有馬記念、阪神C、ラジオNIKKEI杯2歳S追い切り診断
【栗東トラックマン情報】
◆日曜中山10R・有馬記念(GI)
・ゴールドシップ
菊花賞優勝後は、早々にこのレースを目標に定めて短期放牧。吉澤Sウエストから帰厩したのは11月21日だったが、すぐに坂路調教を開始し、態勢が整えられている。ほぼ坂路での追い切りが中心になっているが、16日にはCコースでトラック調教を実施。中山芝2500mへ向けた調教がしっかりと行われている印象がある。最終追い切りは攻め駆けするジャスタウェイとの併せ馬になり、見た目にはいい印象が残る動きではなかったものの、大きく舌を出して、この馬なりの順調さをアピール。あとは古馬との対戦で、小回りコースをいかに対応するか、そのあたりが勝敗の鍵を握ることになりそうだ。
・トレイルブレイザー
アメリカでの2戦から帰国後は大山ヒルズでしっかりと調教を積んでの栗東帰厩。少し強めの坂路でのキャンターを繰り返して、調教本数的には中6週という間隔に十分対応したものにはなっている。ただ、中身自体は決して濃くない。最終追い切りも14.0〜14.3〜13.5〜14.5秒とちぐはぐなラップになり、しっかりと最終追い切りを行ったという印象はない。馬場が重く、時計が出にくいことを考慮しても、この追い切り内容には順調さを感じないだけに、中山競馬場へ輸送するまでの最終調整でどのような調教を行ってくるか、そのあたりに注目してみたい。
・ビートブラック
前走JCは自分の競馬に徹した逃げ。直線差されはしたものの、この馬のセールスポイントをしっかり発揮できたレース内容だったと見ている。その好影響もあったのか、今回の最終追い切りは絶好。ハロー明けの時間帯だったとはいえ、バランスを崩すこともなく、非常にしっかりとした脚どりで坂路を駆け上がる。凡走時に見せる舌出しのシーンはなく、動きは文句なし。時計的にはもう少し速い数字、速いラスト1Fなら、という感じもするが、自分のパフォーマンスはしっかりと見せることができる状態にあるだろう。
◆月曜中山11R・阪神C(GII)
・マジンプロスパー
前走スプリンターズSを含めて、近2走は負けているものの、ハナを切る、この馬らしくないレース内容での結果だけに、本来の番手からのレースができれば、十分に持ち味を発揮できると思う。もちろんそれには前走までのダメージを引きずらないことが前提だが、最終追い切りの動きを見るかぎり、間隔をあけたことでリフレッシュしている様子。最終追い切りもこの馬らしい速い時計のCW追い切りで仕上げており、この中間は坂路を併用しての仕上げ。今回はハナを切ってくれる馬がいるだけに、巻き返す可能性が大いにありそうだ。
◆土曜阪神11R・ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII)
・エピファネイア
前走後はプール調教が入っているように、テンションの高さがこれからの活躍の足かせになってしまう可能性がある馬。追い切りでも抑え切れないスピードがあるだけに、そのあたりのコントロールが勝敗の鍵を握ることになりそう。最終追い切りはCWで3頭併せ。前走のレースでもそうだが、外に馬がいると、無理に行きたがるところがなく、スムーズな走りを見せる。今回も手応えが悪い外2頭に比べて、楽な手応えで先着。この調教内容から減点するようなところは一切ないが、実戦で外枠が当たった場合、どのような競馬になるのか。個人的には枠順が好走凡走のポイントになりそうな気がする。
【美浦トラックマン情報】
◆日曜中山10R・有馬記念(GI)
・ナカヤマナイト
天皇賞・秋は直線で前が詰まりっぱなしの9着。絶好調と言えるデキだっただけに、もったいない感も残ったが、その後はここ目標に入念な乗り込み。2週前追い切りの5日、1週前追いの12日はいずれもこの好調さを裏付けるに十分な動きだったが、19日の最終追い切りも1000万条件プロヴィデンスを子供扱い。5Fで3馬身追走から、ゴール前も善臣ジョッキーの手綱が動かずに持った切りで半馬身先着。5F66.7〜3F37.9〜1F12.6秒のタイムも秀逸で、文句のつけどころがないほどキッチリ仕上がっている。あとは得意の中山戦、それも上がり時計がかかる内回りコース。強敵相手といえ願ってもないチャンス。直線早めに先頭へ躍り出る策でも好勝負。
◆日曜中山11R・ノエル賞(1000万下)
・サイレントソニック
夏以来の競馬になるが、11月末に帰厩してから十分な乗り込みを消化している。今週はウッドチップで66.0〜38.5秒。馬場の外々を単走で回ってきたが、最後まで脚どり乱れず、力強い走りでゴールイン。もともと久々は苦にしないタイプだが、スッキリした体で気合のりも満点。状態に関しての不安は何もない。昇級初戦でも人気どおりの2着にきた前々走、勝ち馬は次走の準オープン特別でも2着とハイレベルな1戦。出遅れが最後まで響いた前走も、差はわずかコンマ3秒差。このクラスでは地力断然、牝馬限定戦なら久々でも負けられない競馬になる。
◆日曜中山7R・ホープフルS(OP)
・ヴェルデホ
3か月ぶりで臨んだ前走(ダート戦)のプラタナス賞。ビシッと追われた調教がなく余裕を残した馬体で息もちにも不安はあったが後方から直線外へ持ち出し上がり36秒台の切れ味を見せ圧勝。大きなフットワークで鋭い瞬発力は芝でもを感じさせた内容。この中間も無理をさせることなく十分に間隔を開けて入念に乗り込まれ、直前の追い切りでは終いを重視してゴール前ビシッと追い5F69.1〜上がり38.6秒。豪快な伸び脚は芝での期待を膨らませた。
◆土曜中山12R・冬至特別(1000万下)
・イチブン
大型馬の久々ということで多少立派に見えるが、先週は格上のハンマープライスは一杯に追うのに対し、馬なりで49秒台をマーク。オープン級の動きを見せた。本数は少ないが、牧場で乗り込んできたようで、今週も素軽い動き。この追い切りと輸送で、キッチリ絞れてきそうだ。以前は1600万で好勝負していた馬で、このクラスでは能力上位。鉄砲実績はないが、気性的には不安がないはず。
◆月曜中山10R・クリスマスC(1600万下)
・ビンテージチャート
今年は2戦しただけだが、しっかり休ませて大正解。この馬本来の気追、躍動感が戻っており、いきなり力を出せそうなムードが漂う。直前の追い切りは、格下のダイワフォースを相手に6ハロンから。終始追走する形から同入したが、最後まで手綱はまったく動かぬまま。準オープン馬らしい力強いフォームで、一気に直線を駆け抜けた(83.5〜67.8〜53.0〜39.4秒)。昨年の最後に出たしたレースが、この中山の芝2200m戦。結果は4着だったが、強カメンバー相手に健闘したように、条件的にはもっとも合うコースと距離。大型馬ながら鉄砲実績も十分にあり、軽く扱うのは危険というものだろう。
【お知らせ】
2012年度の更新は今回で終了となります。2013年度は1月3日から更新いたします。