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船橋記念展望&報知オールスターC回顧

  • 2013年01月08日(火) 18時00分
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◆船橋記念展望(1月9日 船橋 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 1000m)

 船橋記念は、平成18年、1800→1000mにリニューアルされたスプリントSIII。実質7年間の歴史だが、その優勝馬、19年プライドキム、21年スパロービート、23年ジーエスライカー、さらに昨年ナイキマドリードなど、交流Gでも好勝負しているから、重賞としての格は低くない。

 1000mレコード=58秒1は、19年プライドキムが記録したもの。以後22年サマーウィンドに塗り替えられたが(57秒6=JBCスプリント)、それでもダート1000m、当時の地方競馬場レコードとしては十分な価値を感じる。プライドキムは2歳時、交流重賞の兵庫チャンピオンシップ、全日本2歳優駿を勝ち(JRA・池添兼厩舎)、古馬になってもうひとつクラスターCを制した(川島正行厩舎へ転厩)。父アフリート、純然たるスプリンターというより、速さと強さを併せ持つオールマイティ型で、何より競馬センスが抜群だったと記憶する。

 クラスターC(水沢競馬場)の鞍上はデビューからわずか3か月の川島正太郎騎手。重賞初騎乗、加えて史上最年少のダートグレード制覇であった。それからおよそ5年半。正太郎騎手は現在のお手馬ナイキマドリードで、船橋記念連覇をめざす。彼の短距離巧者ぶり(他にディープサマー=アフター5スター賞など)は、やはり同馬との出会いが培ったものなのか。記者私見ながらしばしば思い出すことではある。

(1)…波乱含み。1人気[2-1-0-4]、2人気[2-2-2-1]、3人気[0-1-1-5]。人気馬が勝ったときはヒモが狂う傾向があり、昨年などナイキマドリード(1人気)→バトルファイター(9人気)の決着で、馬単7130円。

(2)…船橋VS大井。地元船橋=5勝、2着3回、3着5と優勢だが、出走頭数が少ない大井=2勝、2着4回、3着2回も特筆できる。22年は大井、24年は船橋、それぞれワンツースリーで決着した。21年川崎スパロービート優勝だけが例外。

(3)…熟年活躍。6歳馬=2勝、2着3回、3着3回と最上位。4~5歳馬もスパロービート、ジーエスライカーらが勝っているがアベレージは高くない。7~8歳馬=2勝、2着3回、3着2回。どちらかといえば経験、実績のある熟年馬。

(4)…好位差し。逃げ=3、先行=5、差し=4、追込み=2。船橋1000~1200mは、大井短距離と比較してストレートなスピード勝負の傾向で、逃げ、好位差しが主流になる。ジョッキーでは過去5年1、1、2、9、3着の戸崎騎手。

※データ推奨馬
 ◎スターボード…JRA4勝。転入後、交流G東京スプリント3着、クラスターC4着の6歳馬。前々から二の脚が使えるタイプで、今回相性のいい(コンビ2勝)の戸崎Jが騎乗する。父スウェプトオーヴァーボード。時計勝負に強いスプリンター。

 ☆       ☆

◎ナイキマドリード 57川島
○コアレスピューマ 57本橋
▲キョウエイラシアス 53江川
△スターボード 57戸崎
△ディープハント 53町田
△バトルファイター 53山田信
△ギオンゴールド 53和田
 ブリーズフレイバー 55御神本
 エンドスター 53山崎誠
 ベルモントエアロ 53石崎隆

 ナイキマドリードは不動の中心でいいだろう。GII・さきたま杯を含む重賞6勝、南関東SIII級では一枚別格のスピード能力。昨年このレースも致命的な出遅れを大外一気。時計、着差以上の凄みを感じた。同馬ベスト=1400~1500mとは再三書いたが、地元1000mだけはフィーリングが合うようで、かつてJBCスプリント=GI2着、58秒5とズバ抜けた記録がある。シンプルな別定重量(A1=57キロ、A2=55キロ)もきわめて有利。さらに今回、多少のスタートミスをカバーできる大外枠(12頭・12枠)を引き当てた。

 相手探し。本線にみたコアレスピューマはかつて東京スプリント、セレスハントの3着など交流G実績があり、明けて9歳ながら高い能力を維持している。流れに応じ緩急自在。ベスト条件で信頼度が高い。

 ▲キョウエイラシアスは逆に文字通りの新星だ。船橋1000m8戦6勝。前走長休明けを差す競馬で2着し、さらに新境地をみせている。恵量53キロ。試金石という以上に妙味十分の存在だろう。データ欄推奨スターボードは今回3か月半のブランクがどう出るか。JRA出身らしく軽い馬場が得意で、その点にも微妙な注文がつきそうだ。

 昇り馬エンドスターも昨秋58秒8の時計など数字上オープンで通用するが、このパターン(前走C1)は正直走ってみないとわからない。それならスプリント重賞の“経験値”で、バトルファイター、ギオンゴールド。もう1頭、前がつぶれる展開でディープハントにも脈がある。

◆報知オールスターC回顧(1月3日 川崎 サラ4歳以上 別定 南関東SIII 2100m梢重)

△(1)シーズザゴールド 2分16秒4
△(2)アドマイヤシャトル 1/2
○(3)カキツバタロイヤル ハナ
▲(4)プレティオラス 2.1/2
△(5)リバティバランス 1/2
 ………………
 (6)マチカネニホンバレ
△(8)タンゴノセック
◎(9)ナターレ

単670円  馬複3880円  馬単5670円  3連複2410円  3連単20310円

 シーズザゴールドが、ゴール前の激戦を力強く競り勝った。川島正行厩舎転厩2戦目(前走勝島王冠4着)、体調が大きく上向いていたこと。エース・戸崎J(初コンビ)の先行策がズバリ当たったこと。直線あと1ハロン、馬場の真ん中から抜け出し、迫るアドマイヤシャトル、カキツバタロイヤルを、しぶとい二の脚で振り切った。

 もっとも終わってみれば力通り、そう考えたほうが正解かもしれない。3歳春、マカニビスティーを差し返して羽田盃制覇。もとより典型的な中~長距離型といってよく、少し上がりがかかるようなサバイバル、混戦で真価が出る。

「前々で競馬をしたのは先生(川島師)とも話した作戦通り。パワーがあって粘り強い。新年最初の重賞が勝ててうれしいです」(戸崎J)

 凄いと思うことがひとつある。前述の羽田盃は、実はシーズザゴールド=内田博、マカニビスティー=戸崎圭太という鞍上配置で臨んでいる。そこで鼻差負けした戸崎Jが、今回シーズに騎乗して最高の結果を出した。自分の騎乗馬だけではなく、一緒にレースをした馬、とりわけライバルとなった馬、その力量と個性を的確につかんでいること。改めてプロフェッショナルを感じさせる。ただ同馬自身の課題はスピード面。二千百2分16秒4
(昨年スターシップ=16秒5)は交流Gレベルに正直遠く、流れが速くなったときの対応力がどうなるか。

 2着アドマイヤシャトル。JRA中~長距離志向らしく早めに仕掛けていい脚を長く使った。7歳馬ながら使い込んだ経緯(25戦)もなく、現状南関東のSIIIならもうひと花が当然描ける。カキツバタロイヤルの場合、今回状態ひと息と判断すべきか。上がり38秒9は事実メンバー中?1。ただ当日のパドックなどどこか活気のない動きにみえ、結局同馬のタイプ(420キロ台)は、気持ちが乗っているのかどうか、そこが分岐点になるのだろう。

 プレティオラスは今回真島Jで3~4角から早めのスパート。ただそれで上がり39秒7(今回シーズ=39秒3)となると、壁に当たった感はある。期待したナターレは、記者予測したほど楽な展開にはならなかった。マチカネニホンバレ、トーセンピングス、外から入れ替わり競り込まれスタミナ切れ。いずれにせよ牡馬相手の重賞、それも中~長距離を勝ち切るには、もう一段パワーアップが必要か。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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