◆全日本2歳優駿(12月19日 川崎 サラ2歳 定量 JpnI 1600m)
全日本2歳優駿は平成9年、統一G移行。すでに15年間の歴史を重ねる。2歳戦ゆえ、各年若干のレベル差は否めないが、それでもその15回、おおむねGI馬らしい優駿が制してきた。JRAアグネスワールド、アグネスデジタル、さらにユートピアなどは、後に“国際級”の評価を獲得、対して地方側トーシンブリザード、フリオーソ、ラブミーチャンなども、以後長くタイトルに恥じない速さと強さをアピールしている。
さて今年の顔ぶれ。レベルうんぬんは先の問題として、現時点で“骨組みのしっかりした好メンバー”といえるだろう。11月29日園田・兵庫JG勝者ケイアイレオーネこそ回避(フレグモーネ)したが、同レース2着アップトゥデイトに、12月8日門別・北海道2歳優駿優勝アルムダプタがぶつかる図式。南関東側からも鎌倉記念→平和賞連破のインサイドザパークが臆することなく挑戦する。
他にも、JRAダート2連勝サマリーズ、ドコフクカゼ、タプローム、道営組アウトジェネラル、ジェネラルグラントも、今回南関東へ転厩して登場。昨今のダート界らしく層が厚い。ここまでさまざまな路線を歩んできた全国のスター候補が、今回雌雄を決すると思うと何とも楽しみ。例年にも増してワクワクした気持ちにさせられる。
(1)…小波乱。1人気[4-2-2-2]は、未知のメンバーが対戦するケースが多いことを思うとかなり優秀。ただ2人気[1-2-2-5]、3人気[2-2-2-4]と頼りなく、1~3人気のワンツースリーは昨年だけ。総体的には波乱含みか。
(2)…JRA優勢。JRA=8勝、2着4回とほぼ断然。船橋=1勝、笠松=1勝は、それぞれフリオーソ、ラブミーチャンで、地方馬にはやはりハードルの高いレースといえる。ただ道営=2着4回、3着3回は注目でき、馬券的にも妙味あり。
(3)…素質馬。優勝馬の平均キャリア=4.0戦、同2着馬=5.9戦。実績、経験より素質が優る傾向で、昨年オーブルチェフはこのレースを4戦無敗(ダート)で通過した。直前の北海道2歳優駿、兵庫JGを使った馬がやはり強い。
(4)…逃げ=4、先行=6、差し=7、追込=3。交流移行後は大半が平均~ハイペースで流れ、4コーナーを中団以内で回れればチャンスが出る。大型馬が強い傾向があり、過去5年、連対10頭中7頭までが、当日480~520キロ台。
※データ推奨馬
◎アルムダプタ…前走キャリア2戦目でGIII・北海道2歳優駿を完勝した。底力とセンス、両面を備えるイメージ。490キロ台、パワフルかつ伸びやかな馬体にも大器然としたムードがある。父スペシャルウィークは、今季ゴルトブリッツ、ローマンレジェンド輩出で、ダート適性を証明した。
☆ ☆
◎アップトゥデイト 55岩田
○アルムダプタ 55幸
▲インサイドザパーク 55左海
△サマリーズ 54藤岡
△ソルテ 55金子
△ドコフクカゼ 55竹之下
△アウトジェネラル 55戸崎
ジェネラルグラント 55石崎駿
タプローム 54嘉藤
アメイジア 55今野
クラグオー 55五十嵐冬
オグリタイム 55川島雅
アップトゥデイトの差し切りに期待した。前走園田GII・兵庫Jグランプリ2着。向正面から絶妙のタイミングで捲ったケイアイレオーネには離されたが(5馬身差)、当時致命的な出遅れ、道中も馬群の中で終始きゅうくつなレースぶり。それでいて最後まで闘志を絶やさず、上がり3F37.9秒だから(レオーネ=38.0秒)、内容自体は負けていない。現状不器用、粗削りながら、父クロフネの血統背景を含め、まだまだ上積みがあるだろう。何より今回は1F延長、鞍上・岩田Jが大きなプラス。左回りも克服済み(中京新馬勝ち)だ。
キャリア2戦目で北海道2歳優駿を制したアルムダプタも只者ではない。当時中団のイン、けっして楽な手応えとも見えなかったが、いざ追い出して抜群のパワーとガッツ。典型的な実戦タイプと判断できる。やや忙しいイメージの川崎千六をどうこなすかが今回テーマだ。逆に千二→千四を連勝したサマリーズは、本質スピード型を思わせ千六克服が鍵になるか。前走ダート千八コースレコード勝ちのドコフクカゼも、素質、上昇度はヒケをとらず、好スタートから流れに乗れれば脈が出る。
地方勢。重賞2連破インサイドザパークは、今回相手が1~2ランク上がり、時計短縮が条件だろう。それでも全身これバネ…という脚さばき、勝負根性など素晴らしく、記者心情的なものも含めると▲以下には落とせない。大井・ハイセイコー記念勝ちソルテもインサイドザパーク同じく父タイムパラドックス。脚質、レースぶりもよく似ている。無欲の直線勝負で可能性を残すとみたい。道営からの転入組アウトジェネラル、ジェネラルグラントでは、差して味がある前者をマーク。同馬は現実に北海道2歳優駿1番人気(4着)。南関エース・戸崎Jを鞍上にどう変わるか。
◆ゴールドカップC12月12日 浦和 サラ3歳以上 別定 南関東SIII 1500m良)
◎(1)ナイキマドリード 1分34秒2
○(2)タモモスクワート 4
(3)ナムラブレット 4
△(4)アドマイヤシャトル 1.1/2
△(5)コアレスピューマ 1.1/2
…………………
▲(8)サクラロミオ
△(9)アドマイヤスワット
△(10)クリーン
単140円 馬複250円 馬単310円 3連複4290円 3連単8600円
ナイキマドリードが自然流の先行で圧倒した。1番枠から絶好のスタート。今開催の浦和は、逃げ有利、内枠有利が目立つ馬場状態で、鞍上の作戦もそれをはっきり意識したものだろう。37.4~50.2秒、緩みのないラップを快調に刻み、直線半ばからは独走、終いセーブする余裕があった。
「本来スピード型だし、スタートさえ決まれば自分でレースを作ってくれる。改めて強い馬だと思いました」(戸崎J)
千五1分34秒2も合格点(昨年自身=34秒4)。終わってみれば力通り、堂々たる連覇としか言葉がない。
検討記事でも書いたこと。同馬はスプリンターとマイラー、ちょうどその中間に属し、距離千四~千五、とりわけ左回りで持ち味を100%発揮する。今日を含め重賞5勝中、4勝がこの条件。何より一昨年交流GIさきたま杯を、スーニ、ラブミーチャン相手に完勝だから、その個性、特徴、絶対能力、すべての面で群を抜く。
「今年一番の仕上げで臨めた。力を確認できてうれしい。来年は7歳だけれどまだまだやれると思っている」(川島正行調教師)
ウィークポイントといえば、心身両面、揺れが大きいということだろう。次走未定とされたが、来季大目標はおそらく「さきたま杯」2勝目。何とかそこまでいい状態をキープしたい。
2着タマモスクワート。3~4コーナー、マドリードの直後まで取りついたが、直線逆に突き離された。それでもスピード、センス、瞬発力、南関SIII級なら常にチャンスがありそうで、今回の場合、JBCクラシック力走(地方馬最先着)直後、厳しい状況だっただけに、より充実度が評価できる。
人気薄ナムラブレット3着。勝ち負けとは大差ながら忙しい浦和千五を善戦したあたり、同馬自身一つ視界は広がった。父エイシンサンディ、実戦向き、意外性のあるタイプといえる。4着アドマイヤシャトルは、JRA戦歴(千八~二千・5勝)通りもう少し距離がほしい。5着コアレスピューマは道中ぎくしゃくした折り合いで、やはり生粋のスプリンターか。サクラロミオは22キロ増。結果追走終了(8着)ながら川島厩舎流の調整とみえ、次走一変も期待できる。