9月29日に行われた阪神の2歳未勝利戦(芝外1600メートル)で「松田博厩舎の牝馬のエース」ディアマイベイビーが勝ち上がった。好スタートを決めてハナに立つと、そのままマイペースの逃げ。最後はレッドアリオンにクビ差まで詰め寄られたものの、着差ほど“ヒヤリ”とする内容ではなかった。
勝ち時計1分33秒6は同日の古馬500万下とわずか0秒1差。台風明けの1日施行とはいえ、古馬オープンのポートアイランドSとも0秒2差だ。それも自ら引っ張り叩き出した数字なのだから、この一戦で潜在能力はGI級であることを証明したと言っていい。
しかし、この馬“らしさ”が出てしまったのがゴール入線後。本来なら検量室前に行き、馬装を正してからウイナーズサークルで表彰となる流れ。ところが待てど暮らせど主役が現れない。担当の山口厩務員に伺うと「向正面まで走って行ってしまって帰ってこない」。これには松田博調教師も「元気が良過ぎるな」と苦笑いだ。
結局、数頭の“お供”と検量室前に帰ってきた時にはすでに上位入線馬の大半は厩舎地区へと帰った後。慌ただしい表彰式が終わった後もテンションが下がらない様子で、フウフウ言いながら馬房へと引き揚げていった。厩舎の大先輩ブエナビスタ、マルセリーナ、ジョワドヴィーヴルあたりと比べると、いかにも「まだ子供」といった雰囲気だ。
思っていたのと違う競馬になってしまった」とトレーナーが口を開いたのは表彰式の後。まるで敗軍の将のような言い方だが、「こういうタイプが一度逃げる競馬を覚えてしまうと、なかなか脚質を変えられない」ことを嫌というほど知っているからだ。それでも「次は控えさせる」と言い切ったのは過去に似たタイプの馬がいたからにほかならない。
かつて松田博厩舎に所属したレッドチリペッパーがこの馬に近いタイプ。いや、血統、産駒の傾向から明らかに「ダートの短距離志向」で、ディアマイベイビーと比べてもさらに難しい素材だった。それを調教、実戦で我慢することを覚えさせ、ついには芝1800メートルの中山牝馬S(00年)を勝つまでに育て上げた。
もちろん厩舎だけの力で成し遂げたものではない。当時、主戦を務めた藤田が調教からまたがり、時には坂路で首を横に向けながらでも走りのリズムを叩き込み、レースでは調教で得たものをリンクさせていった。「ひとつのレースで教えられることは高が知れている。そうではなく、調教とレースを組み合わせながら育成していくことが2歳時は特に大事なんだ」(松田博調教師)
となれば、注目はディアマイベイビーの主戦を務める岩田。果たして次走予定のGIIIファンタジーS(11月10日=京都芝外1400メートル)、さらにはその先のレースでどのような騎乗を見せるのか。ビッグタイトル奪取なるかはその一点にかかってきそうだ。
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