元乗馬選手の競馬コラム 相馬眼「ヘッドの高い馬」
4.後肢の踏みこみが浅くなり速く走りづらい
パドックを見て頂ければ一目瞭然ですが、ヘッドの高い馬は重心が後ろに行っている分、お尻が下がってしまって後肢が踏みこみにくくなります。馬のスピードは後肢で主に作られますから(前肢は方向調整が主な役割)、踏み込みが浅いというのは結構痛手だったりします。
5.ヘッドの高い馬でG?二勝している馬がいる。
競馬場に行けばおわかりの通り、基本的にヘッドの高い馬で強い馬はあまりいません。そんな中G?を2勝しているのが、アリゼオ。「これでよく走るなぁ~」と毎日王冠の時は競馬場で感心した記憶があります。
アリゼオはパドックや返し馬を見てもやはり周囲には警戒してしまう馬のようで、2010年の皐月賞の時、横山典騎手が返し馬でスタンド前をゆっくりと歩かせて見せて馴致していたのが印象的です。最外18番枠だったので返し馬でよく観客席を見せておく必要があったわけですね。
この「見せる」という馴致行為は今ひとつ未経験の方にはご理解いただけないとは思いますが、馬が気にしているものをあらかじめジックリ見させて、安全だと理解させると対象への不安を感じにくくなり競走や競技に集中しやすくなります。この「見せる」行為は乗馬でも競馬でも割と頻繁に行うので、馬も「これは○○を見ろという事だな」という感じで、馴致行為の内容を理解しています。障害戦では殆どの人馬が返し馬で障害を見ていますし、平馬のレースでも馬群れを恐れないように誘導馬のお尻を見させている騎手もいます。
ヘッドの高い馬。フィジカル的にもメンタル的にも競技に集中させるのが難しいタイプです。もしパドックで見かけたら馬混になりそうな枠や相手関係であれば一考必要??
次回は「返し馬」について解説します。
元馬術の選手です。ネットケイバでは主に競走馬掲示板にて活動しています。2016.11.11記諸般の事情により、当面はブログで活動いたします。追い切り所見・レース回顧を中心に、内容そ...
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