もっとも勢いのある上がり馬グループの4歳ローマンレジェンドに、いまや日本のビッグレースの主役になりつつあるM・デムーロ騎手。未知の魅力あふれる新星3歳のイジゲンには、ダートでも芝と同じような切れ味を引き出してしまうR・ムーア騎手。
これから成長しそうなソリタリーキングには浜中騎手が乗り、可能性を秘めるトゥザグローリー、グレープブランデーには、C・ウィリアムズ騎手と、C・ルメール騎手。
テイエムオペラオーの和田騎手は、タフな成長力を示しようやくGI馬となったワンダーアキュートとのコンビで久しぶりのGI連勝を狙っている。
不振が続いたあと、甦った(ようにみえる)7歳エスポワールシチーは武豊騎手で、どうしたのだろうという成績になっているトランセンドは藤田騎手。
ダートGIらしい好カードは、人馬のかもし出すムードが妙にはまっていたりして、個性のはっきりしているメンバーだから、その人気は騎手のキャラを合わせてになる。シビルウォーも内田博騎手ゆえに侮れない。
上のワンダースピード(父キンググローリアス。8歳の最後のレースも勝って46戦12勝。種牡馬)と同じように、遅咲きタイプらしい本格化を示すワンダーアキュートから入りたい。昨年のこのGIは出負けし、直線インから猛然と追い込んだが2着どまり。最後の詰めを欠き、どうもビッグレースではあと一歩だったこの馬、前回のJBCクラシックでは、今回も対戦するシビルウォー、トランセンド、ソリタリーキングなどに5馬身(以上)の差をつけて独走している。他馬が動くのを見つつ、直線力づくのスパートだった。
パワー型のイメージが濃いが、京都ダート1900mを1分53秒7の大レコードで勝った際の1800m通過は、ちょうど先頭に立った地点で「1分47秒6」だった。これはJRA・公営競馬を合わせての日本レコード1分47秒8より速い。スピード能力も十分ある。
父カリズマティックは、その父サマースコールがあまり種牡馬として成功しなかったのと同様、米2冠馬(ベルモントSはレース中の骨折で3着)ながら、種牡馬としてはここまで不振。日本へきた最初は100頭近い交配相手を集めたが、ここ3年の産駒数は一桁に落ち込んでいた。
このワンダーアキュートのJBCクラシックが日米を通じての初のGI制覇である。あの勝ちっぷり、1800mの隠れた記録、そして昨年の2着を思い起こすと、あの5馬身差独走はフロックではない。いま本格化を示す圧勝だった。追い比べになって底力を発揮する。
前走のみやこSで、さらに勝負強さを加えてきた感のある4歳ローマンレジェンド(デムーロ騎手)と、あっさりも凡走もありそうなイジゲン、そして本来の行きっぷりと粘り腰が戻っているエスポワールシチー(武豊騎手)の3頭が相手本線。
内枠を引いてしまったが、先行激化の力のレースになると侮れないシビルウォー、切れこそ乏しいが、まず凡走はないと思える渋いニホンピロアワーズ、今度は強引にでもハナを主張して出るトランセンドの3頭が押さえ。
メンバーの揃ったダートのGI。そう大きな波乱はなく、底力の勝負と思える。