◆ゴールドC展望(12月12日 浦和 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1500m)
ゴールドCは平成20年に施行時季、出走条件、距離、すべて大きく変わったリニューアル重賞(昭和32年~平成13年まで、3歳馬・2000mで実施)。記者を含めオールドファンにはまだ少し違和感も残るが、まあそれはノスタルジーというものだろう。
実際この時季、現在の3歳馬に“浦和・2000m”を組んでも、本来重賞レースが持つべき狙いと目的、さらに大義名分が浮かばない。いずれにせよ、過去4回の結果からはリニューアルが正解だった。
とりわけA1=58、A2=56キロ(牝馬2キロ減)という、シンプルな別定重量が英断と思う。優勝馬の顔ぶれ、チェレブラーレ、ノースダンデー、ボランタス、ナイキマドリード…そう並べても、JpnIII級に見劣りしない。そして今年も実際、さまざまな経歴、個性を持つ馬がそろって目移りする。いわゆる“佳作”だけれど、興味深い重賞になりつつあるとはひとまず思う。
(1)…小波乱。1人気=1、1、2、1着は優秀だが、対して2人気=4、3、3、9着、3人気=12、4、9、5着と頼りない。昨年も1→9番人気の決着で、馬複、馬単とも万馬券になった。いわゆるヒモが狂う傾向か。
(2)…4場所脈あり。船橋=2勝、2着2回とリードするが、大井、川崎もそれぞれ2勝。地元浦和も、クレイアートビュンが20~22年、連続して2、2、3着と好走している。ほぼ等分にチャンスが浮かぶ。
(3)…4~6歳馬。4歳=2勝、2着1回と最も強く、次いで5歳=1勝、2着2回、3着2回、6歳=1勝、3着回2。昨年9歳イブロンが2着したが、これはどうやら例外か。7~8歳馬は馬券の対象になっていない。
(4)…自在型。逃げ=1、先行=3、差し=3、追込=1。距離千五らしく緊張感のある流れが多く、自在性と底力が要求される。連対8頭中、4頭が直前交流Gに出走。シンプルな別定重量で格上馬に強み。
※データ推奨馬
◎タマモスクワート…JRA3勝の転入。以後重賞勝ちこそないものの[3-2-1-4]、マイル中心に中身の濃いレースが続く。前走は未知の2100M・JBCクラシックに挑戦。結果6着ながら地方馬最先着を果たした。クレイアートビュンを育てた浦和・小久保厩舎所属。展開に左右されない自在型。
☆ ☆
◎ナイキマドリード 58戸崎
○タマモスクワート 58見沢
▲サクラロミオ 58川島
△コアレスピューマ 58張田
△クリーン 58本橋
△アドマイヤスワット 58真島
△アドマイヤシャトル 58山崎誠
ナムラブレット 58和田
ディアーウィッシュ 58今野
ナイキマドリードの連覇に期待する。何度か書いたことだが、同馬はスプリンターとマイラーのちょうど中間、千四~千五(とりわけ左回り)を走らせて最も強く、GII・さきたま杯を昨年優勝、今年2着。昨暮れこのゴールドCは、3~4コーナーひと捲り、8馬身差の独走だった。今秋、南部杯6着、JBCスプリント7着、ひと息波に乗れないが、この中間は意欲的な追い切り3本。久々に万全で臨む感触がある。前述通り実績上位馬に断然有利な別定58キロ。戸崎騎手と再コンビ(さきたま杯など重賞2勝)も、ごく普通にイメージしてプラスが大きい。
タマモスクワートは7歳馬ながら、転入後JRA3勝の戦歴以上に充実している。緩急自在のレース巧者で本質マイラー。前走GI力走の反動さえ出なければ大崩れは考えにくい。今回転入初戦になる3頭ではサクラロミオをとった。同馬の場合、JRA→浦和→JRA→船橋と、めまぐるしく所属が変わり、それでも浦和在厩時2戦2勝、舞い戻ったJRA4勝、オープンにまで出世した逞しいキャリアがある。父サクラローレル、本格派の追い込み馬。川島正行厩舎から再スタートなら今後の歩みに興味が大きい。
アドマイヤシャトル、アドマイヤスワットは、ともにJRA5勝馬ながら中~長距離志向。忙しい千五にいきなり対応できるかどうか。それなら本来スプリンターでも、再び好調モードに入ったコアレスピューマ、長休明けながら捲る脚に破壊力があるクリーンに、馬券的な妙味を感じる。
◆クイーン賞回顧(12月5日 サラ3歳以上牝馬 ハンデ JpnIII 1800m不良)
△(1)レッドクラウディア 1分53秒3
○(2)クラーベセクレタ 4
(3)アドマイヤインディ 1.1/2
(4)ハルサンサン クビ
(5)ネオグラティア 3/4
…………………
(6)スズリスペクト
(7)プリンセスペスカ
△(8)アクティビューティ
◎(9)アスカリーブル
△(10)エミーズパラダイス
▲(13)ホエールキャプチャ
単1000円 馬複1190円 馬単3600円 3連複72280円 3連単427330円
レッドクラウディアがマイペースの逃げで圧勝した。最内枠から絶好のスタート。何とも気分のいい一人旅になり(千通過62秒2)、直線GOサインからもうひと伸び。早め早めに動いたクラーベセクレタを、逆に4馬身突き放した。
「イメージ以上にポンと出て、あとは馬の行く気にまかせた。本来どんな競馬でもできそうなタイプ。今が伸び盛りということでしょう」(内田博騎手)
川島正行厩舎の女傑級3頭に、初ダート・ホエールキャプチャが挑戦、ワクワクする好カード…とは記者、検討記事で書いたこと。しかし現実に勝者は6番人気、3歳の伏兵だった。
レッドクラウディアは、アグネスタキオン×コマンダーインチーフ。JRAダート3勝は、例年ダート3歳馬出世レースとされる昇竜Sも含まれ、もとより格下、力負けの評価は当たらなかった。ただ今日のところはまさしく金星。少なくとも現地方女王であるクラーベに4馬身差は驚きで、千八=1分53秒3(昨年クラーベ=53秒2)も、今回重苦しい馬場を思うと合格点がつく。
「間隔をとって(7月・スパーキングLC、4着以来)9キロ増。理想的な仕上がりで結果が出せた。前々の競馬をしたのもジョッキーとの作戦通り。これから先が楽しみです」(石坂正調教師)
次走は1月23日大井・TKC女王盃(1800mGIIIと明言された。再びクラーベ、さらにミラクルレジェンドとの対戦になりそうだが、今日の内容を素直にとるなら、一挙に“ダート牝馬頂点”をうかがう可能性も十分浮かぶ。
クラーベセクレタ2着。無難なスタートから人気馬(実績馬)らしい競馬はできたが、いざ追って案外だった。馬場の軽重はあるにせよ昨年の時計より自身およそ1秒かかっており、レースぶりもどこかふっ切れない感じがある。牝馬G、一貫地方主役を演じてきたスターホース。真の気力復活がひとまずテーマか。
道中後手に回り、重い馬場も合わなかったエミーズパラダイス、6キロ増、よくも悪くも成長期にかかっているアスカリープル。展開、状態など伴えば、次走一変の期待もある。
高知アドマイヤヤサンディ3着は4コーナー9番手、上がり39.0秒(メンバー中第3位)。ただ、過去戦歴からこの1走だけではまだ評価が難しい。今冬TCK女王勝ちがあるハルサンサンが復調気配、スズリスペクトもメンバー最速上がり37秒8だから、今後無視できない存在になった。ホエールキャプチャはテンから消極的なレースぶりで見せ場なし。能力、ダート適性以前に、今回は状態が本当ではなかった気がする。