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3億7800万円の超良血馬ラストグルーヴ

  • 2012年08月01日(水) 12時00分
●アディシオン(牝 美浦・鈴木康弘 父マンハッタンカフェ、母クリスマスツリー)
 母クリスマスツリーは生涯で24戦して掲示板を外したのはわず3回、という堅実な馬で、府中牝馬S(GIII)4着、エリザベス女王杯(GI)6着と重賞でも頑張った。繁殖牝馬としても優秀で、これまでにジョリーノエル(父スペシャルウィーク/準OP)、カオリンツリー(父エルコンドルパサー/OP)、クリスマスキャロル(父アグネスタキオン/12年マーメイドS-GIII・2着)などを送り出している。「マンハッタンカフェ×トニービン」はヒカルオオゾラ、テイエムオーロラ、シルクウェッジなどコンスタントに活躍馬を出している組み合わせ。芝中距離でいいところがありそうだ。

●ラストグルーヴ(牝 栗東・藤原英昭 父ディープインパクト、母エアグルーヴ)
 昨年夏のセレクトセールで1歳馬としては史上最高の3億7800万円(税込)で落札された。母エアグルーヴは牝馬ながら年度代表馬に輝いた女傑で、繁殖牝馬としてもアドマイヤグルーヴ(父サンデーサイレンス/03、04年エリザベス女王杯-GI)、フォゲッタブル(父ダンスインザダーク/09年ステイヤーズS-GII、10年ダイヤモンドS-GIII)、ルーラーシップ(父キングカメハメハ/12年クイーンエリザベス2世C-港G1など重賞5勝)、グルヴェイグ(12年マーメイドS-GIII)など次々と活躍馬を送り出している。とくにグルヴェイグは全姉なので重賞勝ちの実績は心強い。このファミリーはやや完成の遅いところが見られ、本当に良くなるのは古馬になってからだが、藤原厩舎の手腕によって3歳春に開花してもおかしくない。デビューが待ち遠しい。

●エーシンサファイア(牝 栗東・藤岡健一 父Giant's Causeway、母Bless)
 昨年9月、米キーンランドのイヤリングセールにおいて30万ドル(約2400万円)で落札された。半兄フサイチギガダイヤ(父Storm Cat)はOP馬、同じく半兄のBrave Tin Soldier(父Storm Cat)はクリフハンガーS(米G3)を勝った。フサイチギガダイヤは1歳時に340万ドル(約3億7400万円)で落札されたので、それに比べると10分の1以下の価格だが、当時は“Storm Catバブル”の真っ最中だったので明らかに値段が高すぎた。本馬は半妹とはいえ正確には4分の3妹。父Giant's Causewayは米リーディングサイアーに二度輝いた名種牡馬なので期待できるだろう。基本的にはダートのほうがいいタイプだが、短めの距離なら芝もこなせるはず。スケールの大きな走りを期待したい。

●クリノバトゥーラ(牝 栗東・南井克巳 父ゴールドヘイロー、母カトリア)
 全姉モエレエターナルは南関東でニューイヤーC、ユングフラウ賞を勝ち、浦和桜花賞と東京プリンセス賞で2着、羽田盃で3着という成績を残した。半兄アポロフェニックス(父アフリート)は函館スプリントS(GIII)やアイビスサマーダッシュ(GIII)で3着。母カトリアは高いポテンシャルを秘めている。本馬はNear≒Caerleon 3×2という大胆は配合。ハマれば飛距離が出るので一発があっても不思議はない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

●エレクトラピサ(牝 美浦・堀宣行 父キングカメハメハ、母ピサノパスティーユ)
 母ピサノパスティーユは「サンデーサイレンス×Caerleon×Vaguely Noble」という底力あふれる配合で、現役時代に芝中距離で1000万クラスまで出世した。繁殖牝馬としては種牡馬次第で大物を出せるポテンシャルを秘めていると思われる。父キングカメハメハは期待のできる交配相手の1頭。母方にサンデーサイレンスとCaerleonを併せ持つキンカメ産駒にはトーセンアドミラル(12年マーチS-GIII・4着)、マイネエポナ(12年フェアリーS-GIII・2着)などがいる。芝向きの中距離タイプだが、もし仮にスピード面に問題があった場合でもダートでツブシがききそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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