4月9日「船橋記念」。エスプリシーズが鮮やかな差し切りで雪辱した。フジノテンビーが反応よくハナを切り、1000m通過62秒1のマイペース。エスプリシーズはその3番手でスムーズに折り合い、直線躊躇なくインを突いた。あと1ハロン、それこそ一瞬のうちの逆転で、上がり推定36秒5。後続を3馬身ちぎり捨て、しかも自身まだまだ伸びる勢いがあった。圧倒的な爆発力。前走金盃とは別馬のよう…としか言葉がない。

船橋記念(サラ4歳上、ハンデ、南関東G3、1800m重)

◎(1)エスプリシーズ　　　(56.5・森下)　1分51秒4
△(2)フジノテンビー　　　(56・佐藤隆)　　3
▲(3)スプリングシオン　　(56・内田博)　　1.1/2
△(4)クールアイバー　　　(54・御神本)　　1
○(5)ナイキダンサー　　　(54.5・石崎隆)　1

単170円　馬複690円
馬単980円　3連複1490円　3連単4080円

　森下騎手のコメント。「稽古の動きはあまり感心しなかったが、今日はまたがった瞬間からびっくりするほど感触がよかった。腰が少し甘いし、ゲートで手こずったりすると思うように走ってくれない。難しい馬だね。でも能力は相当ある」。大井金盃の不可解な敗戦。謎の半分が解けたというところだろうか。精神面を含めた“体調”が短いサイクルで動くこと。大井のスターティングゲートに“トラウマ”のようなものを持っていること。言い換えれば今後の課題はやはり心身両面の逞しさになる。次走は選定されれば(たぶん大丈夫)、5月5日高崎「群馬記念＝1500m」。カコイーシーズ×スマコバクリークの血統背景。ひとまず万能型だが、エスプリ自身は1400～1800m、速い流れで絶対スピードを競ってベストか。ノボトゥルー、プリエミネンス級の顔ぶれなら、4歳の上昇度も加味して十分好勝負になるはずだ。

　フジノテンビーは叩き2戦目、同型不在もあって能力を100％発揮した。似たパターンで転入したハタノアドニスと比較すると、こちらはむしろ気性面で粘っこい。川島正行厩舎。今後も軽い重賞を虎視眈々と狙う戦略だろう。スプリングシオンは14キロ増を考えると健闘だが、ジリ脚、詰めの甘さは解消されていない。いずれにせよパワー優先、長距離向きのイメージが固まった。ナイキダンサーは馬体を戻して23キロ増。道中2番手で勝負に出たが、追って案外伸びなかった。通算[12-0-1-2]の戦績はベルモントアクターと酷似するが、同時にたび重なる休養が何とも痛い。ひとまず4月23日大井「マイルグランプリ」が狙いだろう。父ブライアンズタイム、惚れ惚れする好馬体。しかし年齢からは残された時間も少なくなった。

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クラウンカップ(川崎4月16日、サラ3歳、別定、2000m)

◎ティーケートロット　　(55・酒井)
○ウツミジョーダン　　　(56・佐藤隆)
▲ウィンブロー　　　　　(55・石崎隆)
△ディーエスメイドン　　(54・一ノ瀬)
△アタゴトルネイド　　　(54・左海)

　登録のあったパレガルニエ、ブラックミラージュが回避。一転小粒な顔ぶれとなった。ただしこの1、2着馬には5月14日大井「羽田盃＝1790m」優先出走権が与えられ、むろん各陣営とも力が入る。8頭立てと少頭数。馬券的には馬単、3連単に照準を絞りたい。

　しらさぎ賞を好走したウツミジョーダン、ティーケートロットはともにトロットサンダー産駒。前者は切れ味、後者はパワーに特徴がある。距離2000mなら、当時外枠でロスの多い競馬だったティーケーの方に妙味とみた。しらさぎ賞後、地元オープン「菜の花特別」もまた2着と敗れ、デビュー通算[1-7-1-2]。それでも道中7番手、ここへ向け脚を計ったとみれば視界良好の一戦だろう。母の父スイフトスワロー。その産駒はダート長距離で良積を残してきた。

　昨秋鎌倉記念、パレガルニエの2着が光るウィンブローは距離延びて折り合いが問題。カカリ気味だったしらさぎ賞を経験に石崎隆Jがどう乗るか。逆にディーエスメイドンは牝馬ながらスタミナに自信がある。ブリンカー着用、一気に逃げるアタゴトルネイドも今回が試金石。

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　4月3日浦和「桜花賞」を1番人気で4着と敗れたマルダイメグ(川崎・佐々木仁厩舎)の故障が判明した。左前剥離骨折、全治6か月。当時絶好の3番手からまったく伸びなかったあたり、あるいはレース中のアクシデントかもしれない。東京プリンセス賞、関東オークスは当然ご破算で、復帰は早くとも秋以降。ただデビューから馬体が少しずつ減り続け、長い目でみればむしろいい充電という可能性もある。いわく「塞翁が馬…」。潜在能力からはまだまだ先が描ける馬だ。