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黒潮盃展望

  • 2012年08月14日(火) 18時00分
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◆黒潮盃展望
(8月15日 大井 サラ3歳 地方競馬交流 別定 南関東SII 1800m)

「黒潮盃」は、今年第46回目を迎える3歳重賞。かつては4月、クラシック最終TR(京浜盃と羽田盃の中間)として行なわれ、それが平成11年から8月に施行時季移行、以後、上昇馬を含めた“秋へのステップレース”へと、位置付け、役割りが大きく変わった。さらに17年からは“地方競馬交流”へと条件改定。現実に19年マルヨフェニックス(笠松)、23年オオエライジン(園田)、ハイレベルの優勝馬が出ているから、レースの狙い(番組編成サイド)自体は、まずまず成功といえるだろう。いずれにせよ南関東における“3歳馬限定重賞”は、このレースと、9月7日川崎「戸塚記念」で終了する。それぞれ大井千八、川崎二千百、選手権距離で行なわれる以上、その優勝馬には交流GI(東京大賞典、川崎記念など)級の活躍を期待したい。ちなみに黒潮盃を文字通り“出世レース”にしたのは、17年ボンネビルレコードただ1頭。ただ同馬の場合、GI制覇が、その後JRA移籍、美浦在籍時の快挙だけに、地方ファンとすると少々複雑な思いもある。

(1)…波乱含み。1番人気[4-2-1-3]は合格点だが、2番人気[1-1-2-6]、3番人気[1-0-0-9]と信頼度がきわめて低い。昨年も1人気→9人気の決着で、馬複3790円。人気馬から薄目…のパターン。

(2)…船橋VS大井。船橋=4勝、2着5、大井=4勝、2着4とほぼ互角。残る2勝を、19年マルヨフェニックス、23年オオエライジン、他地区遠征馬が勝っている。ただし他地区トータル[2-0-1-23]。アベレージは高くない。

(3)…牝馬微妙。牝馬は21年ツクシヒメ優勝、16年アイチャンルック2着、通算[1-1-2-11]。ただ昨年ハルサンサンなど人気ほど走れなかった例もあり、半信半疑というところか。東京ダービー上位(1~5着)馬はやはり強く、3勝して2着1、3着1。

(4)…好位差し。逃げ=2、先行=4、差し=11、追込=3。逃げた馬の連対はいずれも人気薄で、マークされるケースでは厳しい傾向。ジョッキーでは地元・的場文男騎手。黒潮盃通算7勝。ここ10年=不・2・1・1・13・4・4・5・不・3着は特筆に値する。

※データ推奨馬
◎ダイヤモンドダンス…大井生え抜きのリンカーン産駒。羽田盃5着、ダービー4着、いずれも強靭な末脚で健闘した。ここまで未勝利は少し不思議だが、デビューから一貫強敵に挑戦した経緯もあり、ごく単純に巡り合わせということだろう。何より魅力は鞍上・的場文騎手。前述ボンネビルレコードとイメージがダブる。

       ☆       ☆

◎アスカリーブル    57今野
○ロンドンアイ     56戸崎
▲ダイヤモンドダンス  56的場文
△ジャルディーノ    56真島
△エスワンプリンス   57鮫島克
△シラヤマヒメ     54御神本
△グラッツェーラ    54本橋
 ディーオ       56左海
 ドゥフトライネン   56繁田

 アスカリーブルの能力、実績を素直に買う。プリンセス賞→関東オークスと見事な2冠。いずれも道悪を3~4コーナー豪快に捲りあげ、最後もうひと脚使ってみせた。エンジェルツイート、エミーズパラダイス、ゴールドキャヴィア…牝馬ハイレベルの中で当初地味なイメージだったが、どうして終わってみれば、最高かつ究極の仕事をした。450kg台、一見華奢な馬体ながら、いざ実戦に行って持久力、精神力、内面がとにかく強い。今思えば桜花賞回避(寮馬Gキャヴィア出走)は惜しかった。優勝コテキタイ(ユングフラウ賞で一蹴)との力関係からは、17年チャームアスリープに続く牝馬3冠も、タラレバではない現実味がある。ともあれ交流GII関東オークスを制した以上、今回牡馬相手でも自信の出走といえるだろう。中2か月まったく緩めず乗り込まれ、タフさを証明。増量57kgだけが未知数だが、いったん流れに乗ってしまえば、それも大きな減点ではない。

 ロンドンアイが改めて試金石だ。デビュー3連勝、パンタレイ(京浜盃勝ち)を持ったままちぎったスピード能力。羽田盃大敗、さらに前走古馬B3完敗など評価が揺れるが、父フサイチコンコルド、馬体にも走法にも凄みがある。今回好位から差して勝てれば、一転交流G(中~長距離路線)候補にまで期待が及ぶ。ダイヤモンドダンス、ジャルディーノは、現状南関東オープンレベルで、今回もう一段進境が必要になる。2頭とも、課題は瞬発力と器用さだろう。ごく常識的にはスロー必至の組み合わせ。3~4コーナー、アスカリーブルが動く前に、逃げ馬(おそらくロンドンアイ)に並びかけたい。

 佐賀エスワンプリンスは8戦7勝、当地ダービーを8馬身差で制したが、二千2分13秒5など時計的には通年レベルを脱していない(怪物級ではないということ)。ひとまず脚を計る、胸を借りる1戦になるだろう。穴はシラヤマヒメ、グラッツェーラ、牝馬2頭と考えた。前者は先行してしぶとく、後者はツボにハマって切れがある。船橋ディーオは地元4勝、東京湾C2着ながら、前走東京ダービー大敗(13着)など、気性面でどうにも若い。それなら2歳時から中距離志向、着実に良化をみせるドゥフトライネンが混戦向き。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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