スマートフォン版へ

Gウィークの激戦

  • 2003年05月05日(月) 14時43分
  • 0
 ゴールデンウィーク。4月28日~5月5日、各地方競馬場では連日に渡り統一グレードレースが行われた。「マリーンC」「オグリキャップ記念」「兵庫CS」「かきつばた記念」「群馬記念」。ビッグウルフの爆発力、ビワシンセイキの勝負強さ。順当な決着あり、おやおやという波乱あり…は勝負の常だが、近くの競馬場でライブを楽しみながら交流戦の馬券を買える。これはひとつ大きなオマケをもらったようで素直に嬉しい。記者はおおむね開催中の船橋競馬場でテレビ観戦。昨秋岩手「JBCシリーズ」のような“サイマル方式”はいかにも間延びして閉口するが、今回は自場、他場のレースが過不足ないタイミングでスタートされ、ファンの不満も少なかったと推測する。ただ一つ難をいえば、他場のレースがリアルタイムで放映されないこと。今回の場合、他場は全日PM3時50分の発走で、船橋メイン4時15分スタート。馬券をせっせと売っておきながら、その放映が「船橋競馬、第10R返し馬終了後(録画)」になってしまうのはやはり大きく興趣をそぐ。難しい問題ではないだろう。単純にファン優先で考えれば当然のこと。スポーツ、とりわけギャンブルは、それこそ数分後、驚くほどその鮮度を失う分野だ。

 マリーンC(4月28日船橋 サラ3歳上牝馬 1600m)

△(1)ラヴァリーフリッグ (56・石崎隆)1分40秒0
▲(2)ジーナフォンテン  (56・張田)1/2
△(3)アオバコリン    (54・内田博)4
○(4)ネームヴァリュー  (56・佐藤隆)2
△(5)ニシノハナグルマ  (56・左海)2
………………………………………………………
◎(10)ビーポジティブ   (55・武豊)

 単660円 馬複2860円 馬単6460円 3連複16550円 3連単85090円

 スタート直後、ヘルスウォールが落馬、ビーポジティブが大きくのめった。「アブミが外れて競馬になりませんでした。ただデキもあまりよくなかったようで(13キロ減)、まともに出ていてもどうだったか…」(武豊騎手)。いずれにせよ予想された展開は大きく狂った。前半、格下エスサガミが先導し、当然ながら緊張感を欠く流れ。3コーナー、持ったままラヴァリーフリッグが先頭に立ち、外からまくってくるジーナフォンテンをひと呼吸待つ余裕があった。直線正味2ハロンほど息詰まる叩き合い。結局、内ラヴァリーが体半分競り勝ってゴールだった。いつもながら重賞ハンターの心憎い手綱捌き。ラヴァリー自身これが6つ目のタイトルで、しかし統一Gは初めて。距離1600mが最も合うこと。順調の強みを生かしたこと。先週ベルモントアクターで「マイルGP」を制した出川克己厩舎。むろん陣営の勢いもあるだろう。今後ラヴァリーは、JRA芝路線も再び視野に入れローテーションを検討する。昨春東京「クイーンC」、0.8秒差10着。ただ走りっぷりは悪くなく、ここで踏ん切りがついたとなれば新たな可能性に興味が浮かぶ。以前も書いたが、ラヴァリーは大跳び、行きたがる気性で、芝1600mあたりが面白い。

 ジーナフォンテンはエンプレス盃快勝後一頓挫あったようで、パドックなど数字(7キロ増)以上に重苦しくみえた。それでも3~4コーナーの動きは迫力があり、とにかく体調にかかわらず毎回見せ場を作る逞しさ、勝負根性に惚れ惚れする。父ベストタイアップ。万能型。イメージはまだ少し地味だが、今後も牝馬重賞路線を堂々と進むだろう。ネームヴァリューは好位を進みながら意外な4着。「砂をかぶるとよくない気性。もう少し前で競馬をさせたかった」と川島正行調教師。02年NAR最優秀牝馬、それでもやはり完全無欠ではないということだろう。次走は6月「大井記念」。今回は完全燃焼でないと陣営が判断している。


  ☆       ☆       ☆

 テレビ埼玉杯(5月7日浦和 サラ3歳以上 別定 1900m)

◎ナイキダンサー   (56・石崎隆)
○ゴールデンイースト (58・森下)
▲レインボーリバティ (54・石井)
△スプリングシオン  (58・内田博)
△トミケンブライト  (56・左海)
△スピーディドゥ   (58・納谷)

 ナイキダンサーが重賞初制覇へリーチをかけた。デビューから[12-0-1-3]、文字通り未完の大器。6歳にしてまだノンタイトルは都合4度に渡る休養が原因で、しかし今季報知グランプリカップ3着、船橋記念5着、ようやく万全の態勢が整っている。父ブライアンズタイム、スピード、瞬発力、競馬センス、すべてバランスよく備え、何よりまだ使い込んでいないぶん馬に活気と若さがある。1600~2000m、中距離がおそらくベスト。ここで一つふっ切れれば統一G参入の夢まで浮かぶ。

 ゴールデンイーストは昨秋埼玉新聞杯でスプリングシオンに競り勝っている。今回と同じ距離1900m。かつてスピード一辺倒のイメージもあったが、父イブキマイカグラ(リアルシャダイ)なら実は芯が強いということ。前走船橋A2下を勝ち、ここへ十分な布石を敷いた。スプリングシオンは地力がある反面ジリ脚が弱みで、3歳時ゴールドカップを制したレインボーリバティが少しひねった狙いになるか。もっと大穴なら、かつてマリーンカップ2着、無欲の直線勝負でトミケンブライト。前走金盃3着スピーディドゥも船橋コースは苦にしない。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング