ジャパンCダートの舞台は阪神1800mのダートコース。コーナーを4つ回る。ポイントのひとつは発馬地点だろう。スタートして直後に急坂が待ち受ける。そして1角までの距離は決して長くはない。そのためポジション争いをめぐる攻防が激しくなりやすいのだ。
ダッシュ力があるなら内枠に入れば有利には違いない。ただ外枠に先行型が入った場合は当然、勢いをつけて最初のカーブにめがけてくる。内枠の先行馬が譲るような格好になれば外枠の馬はそのまま主導権を握りやすい。というのも向こう正面までは平たんな馬場が続くためだ。
連覇中のトランセンドの立ち回りを例に取るとわかりやすい。10年は2枠3番。内枠だ。当時はこの馬自身の行きっぷりが良かったことに加え同型との兼ね合いもスムーズだった。それがアドバンテージとなって枠順がプラスに働いている。
11年は8枠16番。フルゲートの一番外からスタートしている。内枠には軽快なタイプが複数いた。トランセンドは発馬して直後の勢いが以前ほどはなく、鞍上の藤田騎手が先陣を切ることに重きを置いたことで外側からかぶせるように1角に入った。内側の先行勢も控えたことで大外枠の人馬がレースの流れをつくることに成功している。
当コースに場所を移して今年が5回目だ。過去4回はいずれもひと桁の馬番とふた桁の馬番同士の組み合わせで上位2席を占めた。先行馬の頭数や先頭で進むことへの意識の違いで異なってくるが基本的には外枠がマイナスにはなりにくいコースと考えていい。表現を変えれば1角で位置取りが悪くなる可能性がある。先行脚質の馬を狙う場合は発馬直後の反応や二の脚の速さを考慮しておくことが重要ではないだろうか。
ワンダーアキュートを推す。
1.休養明けはもうひとつで実戦を重ねるごとに内容が良くなる。
2.体重の変動が激しく長距離輸送では気持ちが高ぶりやすい。
このふたつの印象があったのだが前走の勝利はそれらを払拭するものだった。休養明けで21キロ減。下見所でおとなしかったこともあり覇気がないのではと心配したが圧巻の内容である。
盛り上がった肩の筋肉と薄い皮膚。スピードとパワーの双方を伝えてくるいまのシルエットから晩成の母系の血が騒ぎ始めたということなのだろう。充電前は素質に任せて走っている部分が多かったために不安定だったのではないか。研ぎ澄まされた外観と落ち着き。遅咲きの血という背景を持っている事実を加えればこれからのダート界を背負っていく馬だと思える。
フェブラリーSで違う一面を見せて以降、息を吹き返しているエスポワールシチー。ソリタリーキングは控えめな気性が薄れて積極性が増してきた。外枠をプラスにして前進可能。ニホンピロアワーズは休養を挟むごとに少しずつ地力をつけているところがいい。
自在性があり死角が少ないローマンレジェンド。あとはGIでの力関係に尽きる。ナムラタイタンは行き脚がつかなくなっている分、しぶとさが増している。二枚腰に期待してみたい。