他球団で成績が伸び悩む選手、戦力外となったベテランをトレードで呼び寄せ、起用法を変えるなどして、再び活躍させる…野村克也元監督の後期のチームは“野村再生工場”とも呼ばれた。一方、現在の佐山厩舎は“サラブレッド再生工場”と言えるかもしれない。関東で頭打ちになったサラブレッドが転厩してきて、その多くが活躍しているからだ。

　1000万昇級後は食い足りない成績に終わっていたウインドジャズは、佐山厩舎に移籍後末脚に磨きがかかり、1000万→準オープンを連勝してオープン入り。障害馬フサイチアソートも13着大敗後に転厩して成績を上げ、重賞で2回掲示板に乗る活躍を見せている。

　次々に関東からの転厩馬が走り出していることにトレーナーも手応えを感じているようで「なんでも馬を持って来い」と話していたとかいないとか…。で、今週の“再生工場”の目玉商品は小倉記念のワルキューレだ。

　転厩前は準オープンで9戦連続掲示板を外していた馬が、移籍後みるみる活力を増強し、3走連続2着→昨年のエリザベス女王杯6着という大健闘を演じた。以後3戦は小休止したものの、前走は今回人気のダノンバラードの2着。夏に強い牝馬、夏に強いステイゴールド産駒…何やら不気味だ。

「状態は変わりなくいい。上位馬とだいぶハンデ差があるし、あとはいい馬場でやれるかどうかだけ」と猿橋助手。来週、同距離の自己条件があるにもかかわらず格上挑戦してきたのは、それだけ手応えがあるからに違いない。何がしかの印を回さないといけないと思っている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)

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