GI勝ち馬は、ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)と、エリンコート(オークス)。3歳以上の古馬牝馬の頂点に立つレースとすると、やや物足りない印象もあるが、逆にいうと飛びぬけた力量を持つ馬は不在。多くの馬にチャンスがある1戦といえる。

　断然の1番人気になりそうなのは、3歳ヴィルシーナ(父ディープインパクト)。

　桜花賞→オークス→ローズS→秋華賞すべて、3冠牝馬ジェンティルドンナの2着だから当然の人気とはいえる。ここまで［3－4－1－0］。ほとんど崩れていない安定性も光っている。ただ、ジェンティルドンナとの能力差は、秋華賞の「ハナ差」ではなく、オークスの「5馬身差」が本当ではないのかとすると、衆目一致の候補No．1ではあっても、人気ほどは能力上位とはいえない危険も(少し)ある。

　午後からの雨の予報は先行して粘り強い同馬にプラスとなりそうだが、勝ったかと思えた秋華賞でもスパートして抜け出せなかったから、やや詰めは甘い。切れるタイプではない。

　牡馬相手の京都大賞典で、ちょっと夏の鋭さを欠きながらも「0秒1」しか負けなかったフミノイマージン以下、伏兵にも付け入るスキ、逆転のチャンスは十分あるのではないか、という見解をとりたい。

　4歳マイネイサベル(父テレグノシス)は、ここまで2つの重賞を制しているが、馬券に関係した6回の人気が［6．9．5．10．6．10］番人気という地味なタイプ。もちろん人気の中心になったことなど1度もない。

　だが、新潟2歳Sを制したあとずっと勝てないでいたから、仕上がりの早さを生かした牝馬のように思われるこの馬、実は非常にタフな一面をもち、4歳秋、やっと完成の域に達しつつあるという見方をとりたい。

　まるでかなわなかった同期のホエールキャプチャには通算「2勝7敗」だが、古馬になった今年に限れば「2勝1敗」。相手の体調もあったが、マイネイサベルがパワーアップしているのである。

　前回から体を絞り、シャープになった。今回、木曜計測が472キロだったから、当日は460キロ台前半になる可能性大だが、3歳の秋、ローズSを2着した際が460キロだから、馬体細化ではないだろう。

　オーバーレインボー、ニホンピロウイナー産駒ながら菊花賞3着のメガスターダムなどが一族の代表馬。今年、種牡馬を引退していることが分かった父テレグノシスも、3回の海外遠征に挑戦するなど37戦もしたタフな馬。マイネイサベルもいまが好調期(古馬になって)と考えたい。デキは文句なしにいい。これまで重馬場では［0－0－1－2］だが、着外も4着と5着。トニービン系は総じて重下手のケースは少ない。逆転の快走に期待したい。

　もちろん、ヴィルシーナの評価を下げるわけではないが、古馬フミノイマージン(母方に流れるダンサーズイメージからくる命名か)、ここにきて大幅に力をつけ、少し渋った馬場は巧者ではないかと思えるマイネジャンヌ(父ロージズインメイ)も同ランクとしたい。

　伏兵から入るだけに、アカンサス、オールザットジャズ、ライバルのホエールキャプチャ、さらにはラシンティランテあたりまで手を広げておきたい。