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エリザベス女王杯的中につながった馬の取捨方法とは!?

  • 2012年11月14日(水) 18時00分
 これまで、いかにして菊花賞、天皇賞・秋で走れる状態の馬をピックアップし、3連複的中につなげたかという話を書いてきた。この方法を駆使して、先週のアルゼンチン共和国杯も3連複2点目的中したわけだ。

 さて、今週もアルゼンチン共和国杯と同じようなパターンのレースがあったので、こちらを解説しておこう。4点目になってしまったが、一応3連複61倍を当てたエリザベス女王杯だ。アルゼンチン共和国杯、エリザベス女王杯ともに、ポイントになったのは、いつものように鮮度馬の取捨だった。

 アルゼンチン共和国杯では前走条件戦の馬の中から、ムスカテール、マイネルマークをピックアップして当てたわけだが(詳しくは筆者の携帯予想サイトの無料会報を参考のこと)、エリザベス女王杯には4頭、前走条件戦の馬が出走していた。

 レース当日は雨でタフな馬場が予想されことと、延長馬が多いので鮮度はいつも以上に大事になるレースだということは、容易に想像できた。もちろん高速レースや短距離戦など、レース質によっては鮮度の低い馬が走れるレースはいくらでもあるのだが(実はこのエリザベス女王杯も、例年は高速京都の単調な外回りで行われるので摩擦が少なく、比較的ストレスのある馬も好走しやすい)、今回は降雨と先行馬が点在するという状況から、その対極のレースになる確率が相当に高かった。

 実際、勝ったレインボーダリアは3走前が条件戦で前走が凡走、2着ヴィルシーナは初の古馬戦、3着ピクシープリンセスは前走1000万、4着マイネオーチャードも前走1000万。まともに古馬のオープンで何戦もしていた実績馬や、前走古馬オープンで好走していた馬は、軒並み5着以下に凡走したのである。

 では、条件戦から出走の4頭の優劣は、どのようにして決めればよかったのか?

 まず、前走が1000万条件だった5番人気ピクシープリンセス。前走が準オープンだった馬より鮮度が高い。問題は、その前走が2400mだったため、今回は短縮になる点と、ディープインパクト産駒だという2点(データ的に条件戦からの馬が好走していないというのを気にする人もいるかもしれないが、今年は例年より鮮度が要求されるタフなレースが予想されるので、それはまったく問題にならない)。

 毎回書くように、今回と同質の経験は必要ないが、今回に向けての準備は必要なのだ。同馬はこれまで下級条件での緩い流ればかりを経験してきた。挙げ句、前走が淡泊になりやすい広いコースの長距離戦では、ちょっと厳しい流れの経験が少な過ぎる。

 条件戦から今回2200mなら、前走は1800mか2000mのハイペース(または、急坂でタイトな中山や阪神などタフなコースの長距離)で、以前に2400m以上を1回経験しているのがベストだ。また、前走が激しい流れなら、延長2200mは楽に感じるし、それまでに1回2400m以上を経験していれば、長距離の質も理解できるからだ。

 しかし、ピクシープリンセスの場合はこの順番が逆なのである。ただ、その問題をクリアできる朗報があった。

 雨予報である。雨でばらける展開なら、短縮最大の心配点である揉まれることを回避できる可能性は高くなるし、体感的なペースも遅くなる。だから、それまでのステップによる不利も、ある程度は相殺できる。

 むしろ問題は、ディープインパクト産駒である点だ。再三書くように、ディープインパクト産駒はやや疲れやすく、休み明けに強い。そういう馬が休み明けを0.7秒差もつけて激走した後の中1週では、反動で硬くなる確率が五分五分で存在する(圧勝のため、精神的な反動は少ない)。ただし、若くて生涯ストレスが少ない時期は、反動確率の比較的低い種牡馬なので、それを考慮に入れると、7:3くらいで反動が出ない確率のほうが高い。

 また、反動が出るかどうかは馬体重を見ればだいたい分かる。今回は前走増えての中1週だから、4キロくらい絞れれば自然で、そうなれば反動は大丈夫だ。そこで予想には「少し絞れてほしい」と書いた。ところが当日はさらに4キロ増。少し硬さが出てきたので、若干反動確率は上がってしまった。

 そして、8番人気だったラシンティランテ。やはり1000万条件からの3歳馬だ。鮮度は高い。ただこれはあまり評価しなくてもいい。というのも、再三書くようにアグネスタキオン産駒は、自分より弱い相手に淡々と走るタイプだからだ。一気の相手強化では危ない。それでも鮮度が大切な種牡馬なので、鮮度が高ければ相手強化も乗り超える確率はそれなりに高い。

 今回問題なのは、同馬のステップだ。経験最長距離は2000mで、しかも前走は外回り1800mの少頭数でスロー。単調で揉まれないという、アグネスタキオン産駒が一番得意な競馬だった。今回は雨の多頭数延長GIなので、前走よりかなりタフな競馬が想定される。物理的な条件が一気にタフに感じられるステップで、しかも前走が一番得意な条件だったのだから、今回のレースの心身負荷がどれほど強くなるかは想像に難くない。

 唯一、希望となるのは、得意の揉まれない外枠である点。そこに雨なら、もし同馬が道悪巧者で、かつ当日外差し馬場にでもなれば、外々回ってまったく揉まれずに得意とする単調な形でスイスイと競馬が出来る可能性はある。ただ、それを考慮しても期待値は低いと判断した。

 そして、9番人気マイネジュンヌ。この判断は非常に難しかった。前走条件戦負けで鮮度が高く『血統辞典』でも「内枠向きで強い相手にしぶといC系」と解説しているロージズインメイ産駒だ。今回の格上挑戦+内枠の混戦は、もってこいの条件である。ただ、引っ掛かることがあった。

 同馬は馬場が湿ったときのパフォーマンスが、いつも落ちている。物理的に道悪が苦手な馬の可能性が高い。それに加えて、これまで経験した最長距離が2000mだという点も気がかりだった。長いスタミナ勝負を経験していない馬にとって、道悪の延長というステップは、体力的に辛い感じを与える可能性がかなり高くなってしまう。

 しかし、まだ馬場状態のいい京都で、しかも弱い雨という予報だ。京都にありがちな高速道悪での緩い流れなら肉体的負荷はないし、差しにくい滑るような馬場になれば、内の先行馬が物理的に有利になる可能性も高くなる。結局、馬場がどこまで悪化するか分からなかったので、条件戦からの馬では、ピクシープリンセスの次の評価とした。(来週につづく)

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※正誤表が競馬王ブログに掲載されています。

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ストレス、ショック療法など、競走馬の心身構造を馬券にする「Mの法則」を発見し、従来の競馬常識を完全に覆した。現在は、競馬雑誌等で活躍中のほか、馬券研究会「Mの会」を主催し、毎週予想情報の提供を行なっている。主な著書に「短縮ショッカー」、「ウマゲノム版種牡馬辞典」、「ポケット版 大穴血統辞典」などがある。

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