スマートフォン版へ

スローペースの多い新馬戦(須田鷹雄)

  • 2012年10月12日(金) 18時00分
 今回はPOGというより馬券寄りの話になってしまうが、2歳新馬のスローペース症候群について書いてみたい。

 2歳馬がデビューするにあたっては、一本調子な馬になって欲しくないとの思いから「できれば逃げずに競馬したい」と考える関係者も少なくはない。新馬戦で上位人気に推されるようなレベルの馬ならなおさらである。

 結果として最近の新馬戦では人気薄馬が抑え先行する形が多く、スローになる。スローになるから、上がりは速くなる。

 なにをもってスローペースと規定するかは難しいが、ここでは上がりの速さに注目して「芝1600m以上の2歳新馬でレースの上がりが33秒台」というケースを想定してみよう。勝ち馬の上がりではなくレースの上がりが基準となる。実際には天候や馬場状態もあるし、伝説となっているメジロブライトの新馬戦のような「超絶スローだが、上がりが速かったのはラスト2ハロンだけ」というケースは含まれなくなる。それでもひとつの目安となるはずだ。

 このようなケースは先週までで計38例あるのだが、年度別の内訳は以下の通りだ(折り返しの新馬は含まず、馬場状態不問)。

2012年
該当回数:6
芝1600m以上新馬総数:44
割合:13.6%

2011年
該当回数:6
芝1600m以上新馬総数:77
割合:7.8%

2010年
該当回数:7
芝1600m以上新馬総数:73
割合:9.6%

2009年
該当回数:2
芝1600m以上新馬総数:71
割合:2.8%

2008年
該当回数:9
芝1600m以上新馬総数:71
割合:12.7%

2007年
該当回数:2
芝1600m以上新馬総数:65
割合:3.1%

2006年
該当回数:0
芝1600m以上新馬総数:57

2005年
該当回数:0
芝1600m以上新馬総数:55
割合:0.0%

2004年
該当回数:3
芝1600m以上新馬総数:52
割合:5.8%

2003年
該当回数:2
芝1600m以上新馬総数:51
割合:3.9%

2002年
該当回数:0
芝1600m以上新馬総数:35
割合:0.0%

2001年
該当回数:1
芝1600m以上新馬総数:28
割合:3.6%

 天候の巡りあわせもあるし馬場や競走馬の高速化とも関連があるだろうが、それにしても2008年あたりからよーいドンが多くなっている様子はうかがえる。

 そして馬券的に恐ろしいのは、この種の新馬を勝った馬の次走なのである。勝ち馬38頭の次走成績は[3-7-4-17]。出走しているクラスがまちまちなので好走度合は馬券の回収率で計るしかないが、単56%・複63%といまひとつ走っていない。しかも、勝ち馬の最後は2008年いちょうSのダノンカモンで、それ以降は1番人気馬6頭を含めて21連敗している。先日のメイケイペガムーン(デイリー杯)が21連敗目であった。

 さらに、上がり勝負だった新馬戦の2着馬(当然38頭いる)は、2010年までは次走成績[13-4-1-7]の勝率52.0%だったのが、2011年以降は[2-5-1-1]の勝率22.2%で再度惜敗するケースが増えている。いずれにしても馬券上の扱いでは注意が必要だし、緒戦で勝ったケースも2着のケースも、POG的にはあまり期待感を高めすぎないほうがいいかもしれないということになる。

 先週の新馬では、話題馬2頭が出走した10/7の京都5Rが7頭立てということもありやはりスローペース。上がりは34.2秒だったので先の集計には入っていないが、13.1-12.3-12.9-13.3-13.3-12.5-11.8-11.3-11.1と最後加速する形でキズナが勝利した。

 キズナは陣営もかなり力が入っている期待馬でそのポテンシャルは確かだと思うが、次走の馬券という観点では、多頭数の持久力勝負になる可能性なども視野に入れなくてはならない。リジェネレーションの2走目も、黙ってアタマ付けにしてしまってよいのかどうかはメンバー構成などを見て考えたいところだ。

POGの達人 2012〜2013
POGファンのバイブル『赤本』が5/10(木)から発売開始!
『POGの達人 2012〜2013』、通称“赤本”は、プレイヤーが架空の馬主になり、愛馬を応援するPOG(ペーパー・オーナー・ゲーム)を完全ナビゲート。今年の赤本は、注目馬355頭のカラーパドックや産地馬体検査密着リポート、POG名人のおすすめ10頭、社台グループほか育成牧場リポート、東西有力厩舎リポート、1500頭以上の2歳馬リストなどに加え、人気コーナー「イケてなかった馬列伝」が復活。POGファンにとって見逃せない内容となっています。

なお、赤本取材班によるnetkeiba.comのコラム「POGの達人コーナー」では、6/1(金)から隔週で、須田鷹雄さん、辻三蔵さん、村本浩平さん、吉田竜作さんによる赤本掲載馬の近況情報をレポート形式でお届けします。赤本をご購入された方は必見の情報です。お楽しみに!

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング