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アフター5スター賞展望&スパーキングサマーカップ回顧

  • 2012年08月28日(火) 18時00分
  • 7
◆アフター5スター賞展望
(8月29日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1200m)

「アフター5スター賞」は平成6年新設。当初距離千八で行なわれ、ツキノイチバン、サプライズパワー、イナリコンコルドなど、今でいうGI級(中距離型)がおおむね主役を務めていた。リニューアルされたのは9年前。距離千二へ舞台一転、以後、翌月「東京盃=GII」TRとして、まったく別の歴史を歩んでいる。昨年も書いたことだが、リニューアル直後、平成15年の優勝馬がハタノアドニス。同馬はこのレースを5馬身差で制し、続く東京盃も圧倒的な強さで連破した。サウスヴィグラスに影も踏ませぬ4馬身差。現在そのヴィグラスが、地方No.1サイアー…そう考えると、何やら改めてため息が出てしまう。

 もっとも近年は、現実に波乱の連続。1番人気は何と8連敗中で、昨年もブリーズフレイバーが4着に敗れ、タカオセンチュリー(6人気)→ダイワシークレット(4人気)、転入初戦馬同士での決着した(3連単=35万6千円)。酷暑の時季、各馬コンディショニングが難しいこと、ハイレベル転入馬(とりわけJRA勢)がいきなり勝負態勢で臨むこと。古豪、中堅、新鋭…今年もにぎやかなメンバーになったが、やはり波乱含みが前提だろう。逆にいえば古豪も新鋭も、ここでしっかり“存在感”を示したい。なお今回データは、条件変更後、15~23年、9年間の数字をまとめた。

(1)…波乱含み。前述通り1番人気は[1-2-0-6]と低調で、それを2番人気[3-4-1-1]、3番人気[2-1-2-4]がある程度補完する。予想紙の印でいえば、○→△、▲→△などの決着が多い。

(2)…大井VS船橋。大井=5勝、2着6と優勢で、船橋=3勝、2着3を近年少し離している。JRA転入馬の活躍が顕著で、過去9年中8頭が該当する。昨年はそのワンツースリー、生え抜きは出番がなかった。

(3)…熟年組。好走馬の年齢は広範だが、8歳=3勝、7歳=2勝、2着2と、熟年組がリードする。各馬比較的重い斤量を背負う別定戦だが、優勝9頭中7頭まで57kg。“重賞未勝利のA1馬”が強い。

(4)…差し有利。逃げ=3、先行=2、差し=10、追込み=3。近年の大井短距離戦は“先手必勝”が当てはまらない。TR「シーサイドカップ」勝ち馬(優先権)は4頭出走、8、1、2、2着だから脈がある。

※データ推奨馬
▲ジェイケイセラヴィ…JRA6勝、すべて千ニであげた生粋のスプリンター。芝(2勝)、ダート(4勝)、多様にこなすあたりが絶対能力の表われで、レースぶりも先行差し自在、流れに応じて幅がある。転厩初戦、8歳馬ながらもうひと花が描ける条件。今回57kgも、実績、力関係からは重くない。

       ☆       ☆

◎ジーエスライカー  58坂井
○フジノウェーブ   59御神本
▲ボク        58吉原
△ジェイケイセラヴィ 57江川
△シーズザゴールド  59山崎誠
△トップグラス    53的場文
△セントラルコースト 57戸崎
 ダイワシークレット 57真島
 ダイワディライト  57今野
 ケイアイゲンブ   57和田
 ヤサカファイン   58有年

 ジーエスライカーは、真の一流スプリンターへ改めて試金石、正念場というレースになった。3歳秋から短距離に狙いを絞り、翌春「船橋記念」圧勝。以後統一G中心のステップで好勝負を続けてきた。中で最も存在感を示したのは、昨春GII「さきたま杯」2着。浦和千四スペシャリスト=ナイキマドリードの捲りには屈したものの、スーニ、ダイショウジェット、さらにラヴェリータ、JRA強豪を二の脚で完封した。前走船橋「きらっとスプリント」2着も、体調8~9分(11kg増)ながら、勝者ラブミーチャンを差し返す好内容。大井千二1分10秒8の持ち時計からも、ここは自信の先行だろう。坂井英光騎手とのコンビ、3勝して2着3。南関東短距離王確定…が、今回課題であり大きなテーマだ。

 フジノウェーブは10歳夏。ただ同馬の場合、今春「東京スプリング盃」を圧勝し、続くGIII「東京SP」もセイクリムズンの1.1/2差の2着だった。ある意味何も言うことはない奇跡の馬。「鉄砲でいきなり…がいつものパターン。それなりに仕上がっているし、楽しみはありますよ」(高橋三郎調教師)。ひと息短い千二だが、実績、貫録で対抗(○)以下には落とせない。▲に推したボクは文字通り万能型で、道営→南関東を通じ千二~二千百通算9勝。自在性、瞬発力、勝負強さ、すべてに合格点以上のレベルにある。大井千二も準オープンの戦績ながら連対10割。今回叩き3戦目、メンバー的にも脈が出る。データ推奨ジェイケイセラヴィは当日の気配しだい。TR「シーサイドC」勝ちトップグラスも時計面は遜色ないが、逃げにこだわるとすると、その内枠を引いたジーエスに潰される懸念がある。ハイペース混戦になってシーズザゴールド。本質中距離型と思える羽田盃馬だが、今季この路線で意外な適性ものぞいてきた。セントラルコーストはJRA5勝、確かにスピード、センスは非凡だが、昇り目微妙な7歳馬。戸崎Jで人気になっては妙味が薄い。

◆スパーキングサマーカップ回顧
(8月22日 川崎 サラ3歳以上 地方競馬交流 別定 南関東SIII 1600m良)

◎(1)クラーベセクレタ  1分40秒3
△(2)ルクレルク       3
 (3)スターシップ      3/4
▲(4)ファイナルスコアー   1/2
○(5)ピエールタイガー   1.1/2
…………………
 (6)トーセンゴライアス
△(7)トーセンアーチャー
△(8)ナターレ
△(10)ディアーウィッシュ

  単130円  馬複2290円  馬単2900円  3連複8760円  3連単28470円

 クラーベセクレタが圧勝した。マイペースの逃げ切り。先行役と思われたピエールタイガー、ナターレがスタートひと息。およそ予想外の展開になったが、クラーベ自身は終始気負いもリキみもない自然流。コーナーのきつい川崎千六百を、一貫スムーズかつ快調に乗り切った。終わってみれば“格の違い”とはこういうことか、改めて実感させられた競馬でもあった。「位置取りはこだわらなかった。馬自身が気分よく走れればそれでいいと。スタートも折り合いも今日は満点。(クラーベの)強さをアピールできて嬉しいです」(戸崎騎手)。時計=1分40秒3は平凡ながら、これは相手なりというしかない。地力の高さと順調さ。ただ1頭フリオーソを除くと、現南関東No.1のポジション(評価)が説得力を増してきた。

 クラーベセクレタの実績をおさらいする。19戦12勝(道営時通算)、内重賞11勝、収得賞金・2億2千5百万円。数字の軽重はさておき、そのインパクト、存在感など、ラヴェリータ、ミラクルレジェンドの域に達してきた。同馬の特長は、スピード、切れ、競馬センス、すべてバランスよく備え、しかも順調に使い込める逞しさと成長力にあるだろう。無難なスタート、スムーズな加速。レースぶりが洗練され、何より気持ちの面、実戦での集中力が以前とは大きく違う。以後ローテーションは、10月4日大井「レディスプレリュード=千八」、そして11月5日川崎「JBCレディス=千六」と明言された。あとはライバルとの力関係。クラーベ自身は、現在絶好調であり円熟期だ。

 2着ルクレルク。クラーベ先導の直後2番手、千通過61秒8スローだから恵まれたが、今日の場合は馬券的な盲点になっていた。ただ3着スターシップ、こちらは明らかに千六距離不足と判断でき、それに最後3/4差は大きな進境とも思えない。ファイナルスコアー4着も、初騎乗御神本J、道中ソツなく(3~4番手)乗られただけに、次走へ展望が浮かびにくい。ピエールタイガーは前述通りスタートひと息。ただ鞍上・真島J「前走(サンタアニタT)カカったから今日は押さえた…」とのコメントで、今回は結果的に試行錯誤ということだろう。以下はあまり収穫がなかった。的場文・ナターレは不完全燃焼。先行馬ペースの3番手から失速したディアーウィッシュは、年齢的にも昇り目が薄い。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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