◆戸塚記念
(9月7日 川崎 サラ3歳 別定 南関東SII 2100m)
戸塚記念は昭和46年創設、今年第41回目の歴史を持つ。例年、クラシック上位組vs夏の上昇馬…という図式だが、次々開催のロジータ記念(今年は11月7日)目標の牝馬も相当数出走し、とりわけ近年はメンバー、レース内容が充実してきた。
過去10年、牝馬優勝はハーミア、ナターレ、さらに遡ると平成7年ドラールクラウンの名前もある。さて今年の顔ぶれ。実質“三冠牝馬”といえるアスカリーブルの登場で、みどころ、焦点(馬券的にも)はほぼ固まったといえるだろう。ポスト・クラーベセクレタ、女傑、名牝への道をひた走る彼女に、牡馬がどう立ち向かうか。距離二千百、今秋JBCクラシックの舞台にもなる“選手権距離”だけに、なおさら力勝負の期待が浮かぶ。
(1)…波乱含み。1番人気[3-1-1-5]、2番人気[1-1-2-6]、3番人気[3-1-0-6]。極端な波乱はないものの平穏でもなく、馬単20〜30倍前後が多い。いわゆる上位拮抗で、勝率がいいのは3番人気。
(2)…地元優勢。地元川崎=7勝、2着7回、3着4回と大きくリード。船橋=2勝、2着回3、3着3回は、他重賞と比較すると意外に低調。むしろ大井=1勝、3着3回が、出走頭数が少ないわりに健闘といえる。
(3)…牝馬注目。牝馬[2-2-2-18]。それも一昨年ハーミア、昨年ナターレ優勝と勢いがある。アベレージがいいのはやはり直前「黒潮盃」を使った組で、近年ジルグリッター、ブルーラッドら6頭が勝っている。
(4)…自在型。逃げ=4、先行=5、差し=9、追込=2。脚質は偏りがなく、強いて有利といえば捲り気味に動く馬か。ジョッキーでは、的場文騎手(ブルーワレンダー・ナターレ)、町田騎手(ビービートルネード)が好成績。
※データ推奨馬
◎ショコラヴェリーヌ…牝馬優勢の傾向からは、もちろんまずアスカリーブルだが、このショコラもデビューから一貫エリート路線を歩み、暮れの東京2歳優駿牝馬で3着し、このレースでアスカリーブルを7着に退けた実績がある。前走古馬B級を正攻法の逃げで圧勝し充実一途。鞍上・的場文Jは戸塚記念を通算3勝、きわめて相性がいい。
☆ ☆
◎アスカリーブル 56今野
○ショコラヴェリーヌ 54的場文
▲ダイヤモンドダンス 56森
△ディーオ 56左海
△シラヤマヒメ 54御神本
△キタサンツバサ 57山田信
△グラッツェーラ 54本橋
ドゥフトライネン 56繁田
ベルモントレーサー 56山崎誠
アスカリーブルに重賞6勝目の条件がそろっている。ユングフラウ賞→東京プリンセス賞→関東オークス→黒潮盃の4タイトル。まさしく“瞬く間の快挙”という印象で、昨暮れ東京優駿牝馬7着、当時の評価からは想像もつかないポジションまで昇りつめた。
そう考えるとどうにも惜しい桜花賞回避。持ち駒豊富な川島正行厩舎はその桜花賞をゴールドキャヴィアに託し、アスカは牡馬相手の京浜盃に出走して4着だった。むろんこの世界でタラレバは意味が薄いが、それでも今の彼女をごく普通にイメージすれば、18年チャームアスリープ以来、史上2頭目の“三冠牝馬”が濃厚だったといえるだろう。
追って息の長い脚が使えること、並んでの勝負強さが並みでないこと。今回川崎二千百はGII関東オークス、理想的な形で抜け出したJRAサトノジョリーを一瞬のうちに捕えている。牡馬相手でも互角以上は前走黒潮盃で証明済み。斤量56キロも他馬との比較上、文句なく有利だ。
ショコラヴェリーヌは、一貫牝馬クラシックを入着の力関係(関東オークス6着)。しかし前走川崎、古馬B2相手に強気の逃げで圧勝し、はっきり新境地をみせている。ゴールドアリュール×ティンパーカントリーの血統背景、490キロ台の逞しい馬体。全体レベル、必ずしも“牝高牡低”とも思えないが、ショコラ自身にはアスカに続く素質と可能性を強く感じる。
ダイヤモンドダンスはいまだ未勝利ながらクラシック二冠を5、4着。直線インに詰まった前走黒潮盃も小差4着だから底力はある。今回鞍上・森泰斗Jでひとつ新味が出るかどうか。父リンカーンで晩成型のムードはある。すんなり先行してディーオ、逆に“消耗戦”になってしぶといシラヤマヒメ、グラッツェーラ。重賞実績があるキタサンツバサ、ベルモントレーサーも侮れないが、休み明け、いきなり二千百を思うとひと息食指が動かない。