母はステイゴールドの全妹、良血キンカメ産駒クラージュドール
●オランジュドール(牝 美浦・戸田博文 父エアジハード、母ライプオレンジ)
父エアジハード、という部分だけを見れば地味な印象だが、シャダイアイバー=ダイナオレンジ4×3、というド派手な全きょうだいクロスが施されている。このクロスがハマるかハマらないか、それだけがポイントといっても過言ではない。全姉キープザフェイスは4勝を挙げて準OPまで出世した。全兄オレンジハートは1戦0勝で引退。この馬は牝馬なのでキープザフェイスに似てほしいところ。
●クラージュドール(牡 栗東・池江泰寿 父キングカメハメハ、母レクレドール)
母レクレドールはローズS(GII)、クイーンS(GIII)の勝ち馬。ただの重賞勝ち馬ではなく、その全兄にステイゴールド(01年香港ヴァーズ-G1、01年ドバイシーマクラシック-G2など重賞4勝)がいるほか、伯父にサッカーボーイ(88年マイルCS-GI、87年阪神3歳S-GI)、甥にドリームパスポート(06年神戸新聞杯-GII、06年きさらぎ賞-GIII)、ラウンドワールド(12年札幌2歳S-GIII・2着)など近親には多くの活躍馬が並んでいる。繁殖牝馬としてのポテンシャルに期待が持てる存在だ。父がキングカメハメハなら重賞クラスに出世しても不思議はない。芝向きの中距離タイプ。
●シープシャンクス(牝 栗東・角居勝彦 父ディープインパクト、母ラスリングカプス)
スプリンターズS(GI)など4つの重賞を制したアストンマーチャンの半妹で、全兄オコレマルーナは現1000万条件の芝マイラー。母ラスリングカプスは現役時代スプリンターで、繁殖牝馬となってからは何を交配しても速い産駒を生んでいる。父ディープインパクトはスプリント色の強い繁殖牝馬との交配から、リアルインパクト、ドナウブルー&ジェンティルドンナなどの大物を出している。芝・ダート兼用のマイラーで、兄を超える活躍を期待したい。
●ラッドルチェンド(牝 栗東・矢作芳人 父Danehill Dancer、母ラヴズオンリーミー)
父Dancehill Dancerは現役時代、アイルランドのG1を2勝したスピード馬で、種牡馬としてもSpeciosa(05年英1000ギニー-G1)、Choisir(03年ゴールデンジュビリーS-G1)など南北両半球で多くの活躍馬を輩出している。大種牡馬デインヒルの有力な後継種牡馬の1頭で、仕上がりの早さとスピードに定評があり、09年には英・愛リーディングサイアーに輝いている。母ラヴズオンリーミーは不出走だが、その半姉Rumplestiltskinはマルセルブサック賞(仏G1)、モイグレアスタッドS(愛G1)などを制して全欧2歳牝馬チャンピオンに選ばれた名牝。2代母Monevassiaは大種牡馬Kingmamboの全妹という超良血だ。Storm Cat、Kingmambo≒Monevassia、His Majestyなど、香港スプリント(G1)を快勝したロードカナロアと構成する血が似ているのでおもしろい。芝・ダート兼用のスプリンター〜マイラー。
●レッドオーディン(牡 美浦・大竹正博 父ジャングルポケット、母リンガフランカ)
「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」は、フサイチホウオー、トールポピー、アヴェンチュラの三兄妹や、ジャガーメイル、トーセンキャプテン、アプリコットフィズ、ヒカルカザブエなど多くの活躍馬が出ているニックス。本馬の母リンガフランカは、ヒカルカザブエ(09年阪神大賞典-GII・2着)の母アドマイヤセラヴィの全妹。つまり、本馬とヒカルカザブエは血統内容がまったく同じということになる(父が同じで、母同士が全姉妹)。繁殖牝馬として成功しているアドマイヤセラヴィは、現役時代は未勝利馬だったが、全妹リンガフランカは1000万条件で走った。したがって、繁殖牝馬としての能力も、リンガフランカ>アドマイヤセラヴィとなる可能性は考えられる。芝の中長距離タイプで、晩成型だろう。