者、混戦に強い町田J向き。人気2頭、ペースが上がって直線勝負なら一角崩しも十分浮かぶ。以下、南関東4冠馬(トーシンブリザード)の父から“速さ”を受け継いだバトルファイター、地方転入、新境地をみせたバロズハートに可能性。ギオンゴールドは自在のスプリンターながらパンチ力ひと息。セントラルコーストも久々を割り引くと今回食指が動かない。