7年ぶりの天覧競馬となった天皇賞(秋)で、ダービー以来、実に2年5か月となるトップゴールを切ったエイシンフラッシュ。今週のジャパンCでは、5冠馬オルフェーヴル、そのオルフェを撃破した凱旋門賞馬ソレミア、史上4頭の3冠牝馬ジェンティルドンナらに注目が集まるが、ハマったときの破壊力は、彼らを脅かすに十分な可能性を秘める。世代の頂点を極めた思い出の舞台で、次に狙うは現役最強の座。その手応えを探るべく、指揮官・藤原英昭を直撃した。(取材・文:不破由妃子)
松永幹夫(現調教師)の最敬礼から7年。天覧競馬となった第146回天皇賞において、天皇・皇后両陛下に深々と頭を下げたのは、イタリアのトップジョッキー、ミルコ・デムーロであった。一度下馬し、ひざまずいての最敬礼。本来、騎乗馬が故障した場合を除き、コース内で騎手が下馬することは許されていないが、そんなルールを忘れさせるほどに、その姿が日本人の心に深く刻み込まれた瞬間だった。
厩舎の“ボス”藤原英昭調教師
デムーロを“その場所”に導いたのは、2010年のダービー馬・エイシンフラッシュ。デムーロの最敬礼に合わせるかのように、傍らで一瞬、漆黒の馬体もピタリと止まった。世代の頂点に立って以降、実に2年5か月ぶりの勝利であったが、同馬もまた、王者然とした堂々たる振る舞いであった。これには、辛口で知られる藤原も、「感動したね