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英米のG1ホース2頭を兄に持つ超良血ゴドリー

  • 2013年01月09日(水) 12時00分
●アントールド(牝 美浦・藤沢和雄 父Street Sense、母Cappucino Bay)
 半兄Medaglia d'Oro(父El Prado)はアメリカの名種牡馬で、米年度代表馬に輝いた女傑Rachel Alexandraをはじめ多くの一流馬を送り出している。2代母にSunday Evening 3×4という大胆な牝馬クロスがあり、それが活力の源となっているのか、母Cappucino BayはMedaglia d'Oroのほかにもコンスタントにステークスウィナーを送り出している。父Street Senseはケンタッキーダービー(米G1)、BCジュヴェナイル(米G1)、トラヴァーズS(米G1)を制した名馬。ケンタッキーダービーとBCジュヴェナイルを双方制した唯一の馬でもある。底力とスタミナにあふれる中距離向きのダート血統で、Ribot 5×5がその特徴を補強している。関東オークス(Jpn2)あたりが合いそうなタイプ。

●ゴドリー(牡 栗東・松田国英 父Henny Hughes、母Aldebaran Light)
 兄弟に2頭のG1馬がいる超良血。1頭はミドルパークS(英G1)とジムクラックS(英G2)を制したBalmont(父ストラヴィンスキー)。もう1頭はウッドメモリアルS(米G1)を制したEskendereya(父Giant's Causeway)。とくに後者は、3歳春にファウンテンオブユースS(米G2)を8・1/2馬身差、ウッドメモリアルS(米G1)を9・3/4馬身差で圧勝した実力馬で、ケンタッキーダービー(米G1)では大本命と目されていたが、直前に故障を発症してそのまま引退した。無事ならばビッグタイトルをいくつか獲っていただろう。本馬の父Henny HughesはヴォスバーグS(米G1)、キングズビショップS(米G1)など4つの重賞を含めて10戦6勝の成績を残したスピード馬。まだ若い種牡馬だが好成績をあげており、日本でもわずかな産駒からヘニーハウンド(11年ファルコンS-GIII)、ケイアイレオーネ(12年兵庫ジュニアグランプリ-Jpn2)と2頭の重賞勝ち馬が誕生している。日本向きの種牡馬だ。ダート向きの中距離タイプだろう。

●アンフォーギビング(牝 美浦・大竹正博 父Giant's Causeway、母Our Dani)
 半姉You(父You and I)は、サンタアニタオークス(米G1)、エイコーンS(米G1)、テストS(米G1)、フリゼットS(米G1)といったビッグレースを勝ちまくり、200万ドル以上の賞金を稼いだ名牝。父Giant's CausewayはStorm Cat系の代表的な種牡馬で、米リーディングサイアーに3回輝いている。基本的にはダートの向きの種牡馬だが、芝に対応する能力もあり、日本ではエイシンアポロン、スズカコーズウェイ、エーシンジーラインなどが重賞戦線で活躍している。本馬はダートのほうがいいタイプ。1600〜1800mあたりが良さそうだ。

●エーシンネクスト(牡 栗東・小崎憲 父Distorted Humor、母Shining Through)
 半兄Bahamian Pirate(父Housebuster)はナンソープS(英G1)を勝ち、ジュライC(英G1)やアベイドロンシャン賞(仏G1)でも2着となったスプリンター。もう1頭の半兄Strone Hope(父Grand Slam)はジムダンディS(米G2)の勝ち馬。父Distorted Humorは競走馬としてはさほど目立つ存在ではなかったが、種牡馬として成功し、Drosselmeyer(11年ブリーダーズCクラシック-米G1)、ファニーサイド(03年ケンタッキーダービー-米G1、03年プリークネスS-米G1)、本邦輸入種牡馬フォーティナイナーズサンなどを出している。11年には米リーディングサイアーに輝いた。日本で走った産駒はダート向きが多い。おそらく本馬もダート向きと思われるが、栄進軍団のマル外はダート向きに思える配合でも芝で走ってくるケースが多いので、安易に決めつけないほうがいいかもしれない。いずれにしても手堅く走ってくるはずだ。

●リノワール(牝 栗東・矢作芳人 父フジキセキ、母チャチャリーノ)
 ファルコンS(GIII)4着馬ダイワシークレットの姪にあたる。フジキセキとUnbridledを組み合わせると、「ミルレーサー≒Gana Facil」という組み合わせのクロスが生じる。本馬はこれを2×4で持っている。このパターンのフジキセキ産駒はごく少数ながら、アカンサス(11年秋華賞-GI・4着)、トーホウアマポーラ(12年チューリップ賞-GIII・6着)という活躍馬が出ているので注目したい。配合の核心部分であるミルレーサーとGana Facilはいずれも母の父がIn Reality。本馬の母方にはIn Realityと相似な血の関係にあるGreat Aboveが入るので、上記の組み合わせクロスの結びつきはさらに強固となるだろう。理に適った好配合馬で高い素質を感じさせる。芝向きのマイラー。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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