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名配合馬ホエールキャプチャの全妹グローバルハート

  • 2012年09月05日(水) 12時00分
●クレバースランチェ(牝 美浦・矢野英一 父Duke of Marmalade、母Entre Nous)
 母Entre Nousは不出走馬だが、父がSadler's Wellsで、母Dayanataは名種牡馬Darshaanの全妹という良血。Sadler's WellsとDarshaanは有名なニックスで、この組み合わせからHigh Chaparralやコンデュイットなど多くの名馬が誕生している。父Duke of Marmaladeはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)、英インターナショナルS(G1)など5つのG1を制した名馬。今年の2歳世代が初年度産駒で、すでに日本でもシェイクザバーレイが鮮やかに新馬戦(芝1600m)を勝ち上がっている。シェイクザバーレイは母方にSadler's WellsとDarshaanを抱えているので本馬と配合構成がよく似ている。シェイクザバーレイに入るMr.Prospectorが本馬には無いため、スピード面に若干の懸念はあるものの、それでも楽しみな存在だ。芝・ダート兼用の中長距離タイプ。

●グローバルハート(牝 栗東・池江泰寿 父クロフネ、母グローバルピース)
 全姉ホエールキャプチャはヴィクトリアマイル(GI)など3つの重賞を制した名牝。全兄ドリームセーリングは準OP馬。「クロフネ×サンデーサイレンス」の組み合わせでチヨダマサコの牝系の流れを汲む配合といえば、他にベストクルーズ(09年ファンタジーS-GIII・2着、09年阪神JF-GI・3着)、シゲルスダチ(12年北九州記念-GIII・2着)などがいる。「クロフネ・サンデーサイレンス・チヨダマサコ」を組み合わせるとBlue Moon=Blue Grotto≒Banish Fearというクロスが生じるため配合的におもしろい。これが特別な能力を示している原因ではないかと考えられる。本馬は配合的な裏付けがあるので、姉同様の活躍を期待したい。

●ダノンビーナス(牝 美浦・国枝栄 父キングカメハメハ、母アズマサンダース)
 母アズマサンダースは京都牝馬S(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)で2着となった活躍馬。2代母オースミシャインは中山牝馬S(GIII)の2着馬で、マジックキス(96年北九州記念-GIII)の半姉にあたる。牝系のポテンシャルは高い。母方にパーソロンが入ったキングカメハメハ産駒はタイセイレジェンド、ヒットザターゲット、グランドシチー、エーブチェアマン、エーシンヒットマンなどコンスタントに走っている。本馬は「キンカメ×サンデー+パーソロン」なのでエーブチェアマン(11年エプソムC-GIII・2着)に近いタイプだろう。芝向きの中距離馬。

●ハーデス(牡 栗東・平田修 父シンボリクリスエス、母クロッサンドラ)
 母クロッサンドラは現役時代、ダート戦線で息の長い活躍を見せ、オープンの欅S(ダ1400m)で2着となるなど、関東の馬券ファンにはお馴染みの馬だった。初子のステイドリーム(父ジェイドロバリー)、2番子のアデュラリア(父クロフネ)がいずれも準OPまで出世しているように、繁殖牝馬としてもなかなかいい素質を伝えている。「シンボリクリスエス×フジキセキ」はアリゼオ(10年毎日王冠-GII、10年スプリングS-GII)と同じなので期待できる。母が高いダート適性を伝えているので、アリゼオとは違ってダート中距離で大成しそうだ。

●ムーンメイヴン(牝 美浦・二ノ宮敬宇 父アドマイヤムーン、母トリート)
 アドマイヤムーン産駒は総じて優れたスピードを持っており、現時点の収得賞金1、2位のレオアクティヴ、セイクレッドレーヴは、いずれも母方にSadler's Wellsを持っている。仕上がりの早さやスピードは十分持ち合わせているので、母方から新たにスピードを取り入れるよりも、重厚な血を持ってきて底力や成長力の補強を図るほうが大物が出やすいというタイプ。本馬は、母の父BaratheaがSadler's Wellsの息子なので楽しめそうだ。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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