◆サンタアニタトロフィー展望
(8月1日 大井 サラ3歳以上 ハンデ 南関東SIII 1600m)
サンタアニタトロフィーは、昭和55年関東盃の名称で創設。当時重賞レースが少なかった経緯もあり(グレード制導入前)、実質上、帝王賞、東京大賞典に次ぐ、格と重みを持っていた。歴代優勝馬には、テツノカチドキ、ガルダン、ジョージモナーク、アブクマポーロなど、そうそうたる名前(今でいうGI級)が並ぶ。ただ、近年はかなり寂しい。もとより酷暑の時期であること、重賞増加、対してオープン馬の質量が追いつかないこと。いわゆる“B級グルメ”に、レース格を下げてしまった。
昨年一転条件変更(千六→千八)、しかも“外国馬招待”はドラスティックな改革と思えたが、結局これは単発の“記念競走”で終了らしい。何やら八方ふさがり。外国馬、JRA馬への開放は“経済上”難しいという結論か。それなら現存オープン馬のレベルアップ以外に手だてはない。ひとまず南関東、素質馬、上昇馬の奮闘がテーマになる。なお今回データは昨年を例外とし、13〜22年、10年間の数字でまとめた。
(1)…波乱含み。1人気[4-3-0-3]、2人気[2-3-2-3]は悪くないが、このワンツー決着は近年ない。3番人気は[2-0-1-7]と両極端。伏兵がどこかにからむパターン。
(2)…大井優勢。大井=7勝、2着3回。出走頭数比を割り引いても注目できる。船橋=3勝、2着6回もイメージ通り。他場所好走は浦和クレイアートビュン2着、川崎ロッキーアピール3着だけ。
(3)…4歳馬。4歳=5勝、2着3回と大きくリード。次いで5歳=2勝、2着2回、6歳=2勝、2着2回と、これは同数。ただ7歳馬=1勝、2着1回、8歳馬も2着に2頭食い込んでいる。
(4)…好位差し。逃げ=1、先行=6、差し=11、追込み=2。過去10年、純粋な逃げ切りは1頭もなく、好位差しが主流。ハンデは、56〜56.5キロの馬が断然強く、4勝して2着7回。
※…データ推奨馬
◎トーセンピングス…JRA4勝→南関東3勝の6歳馬。前々走GII・さきたま杯も見せ場十分の4着で、転入後、再び旬という見方ができる。手ごろなハンデ56.5キロ。鞍上・張田Jは、過去このレース=4勝、2着1回、3着1回。抜群に相性がいい。
☆ ☆
◎ピエールタイガー 56.5 真島
○マグニフィカ 57 吉原
▲ファイナルスコアー 56.5 戸崎
△カキツバタロイヤル 57.5 石崎駿
△トーセンピングス 56.5 張田
△スマートインパルス 57 御神本
△ボンネビルレコード 58 的場文
ゴーディー 55 赤嶺
シーズザゴールド 56.5 山崎誠
ケイアイライジン 57 川島
ディアーウィッシュ 57 今野
ラインジュエル 54 有年
前フリでやや悲観的な話を書いてしまったが、実際メンバーが出てみると、今年は最近になく興味深々の顔ぶれ(とりわけ馬券上)になったと感じる。3連覇を狙うカキツバタロイヤルが健在なこと、実績上位マグニフィカ、シーズザゴールドが復活したこと、そしてピエールタイガー、ゴーディーら4歳成長株が出てきたこと。さらにJRAからの移籍組、ファイナルスコアー、トーセンピングスも、近走の内容から十分な脈がある。1番人気がどの馬か。それがまずつかみにくい。
◎ピエールタイガーは、勢いと上昇度をそのまま買った。今季マイル戦に狙いを定め5戦5勝。いずれも自然流の先行で直線独走、1分38秒台を3度マークだから重賞級でもヒケをとらない。道営時当地クラシック「北海優駿」勝ちの絶対能力。父カコイーシーズの産駒は波に乗って強く(コンサートボーイ、エスプリシーズなど)、鞍上・真島Jとのコンビ[7-0-1-1]。レース運び自体、自信と余裕にあふれている。近走“川崎”にこだわったのは、左回り適性うんぬんというより、相手関係を見つつ1戦必勝、賞金上積み(重賞出走権確保)を図った戦略だろう。フルゲート16頭、11番枠。流れ、位置取りは微妙にみえるが、本来逃げにこだわらず力の競馬ができるタイプだ。
ひとまず“頭”は決まったが、その相手選びに再び迷う。前走復活マグニフィカはもとより十分なレベルがあるGI馬で、素直に本線と考えた。JRA5勝、前走の武蔵野オープン快勝ファイナルスコアもむろん有力だが、今回は能力=人気、戸崎J鞍上で馬券的に妙味が薄い感もある。
3連覇をめざすカキツバタロイヤルは純粋なマイラーではなく、レースレベルが上がると(極端な高速決着)楽観できない。ある程度の好走確率を備え、人気バランスという意味では前述トーセンピングスが推奨馬か。
ボンネビルレコードはやはり大混戦が前提で、本来不器用なシーズザゴールドも新鮮味を欠く。それならムラでも実績互角、意外性のあるスマートインパルス。復帰御神本Jとのコンビ[6-0-0-1]だ。