いよいよ「教えて、小牧さん!」も最終回。「引っ掛かる馬をどうやったらうまく乗りこなせるんですか?」と、ついにジョッキーにとっての企業秘密に切り込んだ川須騎手。はたして小牧騎手は、手の内を明かすのか!?
騎手同士、年齢は関係ない
■お前らにはまだまだ負けてない!
川須 小牧さんはすごく温厚な方で、僕らにも優しく接してくれますが、それはなぜですか? ここまで年が離れている先輩では、なかなかないことなので…。
小牧 本当はテキトーなヤツやと思ってんのやろ(笑)?
高倉 いや、本当に小牧さんは優しいです。
小牧 優しいとかではなくて、俺はキミらと同じ目線でモノを見てるからね。年齢とか関係なく。先輩だからどうこうとか、そういうのは一切ないわ。
優作 たしかに小牧さんは、小牧さんのほうから話しかけてくれますよね。大先輩なのに、僕らにも溶け込んでくれるというか…。
「小牧さんは気さくで話やすい」優作騎手
高倉 年が離れている方では、小牧さんのようは先輩はなかなかいません。僕らも実際、話しかけずらいですし。
小牧 俺には普通にしゃべりかけてくるもんなー。なんで“武豊”にはいかないねん(笑)。
高倉 いやいやいやいや…(苦笑)。さっき優作先輩が言ったように、小牧さんのほうから僕らに溶け込んでくるんですよ(笑)。
川須 爆笑!!!
高倉 こう言ったら失礼かもしれませんが、小牧さんは、相手が僕らでも壁を作らないですよね。
小牧 同じやと思ってるからね。
──同じだと思っているぶん、負けたくないっていう気持ちも強いですものね。
小牧 そうそう、それは思う。まだまだお前らには、技術では負けてないなと思う。勝ち鞍とかは別として、中身では負けないっていう気持ちはまだあるね。同じ土俵で戦っているわけやから。
「小牧さんの逃げはスゴいです」川須騎手
優作 小牧さんは、ゲートを出す技術がすごいと思います。
小牧 そぉーお?
川須 決めるときは、本当にダーッって決めますよね。
小牧 ああ、まぁね。でも、逃げ馬って嫌いやねん。出遅れたら終わりやから。
高倉 そうなんですか? 逃げ馬に乗ってる小牧さんがゲートを決めたら、たいがい勝っているイメージがありますけど。
優作 “よっしゃー!”って叫んで(笑)。めっちゃ速いんですよね。こっちも行きたかったときとか、後ろから見てて「速っ!」って思いますもん。
小牧 俺は出遅れたときもわかりやすいでしょ? 「アー! 出遅れたッ!」とか叫ぶから(笑)。
一同 はい!
小牧 いつだったか、俺が逃げ馬に乗ってて、高倉がたしか隣やってん。俺、出遅れてしまって、ついつい「アッ! 出遅れた!」って声を出してしまったんやけど、ふと隣を見たらコイツ、慌てて叩いて前に行って(笑)。あ、俺の声を聞いたからやなと思って。そうやろ?
高倉 はい(笑)。あのときはそうです。お陰様で勝ちました(笑)。
小牧 その後ろ姿がなんともおもしろくてね。俺自身は出遅れて残念やったけど、なんか高倉の後ろ姿が笑えたわ。
優作 ゲートのうまさもそうですけど、低い姿勢で馬をしっかり推進する技術が、小牧さんはすごいなぁと思います。
川須 あ、追ってる姿! 僕もそう思います。
「小牧さんは騎乗姿勢にブレがない」高倉騎手
高倉 ブレないですよね。ピタッと。
優作 動きは小さいんですけど、ちゃんと馬を動かしてるっていうか。
小牧 そう言ってもらえるとうれしいね。いかにブレんように乗るかが、俺のテーマというか、理想やからね。でも決してきれいじゃないなぁ。地方の乗り方がまだ抜けてない。
川須 質問いいですか! え〜、ジョッキーとして、20代のうちにこれだけは経験しておいたほうがいいこと、やっておくべきことってなんですか?
小牧 ……いい女を見つけること。
──絶対に言うと思いました…(苦笑)
一同 爆笑!
小牧 20代なんてあっという間に過ぎてしまったし、かといって30代も覚えてないし。俺、なにしてたんかなぁ。
高倉 あの〜、アドバイスを…(苦笑)。
川須 たしか今日は、「教えて、小牧さん」…(笑)。やっぱり数を乗っておいたほうがいいですか?
小牧 数といえば数なんやろうけど、いろんな馬に乗ることが大事やね。俺も中央にきてから勉強になったことがいろいろあるから。レジネッタとかスマイルジャックとかに乗って、ずいぶん勉強したな。本当に勉強になった。2頭とも引っ掛かる馬でね。どないして乗れば掛からんようになるか、いろいろ考えて学んだね。それが今、役に立ってる。
川須 具体的に、どういったことを学ばれたんですか? 口では説明できないようなことですか?
小牧 できるんやけど、それはキミらには教えられん(笑)。
川須 「教えて、小牧さん」じゃないですか〜! 教えてくださいよ〜。も〜、やっぱり肝心なことは教えてくれないんですよね…(笑)。
高倉 教えてもらったところで、できるとは限りませんからね。
小牧 そうやねん。やっぱり自分にしかわからん感覚ってあるから。ビミョーなとこやねん。やっぱりね、重賞級、GI級の馬で、ちょっと乗り難しいような馬に乗ったら、いろいろ勉強になると思うよ。そういう馬に出会ったときがチャンスやね。
──ほかに質問がある人!
川須 だって、質問しても教えてくれないんですもん…(笑)。やっぱり、掛かる馬をどう乗るかっていうことをお聞きしたいです。人それぞれ乗り方も違いますし、体型も違いますから、全員に共通するコツはないのかもしれないですけど。
小牧 それがあるねん、秘訣が(笑)。俺ね、ひとつ発見したことがあるねん。それ以来、うまいこといってるわ。
川須 でも、ナイショなんですよね…。
小牧 ん〜、これは教えられん!
一同 知りたいなぁ…。
川須 あ、わかった! ハミですか?
小牧 だから教えられんて!
【次回のキシュトーク! は?】
仲間であり、良きライバルでもある川須騎手と高倉騎手。9月は、競馬学校時代の爆笑エピソードから、それぞれに抱く野望まで、濃密な同期対談をお届けします!