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名牝系から誕生したディープ産駒アンレール

  • 2012年11月14日(水) 12時00分
●アンレール(牝 美浦・藤沢和雄 父ディープインパクト、母フレンチバレリーナ)
 ダート準OP馬スーブルソーの半妹。父がネオユニヴァースからディープインパクトに替わったので芝適性に問題はなさそう。フサイチコンコルド(96年日本ダービー-GI)、アンライバルド(09年皐月賞-GI)の姪、ヴィクトリー(07年皐月賞-GI)、リンカーン(重賞3勝)のイトコで底力を感じさせる。重厚な牝系なので母の父にアメリカ血統のフレンチデピュティが入ることでバランスが取れている。芝向きの中距離タイプ。

●キネオウィン(牡 栗東・清水久詞 父アグネスタキオン、母エアデジャヴー)
 半姉エアメサイア(父サンデーサイレンス/05年秋華賞-GI、05年ローズS-GII)、半兄エアシェイディ(父サンデーサイレンス/08年アメリカJCC-GII)、同じく半兄で現3歳のエアルプロン(父ディープインパクト)も[3-1-2-0]と頭角を現してきている。母エアデジャヴーはクイーンC(GIII)を勝ち、オークス(GI)で2着となった活躍馬。「アグネスタキオン×ノーザンテースト」はダイワスカーレット(08年有馬記念-GI、07年桜花賞-GI、07年秋華賞-GI、07年エリザベス女王杯-GI)と同じで、Raja Baba 4×4なので素軽い中距離馬だろう。仕上がりが早くPOG向き。

●ティアーモ(牝 栗東・藤岡健一 父キングカメハメハ、母レディチャーム)
 多くの活躍馬が出ている「キングカメハメハ×サンデーサイレンス」。2代母リンダストが「Lyphard×Riverman」なのでローズキングダムと配合構成がよく似ている。どういうことかというと、ローズキングダムの2代母ロゼカラーは「Shirley Heights(その父Mill Reef)×Lyphard」。リンダストに含まれるRivermanと、ローズキングダムに含まれるMill Reefは相似な血なので、両者はよく似ている。3代母Bargerはフリオーソの3代母で、女傑Triptych(愛英仏で9つのG1を制覇)の全妹でもある。底力を感じる配合構成なので楽しみが大きい。芝向きの中距離タイプ。

●デイドリーマー(牝 美浦・久保田貴士 父ネオユニヴァース、母ドリームスキーム)
「ネオユニヴァース×Machiavellian」なのでヴィクトワールピサ(11年ドバイワールドC-首G1、10年有馬記念-GI、10年皐月賞-GI)と同じ組み合わせ。母方にMachiavellianとDanzigとBustedを併せ持っているので日本ダービー馬ロジユニヴァースとよく似た配合構成でもある。ネオユニヴァース産駒の配合としては高いレベルにある。同産駒は重賞を勝った6頭中5頭が牡馬であるように、牡馬に比べて牝馬の活躍ぶりはやや寂しいところがあるが、ハイレベルな配合なのでいいところがありそうだ。芝向きの中距離タイプ。

●プラチナグロース(牡 栗東・昆貢 父ゴールドアリュール、母スズカミンクス)
 2代母ミンデンローズは父Mr.Prospector、母Winning Colors(牝馬ながらケンタッキーダービー優勝)という良血で、自身は「ゴールドアリュール×アサティス」という組み合わせなのでバリバリのダート血統だ。母の父アサティスは父ゴールドアリュールと相性のいい血をたっぷり含んでおり、この組み合わせにはちょっと期待してみたい。活躍のフィールドはダートに限られるが、底力とスピードを兼ね備えたA級のダート配合なので、堅実に稼ぐと同時に上級クラスでも十分やれるポテンシャルを秘めているだろう。

●モンシュシュ(牝 栗東・牧田和弥 父スペシャルウィーク、母シンディ)
 ツクバコガネオー(父キングカメハメハ/準OP)、イノセントリーサム(父ネオユニヴァース/1000万下)、シンデレラロマンス(父Elusive Quality/1000万下)など、JRAで走った兄姉4頭はすべて勝ち上がっている。2代母Dance Designは「Sadler's Wells×Habitat」なので、スペシャルウィークの代表産駒で母が「Sadler's Wells×Habitat」だったシーザリオ(05年オークス-GI、05年アメリカンオークス-G1)とよく似た構造。また、スペシャルウィークは母の父に入るSeattle Slewとも相性がいい。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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