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「重賞制覇の変化は一瞬」川須騎手×高倉騎手=ぶっちゃけ同期対談(3)

  • 2012年09月19日(水) 18時00分
川須騎手と高倉騎手による、同期対談第3弾。3年目となる今年、川須騎手は2月の小倉大賞典(エーシンジーライン)で、高倉騎手は7月の中京記念(フラガラッハ)で、重賞初制覇を飾りました。初めて味わった緊張感から、お祝いの席での“財布の攻防”(?)まで、同期ならではのエピソードが盛りだくさん!

■前の晩は、緊張して眠れなかった…
──今年はおふたりとも、記念すべき重賞初勝利を飾りました。重賞をひとつ勝ったことによって、なにか変化はありましたか?

川須 周りに関しては、一瞬変化がありました(笑)。でも、毎週のように重賞がありますから、すぐに忘れられますけどね。自分のなかでは、やっぱり重賞を勝てた! っていうことで、変化というか、区切りというか、気持ちの面でその前とは違う気がします。

高倉、勝負の中京記念制覇

高倉、勝負の中京記念制覇

──高倉騎手は、中京記念当日、ご家族を競馬場に呼ばれていたとか。それだけ勝負だったということですか?

高倉 そうです。勝てると思っていたので。そのぶん、今までで一番緊張しました。

川須 5番人気だっけ? 思ったほど人気しなかったよね。

高倉 うん。1年目から重賞にも乗せていただいてきたけど、今回は、これまでで一番“勝ち”に近いっていうことがわかってた。だから、たかだか3年目の僕が言うのはおかしいかもしれないけど、ここを逃したらいつ勝てるかわからないって思った。だから、何が何でもモノにしたかったんだよね。

川須 それで実際に勝ったんだからスゴイよ。もし、少しの差で負けてしまったりしたら、次はもっと上のジョッキーに乗り替わってしまう可能性もあったわけだし。ただ、今回結果を出したことで、周りも「強い馬」っていう目で見るだろうし、人気にもなるだろうから、そのぶん高倉のプレッシャーも大きくなるだろうね。そういえば、表彰式のとき“ニャー”やってたよね? ※中京記念当日は、プレゼンターとして猫ひろしさんが来場。

高倉 やりたくないって言ったんだけど、カメラマンの方に「お願いします」って言われて…(苦笑)。「そういうのやりたくないんですけど…」って、ちゃんと言ったんだけどなぁ。猫ひろしさんも好きだけど、どうせならプレゼンターは、女優さんとかAKBが良かったなぁ。

川須 そうだよね(笑)。でも、僕が重賞を勝ったときは、誰もこなかった…。

高倉 はぁ…、女優さんが良かった…。

──大好きなYUIさんとか。

高倉 そうしたら僕、緊張して競馬どころじゃないですよ〜(笑)!

川須 今までで一番緊張したって言ってたけど、どんなふうに?

高倉 前の晩、眠れなかったよ。お酒を飲んでもダメだった。あんなこと、初めてだよ…。川須は眠れなかったこととかある?

川須はエーシンジーラインで初重賞

川須はエーシンジーラインで初重賞

川須 ないな。普通に寝る。っていうか、今回はチャンスだってプレッシャーを感じながら、重賞に乗ったことがないからね。エーシンジーラインで小倉大賞典を勝ったときも、チャンスはあるかな…とは思っていたけど、癖のある馬でもないし、持ち味を行かせればいいなぁって。人気している馬で、それがちょっと乗り難しい馬だったりしたら、いろんなこと考えなきゃいけないんだろうけど。フラガラッハは、ゲートとか折り合いとか難しそうだもんな。

──川須騎手が重賞を勝ったときは、お祝いをしたんですか?

高倉 しましたよ。毎日のように(笑)。しばらく川須祭りでしたよ。やっぱりタイトルは憧れだから、先に勝たれたのは悔しかったけど。平場のレースも、もちろん勝ったらすごくうれしいけど、重賞を勝つとランクアップというか、ジョッキーとしてひとつ磨きがかかる気がするので。

──でも、今回、高倉騎手はプレッシャーを克服して勝った。同じジョッキーとして、逆に川須騎手はうらやましいのではないですか?

川須 そうですね。すごく大きいことだと思う。

──今年の高倉騎手は、上級条件での活躍が目立ちますね。

高倉 僕自身、環境も含めてなにかが変わったわけではないんですけど、そう言っていただけるのはうれしいですね。めぐり合わせもあるでしょうし、いい時に乗せていただいてるのもありますけど。でも、北九州記念のシゲルスダチはね、あとで知ったんですけど、パドックの解説者に“完全にデキ落ちです”みたいなことを言われてたらしくて(笑)。そういうのをくつがえすのも気持ちがいいですよね。してやったりというか。

川須 そこまで言われるっていうことは、よっぽどだったんだろうな(笑)。

高倉 見返してやったぞ! っていう気持ちだね。

──中京記念の話に戻りますが、道中は後方で並んで走ってましたよね(川須騎手はエアラフォンに騎乗)。

川須 僕は完全に出遅れたんですけど(笑)。4コーナーで高倉がグワーって上がっていったから、僕も追いながらずっと見ていて。ガッツポーズまでちゃんと見てましたよ。“あ〜、高倉勝ったぁ!”って。捌いていったけど、仕掛けどころとか難しくなかったの?

高倉 迷いはなかったね。道中も折り合ってたし。あとから小牧さん(2着ショウリュウムーン)に、「ゴールのあと、“肩でも外れたんかな”と思って見てたんやけど、ガッツポーズやったわ(笑)」って笑われたけど。

川須 それおもしろい(笑)。で、重賞初制覇と100勝を合わせてお祝いしたんだよね、(同期の)水口と3人で。

勝ち祝いの払いは…

勝ち祝いの払いは…

──ジョッキーの世界は、お祝いされる人がおごるのが普通なんですよね。ということは、その日は高倉騎手が“財布”だった?高倉 あ、いえ…。

川須 気付いたら割り勘でした(笑)。

高倉 払うつもりでいたんだけど、とりあえず、川須が財布を出す動作をするまで待ってみた(笑)。

川須 一度財布を出しちゃうと、引っ込みつかないじゃん! そのあたり、本当はギリギリまで追い出しを我慢したいんだけど、いつも僕が早仕掛けになってしまう…。

高倉 そうそう(笑)。財布の攻防については、川須はもう攻略済みなので!

【次回のキシュトーーク! は?】
次回はいよいよ同期対談最終回。中央開催で戦うことの厳しさや、馬に対する熱い思い、そしてそれぞれに抱く野望まで、川須騎手&高倉騎手がリアルな“今”を語ります。

元祖「キシュトーーク」のレギュラー陣、国分恭介、国分優作、松山弘平、川須栄彦、高倉稜を中心に、栗東・美浦・地方からも幅広く、これからの競馬界を担うU25の若手ジョッキーたちが登場します!

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