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続・地方競馬IPAT

  • 2012年11月09日(金) 18時00分
 11月5日に川崎競馬場で行われたJBCは、平日の月曜日だったにもかかわらず、本場の雰囲気や馬券の売上げなど、全体としては盛況だったように感じた。

 すでにネットや日刊紙などのニュースでも伝えられているように、1日の売上げ26億9225万2800円は、川崎競馬場としては過去最高を記録した。川崎競馬場のJBCは、前回の2006年は2日間に分けて行われたが、当時JBCを1日で開催していれば、おそらく1日の売上げのレコードが出ていたと思うのだが、どうだろう。

 ちなみにこれまでの1日の売上げレコードは、1992年2月11日の川崎記念当日だったらしい。ぼくが川崎記念を初めて生で見たのは、その翌年のこと。ハシルショウグンが勝った年だ。当時、2号スタンドは今と違ってまだボロっちいまま。その年の川崎記念も建国記念日の祝日で、お客さんは一杯。スタンド前はまるで満員電車のようにぎゅうぎゅうの人で、レースのときはつま先立ちになって、それでもゴールの瞬間はよく見えなかったなあ、ということを思い出した。

 話を戻す。今年は10月から地方競馬IPATがスタート。JBC当日の川崎のIPATでの売上げは9億8597万5800円で、じつに全体の36.6%を占めた。その中には、今までオッズパークや楽天競馬やSPAT4やらで地方競馬に投票していた人がIPATに移行しただけ、という売上げも少なからずあるはずで、IPAT発売の効果を正確に計ることはとても難しい。それにしても36.6%というのは、相当に大きな数字だと思う。それゆえの1日売上げのレコードでもあっただろう。

 地方競馬では、この10月にスタートした地方競馬IPATを意識した開催日程を組むようになった主催者もある。たとえば通年ナイターの高知では、これまでは毎週、金土日のうちの2日、または1日の開催だったのが、12月には水曜開催が2回設定されている。これはおそらくIPAT対策だろう。

 慣例にとらわれず、さまざまなことに柔軟に対応できるのが、近年の高知競馬のいいところ。通年ナイターの導入にも相当な勇気と覚悟が必要だったと思うが、常に柔軟な発想で対応してきたことが、廃止の危機を乗り越えられた要因のように思う。

 IPAT対策で苦労しているように思えるのが、今年から悲願ともいえるナイター開催がスタートした園田競馬だ。ナイター開催となる金曜日は、これまで売上げのかなりの部分を占めてきたウインズ神戸・難波での発売ができない。

 加えて、IPATでは原則として金曜日(月曜日も)の地方競馬の発売がない。本来であれば、開催を盛り上げるべき金曜ナイターで重賞など注目レースを行うべきであろうが、ナイター初日に摂津盃をやって以降、重賞のナイター開催は今のところないのは、そのためと思われる。

 この原稿が公開される11月9日が、今年のそのだ金曜ナイター最終日となるが、来年以降のナイター開催と重賞の日程がどうなるのかはちょっと気になるところだ。

 とはいえ、まず改善されるべきは、「地方競馬IPATでは、原則として月曜と金曜は発売が行われない」というJRA側の問題だろう。既存の地方競馬のネット投票では、メンテナンスなどの例外を除き、馬券が発売できない日というのはない。A-PATはともかく、少なくとも即PATなら月曜日も金曜日も関係なく発売できるんじゃないの? というのがそもそもの疑問。地方競馬にできて、中央競馬でできない、ということはないだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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