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アディライト・羽田を飛翔

  • 2003年05月18日(日) 18時47分
 5月14日「羽田盃」。ナイキアディライトが想像以上の強さで第1冠をモノにした。16頭立て、12番枠、試練に近い枠順だったが、内のベルモントソレイユ、スオウライデンに喧嘩を売る気配がなく、自身の加速もきわめてスムーズ。1コーナーをスルリと回り、その時点で1馬身半ほどのリードをとった。父ディアブロ、回転の鋭いフットワーク。確かに快速型だが、案外精神面ではゆとりがある。1000m通過61.5秒、平均ペースを淡々と刻み、余力を残して4コーナー。直線あと1F、鞍上が満を持して追い出すと、一瞬のうちに後続が離れていく。5馬身差。手綱を緩めたところがゴール。京浜盃が4馬身差だから、性能の違いがさらにはっきりしたというほかない。1790mを1分52秒3。昨年プリンシパルリバーが54.1秒。軽い馬場を割り引いてもそのレベルに胸が張れる。

羽田盃(サラ3歳 定量 南関東G1 1790m良)

◎(1)ナイキアディライト (56・石崎隆) 1分52秒3
▲(2)ナイキゲルマン   (56・的場文)  5
 (3)イシノファミリー  (56・山田信)  2
○(4)シャコーオープン  (56・早田)   首
 (5)アヅマデフィート  (56・桑島)   2
…………………………………………………………
△(8)ベルモントソレイユ (56・内田博)
△(10)ウツミジョーダン  (56・佐藤隆)
△(14)ウィンブロー    (56・今野)

単140円 馬複410円 馬単570円
3連複6040円 3連単12490円

 終わってみれば、石崎隆之騎手は羽田盃、4年連続の優勝だった。「外枠だけが気になったが、二の脚がとにかく速い。道中ずっと手応えがよかったし、追っての反応もイメージ通り。成長しているね。2000mの東京ダービー?まあ同じ顔ぶれならそう心配ないでしょう」。パドックからハリのいい馬体が目立ち、6キロ増はそのまま成長分でいいだろう。歴代の羽田盃馬と現時点で較べれば、ナイキジャガー、ブルーファミリー、そのあたりのランクになるか。なるほど同世代、南関東同士で戦う限り、距離はさして問題ない。ただもちろん、この馬にはさらに大きな舞台が待っている。統一G、7月8日「JDダービー」。相手が変わり展開が変わると、正直まだ現状では線が細い。2番手、3番手の競馬をどこでどう覚えさせるか。時間が足りないというのが本音ではある。

 2着ナイキゲルマンは、好位キープから3〜4コーナーで一瞬仕掛けを遅らせた。結果的にはそれが正解。まくり気味に動いたシャコーオープンは息切れし、最後イシノファミリーにもインから差された。この両馬は能力的にまったく五分。ただ春の時点でアディライト逆転のイメージは遠のいた。イシノファミリーは父イシノサンデー、道営→南関[4-1-5-2]。今日の内容も含め先行差し自在、レース巧者には違いないが、逆に完成度が高すぎるうらみがある。好枠を生かせなかったベルモントソレイユは、今後距離延長も考えるとクラシックは一歩後退。別路線ウツミジョーダン、ウィンブローもここでメドが立たなかった。流れに乗れなかったにせよ、力負けの印象は否めない。逆に成長株は前々で粘ったアヅマデフィート。キャリア4戦、16番枠からこの踏ん張りなら素質は高い。サウスロード×サクラダイオー。異色血統ながら馬体、走法とものびやかで、本質的に中〜長距離向きを思わせる。

       ☆       ☆       ☆

東京プリンセス賞(5月15日大井 サラ3歳牝馬定量 南関東G1 1790m不良)

△(1)ディーエスメイドン (54・森下)  1分53秒7
◎(2)モエギノマズル   (54・酒井)   4
△(3)ネイルアート    (54・山田信)  3/4
△(4)ムギワラボウシ   (54・今野)   1/2
 (5)スナッグランナー  (54・桑島)   1・1/2
…………………………………………………………………
○(6)ケージーローズ   (54・納谷)
△(8)メモリヒメ     (54・堀)
 (10)フジノタカネ    (54・的場文)
▲(12)フレンドリーマナー (54・石崎隆)

単1480円 馬複10510円 馬単28970円
3連複61740円  3連単399170円

 パドックから好気配が目立ち、大井向きのイメージもあったディーエスメイドンだが、それでも4馬身差圧勝には驚かされた。3〜4コーナー外から持ったまま捲り上げ、直線軽く気合をつけると、それこそ矢のような勢いで真一文字に伸びきった。道営時はさして目立たず、しかし転入後大きくパワーアップした典型例。前走あえて牡馬相手のクラウンカップを使った(4着)経験も、ここで実を結んだか。カコイーシーズ産駒といえば一昨年のナミもそう。とにかくこの時季、飛躍的に成長する。状態さえ維持できれば統一G「関東オークス=川崎6月15日」でも期待が持てる。

 モエギノマズルは道悪が不運だった。道中中団よりやや後ろでモタつき、直線もエンジンかかるまで苦労した。ただ最後の最後ネイルアートを競り負かした勝負根性は立派の一語。多彩な産駒が出る父ホワイトマズルだが、この馬はパワー優先、本質がステイヤーに近いだろう。ネイルアートは久々を考えると上々だが、この日もさらに馬体減。次走の上積みがイメージしづらい。むしろ早めに動いたムギワラボウシに復活の兆し。いわゆる天才型ランナーで、体調さえ戻れば自在の競馬ができそうだ。

 人気を分けたフジノタカネ、フレンドリーマナーは、それぞれ自分の競馬をしたものの直線バッタリ。前者は芝向き、後者はキャリア不足。今後はレース選択も含めさまざま可能性を探る戦いになるだろう。メモリヒメは外枠がすべて。加えて逃げ一手の性格がはっきりした。ケージーローズはもう一度良馬場で仕切り直しか。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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