◆勝島王冠展望(11月28日 大井 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1800m)
勝島王冠は平成21年、準重賞から昇格した古馬1800m=SIII。その位置付け、ポジションは当初から“東京大賞典トライアル”とはっきりしており(1着馬に優先出走権)、現実に優勝馬、21年セレン、22年スーパーパワー、23年スマートインパルス、すべて本番大賞典に出走、それぞれ4、6、8着と一応の健闘をみせている。
3年間の結果から浮かぶ注目馬は、(1)…成長株、(2)…中距離型、(3)…差しタイプ、あたりになるだろう。ただセレン=1番人気、スーパーパワー=10番人気、スマートインパルス=3番人気。堅めか波乱含みか、馬券的な傾向、性格はまだ判然としない。
ともあれ今年は楽しみな顔ぶれになった。アートサハラ、プーラヴィーダ、活きがよくスケールの大きい新星が登場する。3歳馬=過去3年間[0-0-0-4]。データは思いのほか厳しいが(21年ブルーヒーロー9着、22年ツルオカオウジ10着)、今回2頭は実績、潜在能力ともひとケタ違うイメージだろう。
対して古馬からカキツバタロイヤル。同馬は重賞3勝(千六~千八)、GIIダイオライト記念2着など、オープンの基準、指標とも呼べる存在だけに、3歳2頭がこれを超えられるかどうか、世代レベルに関してもここで一つ答が出る。
☆ ☆
◎アートサハラ 59今野
○プーラヴィーダ 55戸崎
▲カキツバタロイヤル 57石崎駿
△ツルオカオウジ 58町田
△マチカネニホンバレ 59山崎誠
△フォーティファイド 57御神本
△ルクレルク 57張田
ドリームライナー 57本橋
ボンネビルレコード 59的場文
シーズザゴールド 59川島
ナムラブレット 57和田
“3歳対決”に期待した。アートサハラVSプーラヴィーダ。前者は羽田盃制覇、ジャパンダートダービー3着、後者は兵庫チャンピオンシップ3着、東京ダービー2着。ともにインパクトの強いレースぶりで、今の南関東古馬陣なら、勢いと上昇度を含め一気に粉砕可能なムードがある。
セントライト記念→JBCクラシック、あえて高いハードルに挑んだアートサハラ、A3・ペルセウス賞→A2・スポーツニッポン賞と連勝し、着実な出世を果たしたプーラヴィーダ。秋のステップは分かれたが、それぞれ思惑通り、青写真通りの収穫を得たことは間違いない。
◎アートとした理由は、羽田盃でみせた爆発力、さらにJDダービーでJRA勢相手に発揮した闘志というもの。おそらくプーラヴィーダ1番人気(有利な55キロ・戸崎J騎乗)で、馬券的妙味を考慮したこともある。
カキツバタロイヤルは前述通りオープン基準馬。距離万能、緩急自在のレース巧者で、本格化した5歳以降、大崩れがほとんどない。他馬との比較上、きわめて有利な57キロ、しかも今回は手の合う石崎駿Jに手綱が戻った。
ツルオカオウジは昨年このレース、クビ差2着。外々を捲り気味に動き、見方によっては勝ち馬(スマートスンパルス)以上の内容といえる。中間10か月のブランクは大きいものの本来が仕上がり早。条件の合うここ目標に入念に乗り込まれた。以下、転入初戦でもJRA7勝、フェブラリーS5着の実力派マチカネニホンバレ、転入後マイル~千八、堅実な走りを続けるフォーティファイド。詰めの甘いルクレルクも、今のデキなら前々を攻めてチャンスが出る。
◆浦和記念回顧(11月21日 浦和 サラ3歳以上 別定 JpnII 2000m梢重)
△(1)ピイラニハイウェイ 2分07秒5
○(2)エーシンモアオバー 1
▲(3)ランフォルセ アタマ
◎(4)トーセンアレス 2.1/2
△(5)ダイシンオレンジ 1.1/2
………………
△(6)プレティオラス
(7)グランシュバリエ
△(9)ディアーウィッシュ
単690円 馬複1560円 馬単3720円 3連複960円 3連単8980円
ピイラニハイウェイが、ゴール前の激戦を鮮やかに抜け出した。道中好位のインをじっくり進み、3~4コーナー外から動いたランフォルセ、トーセンアレスにいったん先をゆずって末脚温存。最後の最後、抜群の切れ味を発揮した。
「好位につけてぎりぎりまで我慢する作戦はイメージ通り。うまく流れに乗れました。いい脚を持っている。これがきっかけになってくれれば…」(岩田康誠騎手)
一人旅の逃げを打ったエーシンモアオバーに1馬身差、ランフォルセ、トーセンアレスにも、今日に関していえば文字通り完勝だった。同騎手はピイラニハイウェイ2度目の騎乗(前走・金沢大賞典4着)。馬の特長を即座に把握し、次のチャンスでそれを100%引き出してしまうところが何とも凄い。まさしく第一人者の“スキル”だろう。
ピイラニハイウェイは、父シルバーデュピティ、ダート通算8勝の7歳牡馬。交流Gは2月「佐賀記念=二千」に続く2勝目で、中~長距離、少し時計がかかる馬場に適性が高いと推測できる。ただその戦歴自体はどうにもムラ。展開優先、折り合い優先の部分が大きく、およそ常識にかからない(少なくともこれまでは)。
「今日はジョッキーの腕が一番ですね。それでも馬自身、丈夫でへこたれない逞しさを持っていて、だからこういう結果を出してくれる」(吉田直弘調教師)
同師は「冬場に調子を上げるタイプ」とも付け加えた。次走は年の暮れ「東京大賞典」「名古屋グランプリ」を両にらみ。今回二千=2分07秒5は平凡というしかないが(過去10年中第7位)、仮りに岩田J騎乗なら、顔ぶれしだいで脈が出る。
エーシンモアオバーは戸崎騎手騎乗。マイペースの逃げで、最後差し返す闘志をみせた。地方重賞中~長距離路線の安定株。もう昇り目は微妙だが、先手をとる展開なら依然しぶとい。
ランフォルセは直線中ほど突き抜けるかにみえて、案外最後伸びを欠いた。ただ道中タメがきいたレースぶりなど、ムーア騎手に手綱を任せた意味は十分あったか。
トーセンアレスはわからない。確かに外々を回った不利はあったが、それにしても不完全燃焼。次走改めて試金石というしかない。プレティオラス6着。こちらも不満だが、道中離れた後方から上がり37秒3の脚を使っている(メンバー中?1)。まだ見限れない…が、希望的なものを含めた記者見解。この日11キロ増で、パドックの馬体、雰囲気も悪くなかった。